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第10話 玲、新妻になる!

 最近、玲の生活が乱れている、とは、秋也の意見だった。  二人で宅飲みしながら、ぼそりと言ったその言葉に、拓斗はすぐさま食いついてきた。 「性生活が乱れてる、だと!?」 「性生活じゃない! 生活だ!」  なんだつまんねえ、と乗り出した身を再びソファに埋める拓斗だ。  彼の発想に呆れながらも、秋也は話を続けた。 「昨日あいつの部屋に行ったんだが、缶詰を食べていた」 「缶詰くらい、誰でも食うだろ」 「缶のまま、なんだ。皿に移さないで、缶にフォークを刺してそのまま!」  嘆かわしい、と秋也はうつむいたが、拓斗は手をひらひらさせて酒を一口飲んだ。 「食うだけマシだ。俺が行った時は、飲まず食わずで寝ようとしてた」 「何? 空腹なのに、か!?」 「食べるのが面倒くさいんだ、ってさ」  むう、と秋也は唸った。  玲、どうして!  こんなに、だらしない生活をするんだ!?    だらしない生活をする玲、なのだが。  思い当たる節は、多分にあった。 「春先は特に、そうだな」 「春眠暁を覚えず、とか何とか言って、とにかくゴロゴロしてやがる」 「しかし、それなら冬もじゃないか?」 「冬は寒いから、とか何とか言って、やっぱ家事放棄して布団の中に潜ってやがる」  二人の男は唸り、考えた。  夏は暑いから、秋は気候がいいから、などと理由をつけては生活の乱れる玲。  見かねて秋也や拓斗が、家事一切の面倒を見ることもある。 「やればできるんだよ、あいつも。ただ、何かの拍子で面倒くさがりになっちまう」 「要は習慣だ。正しい生活を、習慣づけてやらないと」 「正しい性生活もだ」  今度は反論しない秋也だった。 『面倒くさい病』にかかった時の玲は、エッチすらご無沙汰になる。  幾度となく一夜をフラれたのは、拓斗だけではない。  秋也もまた、このところ断られてばかりいるのだ。 「何とかしなくては」 「何とかなるのかよ」  器用で気の利く拓斗が頑張っても、無理なのだ。  不器用で気の利かない秋也は、逆立ちしても玲を動かせまい。  それでも秋也は秋也なりに、玲の事をいつも考えつつ、毎日を過ごした。 「拓斗、名案を思いついたぞ!」 「何だよ、突然」  数日後、秋也に呼び止められた拓斗は、思わず両手の食材を抱え直した。  しかし、秋也の『名案』とは何を指すかが、拓斗にはすぐに解った。  玲のことを四六時中考えていたのは、この男も同じだったからだ。 「あいつの『面倒くさい病』を治す名案か?」 「思いついた。絶対イケる!」 「ホントに大丈夫なんだろうなぁ……?」  小突き合いながら、秋也と拓斗は玲の部屋へと向かい始めた。 「そういう拓斗は、なぜそんなに荷物を持っているんだ?」 「全部食材さ。玲のやつ、どうせまた何も食ってないだろうと思って」  拓斗は、玲に何か料理を作ろうと考えていたところだった。  だがしかし。 「拓斗、料理の前にポーカーをやるぞ」 「ポーカー? 何でまた」 「玲のためだ。本気で勝ちに行け」 「本気出さなくっても、勝てるじゃんよ」  ポーカーの弱い玲に、勝負を挑む。  これは、負けた玲に何かペナルティを課す、ということか。 「何を企んでるんだよ、秋也クンは!」 「俺は、玲を大切に思っている。それだけだ」  どうだか、と拓斗はニヤけた。  しかしまぁ、面白そうだ。 「任せるぜ、秋也先生」 「お前も協力しろよ」  そんな風に言い合いながら、玲の部屋へ到着だ。  ここには、まだ何も知らない玲が眠っている。 「玲、バッチリ覚醒させてやるからな!」 「よく解かんねえけど、面白くなりそうだ!」  鼻息の荒い秋也に、どこか不真面目な拓斗。  二人は、玲の眠る部屋へと足を踏み入れた。  大好きなポーカーに誘われても、けだるそうに鼻を鳴らす玲だった。 「ポーカー、かぁ。う~ん、どうしよっかな~。眠いしぃ……」 「玲が勝てば、掛け金の倍額支払ってもいいぜ。どうだ?」 「倍額? ホント?」  