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第5話
「雪丸、自分で出してみるか?」
「今道慈のちんこ舐めんので忙しい」
ボクサーパンツの狭間からちろちろと舌を這わせている小ぶりな頭を撫でながら、声をかける。
「雪丸、こっち見ろ」
「だから今忙しいって……抜いてくれたって良いじゃん」
雪丸が口を尖らせながら背後に手を伸ばそうとするのを、手首を掴むことで阻止する。
「なに……?」
「手使わなくても出せんだろ」
やっと意味を理解したのか、雪丸の耳に朱が刺した。
「そ、んなの……逝っちゃうかも……」
「俺以外で逝っていいのか?」
「でも、道慈にエッチなとこ見られたら、気持ちよくなっちゃう……」
「でもじゃねぇ。逝くのはまだ我慢」
「我慢できなかったら……?」
雪丸が目を潤ませて見上げてくる。なんとなく気づいてはいたが、雪丸は少し意地悪されると喜ぶ節がある。昔はそんなじゃなかったと思うが、考えてみれば雪丸の性事情に関してはそこまで詳しくなかった。少なくともS女優にいじめられて喜んでいるのは映像の中で見た。演技だけではないだろう。
赤くなった耳に口を寄せて囁いてみる。
「お仕置きする」
雪丸の身体がぴくんと揺れた。
「……おしおき、」
「出してみろ。見ててやるから」
人の股間に顔を伏せようとした顎を掴み、固定する。
「顔見せろ」
目が合うと、アーモンド型の目尻が赤く染まった。はぁ、と熱っぽい息をついてから、切なげに見上げてくる。耐えるように眉間に皺が寄った。
尻に力が込められ、徐々に張り型が露わになる。このわがままがこんなに従順に言うことを聞いてるのだから、早くたくさん褒めて可愛がりたい。
「んっ、ぅぅっ、」
状況に興奮しているのか、頬もうっすらと染まってきた。
「どうじっ、あと、あと、どんくらい……っ?」
必死な顔で聞いてくるのが可愛い。
「半分くらい」
答えながら、ちょっとした悪戯心で出て来ている張り型を指先で押さえる。
「んっ、んっ……? な、なん、」
なかなかでないのを不思議に思ったのか、雪丸が手に力を込めた。力一杯いきんだのだろう、太い指先に阻まれた張り型が勢い余って戻ってしまった。
「んッ!?」
雪丸が目を見開いて硬直する。先端から透明な先走りがシーツに飛んだ。
「あ」
流石に道慈もちょっと悪いことをしたと思った。
「あっ……、あぶ、ねぇ……おまえね……おれであそんでんの……?」
道慈の伸ばされた腕の先を確認した雪丸がパンツの上から逸物を力一杯握ってくる。
「うっ、悪い……つい」
背中を丸めながら握りつぶされそうになっているものを守るべく手首を掴む。
「大人しく俺のはずかしいとこ見てて」
邪魔するのを阻止するためか、雪丸が手を繋いできた。普通に生きててなかなか出てこない台詞を吐きながら。
「ああ、ちゃんと見てる」
雪丸が目を閉じると、長いまつ毛に汗なのか涙なのかわからない雫が乗っているのに気づいた。どんなにはしたないことをしてても、不思議と下品にならない顔だった。
強く閉じられた目尻が赤く染まっていく。はぁ、と雪丸が息をついた。
玩具が徐々に尻から出てくる。
少し盛り上がった入り口が肉壁を覗かせていた。筋肉質な尻の狭間で、玩具の先端が引っかかっていた。雪丸が眉間に皺を寄せる。
「ん゙ん、はぁっ……でな、ん、んっ」
繋いだ手に力がこもっていた。はぁ、はぁと荒い吐息が聞こえてくる。
「道慈、でね、手伝って……! ん、おねが、」
雪丸が眉を寄せて尻を振るわせている。息をつぎながら、機嫌をとるかのように顎を掴んでいた指を舐めてくる。