拓斗の甘い誘いに、ようやく起き上がった玲。  ベッドの上ではあるが。 (ベッドの上で賭けポーカーとは。どこまで自堕落になってしまったんだ、玲!) (泣くな秋也。名案とやらがあるんだろ?)  玲以外の誰もが知る通り、彼はポーカーが弱かった。  そして、負けた。 「もうヤだ。やめる!」 「やめる前に、負けた分は払ってもらうぞ!」 「うぅ……」  お小遣いが減るのがイヤな玲は、別の形での支払いを秋也に約束していた。 『負けたら、何でも言うことをきく』  提示されたときには胡散臭く感じた玲だったが、そこに拓斗のフォローが入った。 「王様ゲームみたいなノリだ。難しく考えるな」  これは効果があったらしく、次の瞬間には承諾していた。 (ナイスだ、拓斗) (しっかし、チョロいやつだぜ……)  そんないきさつを経ての、玲の負けだ。  秋也は優しいから、意地悪な命令なんかしない、とたかをくくっている玲。  一体何が始まるのか、ニヤニヤしている拓斗。  これはお前の為だ、と玲に言いながらも鼻の下が伸び始めている秋也。 「早く言ってよ、眠いんだから」 「寝るわけにはいかないぞ。負けたら、何でも言うことをきくんだったな」 「きくから、早く」 「よし。今から一日、お前は俺たちの新妻になれ!」 「新妻!? 僕が!?」  ぶう、と拓斗はレモネードを盛大に吹いていた。  新妻の玲! 「待て待て待て! と、なると? 秋也クンが持参したこの包みは!?」  ベッドのサイドテーブルに置かれていた紙包みを、拓斗は慌てて広げた。 「やっぱり!」  そこには、純白のフリル付きエプロンがあったのだ! 「うおぉ、やったぁ! 新妻だぜ! 男のロマンだぜ!」  はしゃぐ拓斗に、玲が手を伸ばした。 「また秋也の、コスプレ癖が? 貸して。これを着ればいいんだね?」 「ただ着るだけじゃねえぜ、玲。そうだな? 秋也!」  うなずく秋也は、珍しく厳しい目つきだ。 「素肌の上に、このエプロンだけ身に付けてもらう」 「え……? それって、もしかして……」  裸エプロン! 「イヤだーッ!」 「約束だろ!」 「お金払うから! 罰ゲームは無しにしてよ!」 「今更ダメだ!」  言い合う拓斗と玲に、仕方がない、と秋也がもう一つの包みを掲げた。 「ここにもう一着、エプロンがある。玲、俺が新婿になるから我慢しろ」 「秋也、待って」 「ぅん?」  玲は青い顔に唇を震わせて、恐る恐るうかがった。 「まさか……秋也も裸エプロンを?」 「仕方ないだろ」 「うぁーッ! そんなもの、見たくないぃーッ!」 「あんまりな言い方だな!」  そしてやはり、拓斗のフォローは絶妙だった。 「じゃあ、お前だけでいいな?」 「うん!」  決まりだ!  まんまと乗せられた、と玲が気づくには、そう時間はかからなかった。  ただその時にはもう、全裸に白いエプロンだけ、という嘆かわしい、いや、愛らしい恰好になっていた。  その姿に拓斗は指笛を慣らし、秋也は鼻血を吹いている。 「はい、終わり! もういいよね!」  恥じらいで真っ赤になりながらも、ぷんぷんと怒っている玲だ。  しかし、着替えようとする玲の腕を、秋也がしっかり掴んで放さなかった。 「言ったはずだ。新妻になれ、と」 「だから、なったじゃないかぁ」 「新妻は、夫の為に家事を一生懸命がんばるものだ」  きょとん、としている玲だが、拓斗にはピンときた。  新妻にかこつけて、すっかりおろそかになった家事を、玲にやらせよう、という作戦だ。 「いいな、それ。何するかは、こっちから指示するぜ」 「そうだ。言われた通りに動けばいい」 「少しは手伝ってよね!?」  もちろん、と二人は首を縦に振った。  少々てこずったが、これで新妻・玲の誕生だ。 「では、始めよう」 「期待してるぜ」  男二人は一度ドアから表に出ると、改まって入室した。 「ただいま~」 「今、帰ったぞ」  まるで、ここに帰宅したかのような拓斗と秋也だ。 「二人とも、何やってんの?」  ぽかん、としている玲に、ぶうぶうと不満の声が上がった。 「おいおい新妻だぜ? 新婚なんだぜ!?」 「お帰りなさ~い、とか言ってキスするものだ」 「そうかなぁ」  今度は玲が不服そうに口を尖らせたが、拓斗がすばやくその唇にキスをした。 「ぅんッ!」 「ただいま~。寂しかっただろぉ~?」  キスをしながら、拓斗の腕が腰にまわされる。  まわされた手は下へ下へと伸びていき、ついには形のいいヒップに……。 「ダメッ! 拓斗、そこまで!」  なにせエプロンの他には、何も身に付けていないのだ。  これでは速攻で押し倒されてしまう。  玲は、拓斗から離れた。 「拓斗、急ぎ過ぎだ」  秋也は逆に、ゆったりと玲にキスをした。 「むぅ、ん……」  秋也と口づけながら、玲は思い返していた。 (そういえば、秋也とキスをするのは久しぶりかも)  いや、秋也ばかりではなく、拓斗ともだ。  拓斗は、よくここへ来ては、食事の用意をしてくれる。  でも、それだけで帰してはいなかったか?   秋也も、よくここへ来ては、部屋の掃除をしてくれる。  でも、それだけでサヨナラしてはいなかったか?  のんびりお酒を飲んだり、キスを交わしたり。  そんな楽しい時間を、忘れてやしなかったか?  キスを終え、上気した頬の玲の心に、わずかずつ変化が生まれていた。  少しやる気が起きてきた玲は、明るく言った。 「じゃあ次は、何をやろうかな? そうだ、料理! 拓斗、食材買ってきてくれたよね」  そんな玲を微笑ましく感じながら、拓斗は秋也と同じことを言った。 「玲、急ぎ過ぎだ。その前に、やることあるだろ」 「何だろ?」 「まずは洗濯だ。太陽の昇っているうちに、だな」  そうか、と洗い場へ向かう玲を、二人の男は付けて回った。  はしたない姿の玲が、腰を捻り、しゃがみ、伸びをするのだ。  チラチラと覗く柔肌が、煽情的なことこの上ない。 「何で付いてくるの?」 「あ、いや。心配で、だな」 「ノゾキがいたら、困るだろ」 「そっか。こんな恰好だもんね」  そのノゾキは、他でもないこの二人なのだが。  しかし、意外に頑張ってくれる玲だ。  これは幸先がいい、と秋也と拓斗は握手を交わした。  洗濯の次は、掃除だ。  床にまで散乱する玲の出したゴミを、まずは回収しなくてはならない。 「ほら、袋。分別は後で秋也がしてくれっから、全部こいつに放り込め」 「うん、ありがとう」  しかし拓斗と秋也は、玲の背後にばかり回る。  玲が腰を曲げてゴミを拾うたびに、太腿のキワドイところまでエプロンが上がるのだ。 「はぁ~、全部見えるより興奮する」 「チラリズムの美学、だな」  掃除しながら、玲の美尻が拝めるのだ。  悪いことなど何もなかった。 「はい、お掃除は終わり。料理しよう!」 「まぁ、待てよ」  シンクは、玲が使ったままの食器がが山積みだ。 「まずは、洗い物だな。俺が洗ってやる。秋也が拭いたら、それを玲が棚にしまえ。いいな?」 「はーい」  素直な新妻・玲は秋也が寄越す皿を手に取り、食器棚に収めている。  それをやはり、拓斗と秋也はチラ見していた。 「気づいたか、今の。胸のピンク色が、少し見えたぜ~」 「腰を見ろ。リボンがほどけて、いい具合に緩い。眺め放題だぞ」  立ちっぱなしで洗い物をするより、ずっとアクションの多い玲だ。  どうしてもエプロンが乱れて、エロい男たちにスケベの種を蒔いてしまう。  何も知らない玲が、次こそ料理、と張り切る時には、拓斗も秋也も前を押さえてうずくまっていた。 「二人とも、だらしないなぁ。もう疲れた?」 「いや、そうじゃない……」 「ちょっと、刺激が強すぎて……」  一人でできるもん、と玲は拓斗の持ち込んだ食材からジャガイモを取り出し、器用に皮をむき始めた。  やればできるのだ、玲は。  玲の後ろ姿を拝みながら、秋也と拓斗は何とか立ち上がった。 「やっぱり、コレをしなくっちゃなぁ」 「裸エプロンの、ロマンだからな」  そして、歌を口ずさみながらジャガイモを剥く玲に、背後からそっと近づいていった。  まずは秋也が、玲を背後から優しく抱いた。 「玲……」 「あ、秋也?」  そのまま首筋に顔をうずめ、柔らかな髪の香りを思いきり吸う。  困惑していた玲だったが、秋也の考えが解かると、包丁を置いた。 