それがいじらしくてつい舐めさせたまま、助けることもせずに眺めてしまう。指に出したチューブのおやつを延々舐めている猫を見ている気分だ。
「ん、どうじ、ふぁ、なんか言えよ……、ん、はやく、にせもんじゃなくて、どうじのチンポほしい」
3回も我慢して潤んだ目にねだられ、ずっと無視していた自身が痛いほどになる。今すぐに突っ込みたいような、どろどろに甘やかして溶かしたいような欲が腹の中に渦巻いた。
張り型を引き抜くと、異物が抜けた穴が名残惜しそうに収縮していた。
「道慈、逝かなかった……っ」
「ああ、えらいな」
縋り付いてきた身体を抱いて、濡れた唇を奪う。小さな口の中は相変わらずタバコの味がして、苦くて不味い。しかしそれ以上に必死に絡められる舌が、擦り付けられる全身が愛おしい。
かくかくと雪丸の腰が揺れていた。刺激が欲しくてしょうがないのだろう。固いものが擦れ合っていた。
もっと圧迫してやるために尻を掴んで腰を押し付けると、雪丸の身体がびくびくと震えた。
「んっ、ンンンッ、」
雪丸の目がとろりと潤んだまま見上げてくる。雪丸はこうやって射精はしているのに女のように逝く時が結構ある。達しても気持ちよさが引かずにいるらしい。
道慈のメスにされてんの、すげー興奮すると以前アホみたいな感想をもらしていた。
「はぁ、ご褒美、はやく、ハメて……」
ボクサーパンツから取り出したものに、雪丸がそのまま座ってこようとするのを寸前で止める。
「ゴム着けるから待て」
片手で尻を支えながら、ゴムを噛み切る。片手じゃ流石にやりづらく、雪丸の尻を叩いて膝で立たせる。
「アッ」
「……そんなに痛かったか?」
大袈裟だろと思って見上げると、唇を噛んだ顔が切なげに見下ろしてきた。
「……俺、道慈に叩かれんの……やばいかも……」
「……お前、そこそこだよな……」
そこそこのマゾだと直接的に言うのは躊躇われた。こうやってたまに子どもの頃からの幼馴染の、動画の中でしか知らない側面を間近で目の当たりにして、ちょっと動揺する。
「も、もう一回だけ叩いてみて……」
涙目で雪丸がねだってくる。快感に従順で、快感を追求することに抵抗感も羞恥心も感じないようだった。
二人でベッドにいる時にこんなふうに淫らで明け透けな分にはどれだけ酷くてもいい。それが他人に向かなくなったら一番いいが、長期戦になることはわかっている。
「先、挿れていいか?」
乾いてきたであろう中にローションを垂らした指を入れると、雪丸の膝が腰を挟んでくる。
「あっ、指だめ、も、はやく入れろ……! もう慣らした……っ」
雪丸が片手で指を抜こうと邪魔してくるのをいなしながら、ゴムをつけた自身にもローションを塗りたくる。
ならすのを嫌がっていた雪丸が、やにわに止まった。ローションに塗れた手元を凝視しながら、ごくりと唾を飲んでいる。
ここまで欲しがられると気分がいい。
指を引き抜いた途端、雪丸が肩に捕まりながら、穴に先端をあてがってくる。
「腰、下ろせるか?」
一応入りすぎないように尻を支えながら、角度を調整する。
「んっ、ふっ、ん、」
雪丸が眉を寄せながら唇の裏側を噛む。上に乗る時はいつもこれをやっている。ゲイビデオで見た時はもっと派手に喘いでいた気がするが、カメラがないからやりやすいようにやってるのだろうか。
刺激を我慢してコントロールするためなのだろうが、あまり良い癖じゃないだろう。
後頭部を掴んで唇を合わせると、すぐに吸い付いてきた。
ブルブルと震えている尻を支えながら、ゆっくりと重力に従って入ってくるのを待つ。雪丸が全身を粟立たせながら首にしがみついてくる。
狭い穴の中は熱くて心地よい。雪丸の好きなところに先端が当たると、絡めた舌まで震え出した。