「秋也、ごめん。お腹空いたから、お料理作ってからね」  軽くキスをし、後はジャガイモに向き直ってしまった。  次は拓斗だ。  彼は、もっと大胆だった。 「玲~、コチョコチョ!」 「ちょっと、どこ触ってんの!」  エプロンの脇から腕を入れ、素肌に触れた。  指先で探り、小さな乳首をつまもうとしたら。 「痛ェ!」 「お腹すいてる、って言ったし!」  思いきりジャガイモで殴られた拓斗だったが、願いは叶った。   『裸エプロンの玲を、後ろから抱きしめる』    こんな、はしたない願いだが。 「思いは遂げたな」 「おぅ。だけどよぅ」  当初の予定では、これが済んだらおとなしく料理の手伝いをするつもりだった。  だったのだが、拓斗は物足りなさを感じていた。  もちろん、秋也も同様だった。 「何か、もう少し踏み込んだことをしたいな」 「秋也、カッコつけるなよ。もっとエロいことしたい、って言えよ」  考えながら、秋也はキッチンワゴンの上の果物を見た。 「拓斗。このブドウは、皮ごと食べられるものか?」 「ぅん? ああ、種もないから食いやすいぜ」 「では、これを使おう」  ブドウを手にした秋也は、もう一度玲とキスをした。  そして唇を離した彼の口に、そのブドウを一粒入れたのだ。 「おいしい」 「それは良かった」  そして、再びキス。  唇を離すごとに、秋也は玲にブドウを食べさせた。  今度ばかりは、秋也のやることが解からない玲だ。  ただキスは心地よく、ブドウは美味しかった。  されるがままに、そんなことを繰り返していると、拓斗の声がした。 「玲、今度は俺とキスしよ」 「ぅん……」  合わせた唇を割って、拓斗から口移しでイチゴが与えられた。 「あ、おいしぃ」 「だろ~?」  ちゅっちゅとキスをしながら、秋也はブドウを、拓斗はイチゴを次々に咥えさせてくる。 (何? 新妻って、こんなことするのかな?)  玲が見当違いなことを考えていると、秋也が声を掛けてきた。 「玲、小腹は満ちたか?」  拓斗が、髪に触れてきた。 「料理、もう少し先でもいいだろ?」  確かに、果物で空腹はまぎれている。 「うん。大丈夫みたいだけど、どうして?」  どうして二人は、僕に果物を……。 「すまんな、もう我慢できない」 「今すぐいただきたい、ってぇコト!」 「だったら、早く料理を作ろうよ」  いや、拓斗と秋也が食べたいものは料理ではなく、新妻・玲だったのだ。 「じゃあ、さ。まずはシンクの方向いて、手ぇついて」 「拓斗」  言う通りにはしたものの、後ろが解からない状況は、玲を不安にさせた。 「待ってよ。二人とも何考えてるのかな?」  振り向いて恐る恐る見てみると、目を爛々と輝かせた拓斗と秋也がそこにいる。  体をぴったりと寄り添わせ、大きな手のひらが玲の肌を撫でまわし始めた。 「あッ! ヤだ、やっぱり!」  押し付けられる男たちの下半身は、硬く張り詰めている。 「ほ~らほら。グリグリ!」 「欲しいか、玲」 「も、もう! バカぁ!」 「バカ、だとぅ? そんな悪い言葉を使う口には、コレだ!」  拓斗は玲の顎をとり、口を開かせ何かを突っ込んできた。  それは、ズッキーニ。  拓斗は玲に、太いズッキーニを咥えさせたのだ。 「んぐぅ! んが、んぐ、うぐぐ!」 「ズッキーニ、美味しいか? 下のお口にも、入れてやろうか?」 「むぐぅ!」  玲は必死で、拓斗の体から逃れた。 「拓斗の変態ぃ!」 「面白そうだ。やってみよう」 「秋也まで、そんなコト言う!?」  真っ赤に染まった玲の頬に、秋也は優しくキスをした。 「冗談だ。新妻に、そんな仕打ちはできない」 「ホント? 絶対?」 「ズッキーニが嫌なら、別のものを……なぁ、秋也」  別のもの、とは玲にも容易に想像がついた。  しかし、ズッキーニよりましだ。 「まったくもう。スケベなんだから」  ぷう、とすねた顔つきで、玲は床に膝をついた。  拓斗と秋也が、その前に立つ。  白く細い指がボトムのジッパーを下げると、二人の性器はすでに準備ができていた。 