「ん、ふうぅっ、はぁ、ん」
ゆっくりと雪丸の腰が落ちていき、奥に当たって止まる。雪丸が口を塞がれたまま身体をびくつかせて腹の間を濡らした。挿れるだけでこんなに簡単に逝く相手は初めてだった。相性が良いのか、雪丸が敏感すぎるのかはわからないが、悪くない気分だった。
熱い中に包まれる感覚が気持ちいい。道慈の全身にじんわりと汗が滲んだ。今すぐ動きたいのを我慢して、入りすぎて痛くならないようにそのまま尻を支えていると、雪丸が口を離した。唇の間に透明な糸が橋を渡した。
「はっ、はぁ、どうじ、手やだ、おく、はめるのして……っ」
そんなふうにねだられると本当に一気に奥を開いてやりたくなる。しかしそれをやったら雪丸の身体がただじゃ済まないのはわかっているので、腹の熱を逃すように息を吐いた。
「あとでな」
中が馴染むのを待ちながら、急かしてくる雪丸の頭を撫でる。首筋に口付け、胸筋にキスしていると、こっちもと頭を掴まれた。自身の胸を押し付けてくる。より密着した身体がさらに暑くなる。
さっき自分でいじっていたからか、すでに硬く尖った突起を舐めてやると、雪丸があっと声を上げた。
「んっ、どうじ、きもち、」
胸を刺激するたびにきゅうきゅうと中が締まる。
さっさと動いてしまいたい欲求に耐えていると、顎先に汗が伝った。頭を抱いている雪丸の腕も道慈の汗で濡れていた。
指で突起を捏ねながら甘噛みすると、ついに雪丸の腰が揺れ始めた。
「どうじ、あっ、ふぅ、きもちい……!」
自分で動けるくらいには馴染んでいるのだろう。前後に揺らめかせていた腰がだんだん激しくなってきている。ぐちゃぐちゃとローションが音を立てている。
少し尻を抱え上げて、良いところに当たるように調整してやると、雪丸が足を立てた。
「あっ、そこやばっ、あたってる……きもちっ、」
雪丸が必死に小刻みに腰を動かす。自身で前立腺にカリを引っ掛けて善がっている。きゅうと締め付けられるのが気持ちよくて、油断したら出そうだった。
長い前髪から汗が落ちてくる。金色の髪を撫で上げると、耳元に唇が寄せられた。
「どうじも、どうじも、……きもちよくしてあげる、」
胸を押されて、布団に横になる。雪丸が前からだらだらと先走りを垂らしながら、腰を上げた。カリ首が引っかかるまで抜いてから、一気に腰を落としてくる。
「んっ、」
「うあッ、はあっ……!」
吐息をこぼし、中を締め付けながら動いてくれる。
尻を撫でながら、上がった尻が落とされるタイミングで突き上げる。雪丸が声にならない声を上げた。
騎乗位に慣れた身体がリズムを崩さず腰を上下しながら、目に涙を浮かべて見下ろしてくる。
「あ……アァッ! どうじ、あっ、いっしょに、いっしょにいこ……?」
暗に今すぐ逝けと言われている。尻を掴みなおして突き上げると、雪丸の身体が反った。倒れ込みそうになるのを胸に手を置いて耐えている。
「ん、雪丸、……ちょっとがんばれよ」
「あ、どうじっ、おくっ、おくっ」
要望通りに奥を突き上げる。雪丸が身体を反らせながら抱きついてきた。
「アッ、いっ、いく……! アァッ」
「くっ……出す」
痙攣してしなだれかかってきた身体に何度か押し込みながら、ゴム越しに精を吐き出す。
「ふは、しゃせい、なげー……」
雪丸がほのかに顔を赤らめながら少し笑った。はっきりと意識がある時に雪丸の中で射精すると、雪丸はいつも嬉しそうにはにかむ。その顔が愛おしくて好きだった。
息を整えている身体を抱きしめる。身体の中にすっぽりと収まった身体が抱きしめ返してきた。
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