「もぅ、バカ……こんなにしちゃって……」 「笑うなよ」 「お前のせいだ」  仕方がないなぁ、と玲は手と口で愛撫を始めた。  利き手の左で秋也を愛撫し、右手と口で拓斗を弄る。 「んッ、ふ。ヤだ、もっと大きくなる……」  水音を立てながら、玲の柔らかな咥内が拓斗を瞬く間に追い詰めた。 「全く、もう。ズッキーニの方が、マシだったかも」 「茶化すなよ。今、ずっげぇ具合がイイんだからよ」 「いいよ、出しても」  玲の言葉に、拓斗は腰を動かした。  久しぶりなので、乱暴にならないように加減はしたが。 「おい、出るぜ。いいか?」 「……」  玲は、深く咥えて拓斗の種を喉の奥で受け止めた。  熱い濁流。  余すことなく飲み干し、彼が果てた後は紅い舌で舐め清めた。 「ふぅ、ありがと、な。あぁ、久々にスッキリした!」 「この、バカたれ!」  いったん落ち着いた拓斗の次は、秋也の番だ。  実はさっき、手で一回抜かれるという、実に不名誉な結果に終わったのだ。  しかも、拓斗より早くに、だ。  お返しとばかりに、玲の口を責め始めた。 「んッ、んッ、ぅぐッ! んッんん!」 「出るまで、続けるぞ」  口に咥えさせ、腰をやる秋也に、拓斗は余裕の表情を見せている。 「この後もあるだろ。無茶すんなよ」 「うるさい!」  頭の上に響いた大声に、玲は内心ため息をついた。 (秋也ったら、変な所で負けず嫌いなんだから!)  仕返ししてやる、と玲は秋也が果てるその瞬間に、口を離した。 「玲!?」 「ふぅ……顔射の感想は?」  玲の白い顔は、秋也の精で汚れてしまった。  途端に、頭から血の気が引いてしまった秋也だ。 「す、すまん。すぐに、拭くから!」 「いいから、いいから」  顔を洗う、とシンクの方をくるりと向いた玲は、わざと腰を後ろに突き出して見せた。  片手でエプロンの端をつまんで、ぴらりと持ち上げて見せる。  白いヒップで、誘いにかかる。 「何というか、こう……扇情的な新妻だな」 「いやぁ、最高じゃねぇか!」  生唾を飲む秋也と拓斗に、玲は流し目をくれる。 「早くぅ。どっちが先かな?」  ここは秋也クンに、と拓斗が譲った。 「新妻作戦を考えたのは、お前だからな」 「ありがとう、感謝する」  二人のやりとりに、玲は声を張った。 「コレを考えたのって、やっぱり秋也だったんだね!?」 「や、やっぱり、って!? 玲、俺をどんな風に見ているんだ!?」 「もう! いいから、早くしてよぉ!」  玲の腰に手を掛け、秋也は先端を潜り込ませた。  ローションの代わりは、オリーブオイルだ。  指で慣らしていないので、ゆっくりと時間をかけて中に挿入り込んでいく。  全て挿れ終えた時には、玲も減らず口を叩くのをやめ、シンクにしがみついて震えていた。 「玲、大丈夫か? 痛いのか?」 「ううん。早く……来て……」 「動くぞ」 「あ! あぁッ!」  キッチンが、たちまち熱くなっていく。  見守るしかない拓斗だったが、目の前でエプロン姿の玲が立ちバックでエッチしているのだ。  これには、そそられる。  自分の番が回って来た時のために、じっくり見物して興奮することにした。 「玲、いい眺めだぜ~」 「み、見ないでよぉ!」  時々、視界の外から椅子を床で擦る音がする。  それは、拓斗の存在を玲に知らせた。 (見られてる。ヤだよぅ~!)  拓斗に見られながら秋也と交わる、というシチュエーション。  これは、玲に恥じらいと共に倒錯した興奮をもたらしていた。  立っていようと頑張ってはいるが、どんどん力が抜けていく。  その分秋也の動きに翻弄されるので、体内のいたるところに彼の硬いものが当たるのだ。 「あっ、あん。んッ、はぁ、はぁ、あぁあ……ッ」 「いい子だ。感じるか?」 「すっごく、イイ。あッ、あッ、秋也ぁッ!」  その時、音を立てて拓斗が椅子から立ちあがった。  確かに秋也へ先は譲ったが、こう見せつけられてはたまらない。 「おい秋也、ちょっと座れ」 「何だ。まだ途中だぞ?」 「俺も準備完了で辛いんだよ。二本差しといこうぜ」  前から後ろから。  久々のエッチなのに、一気にそこまでされてはかなわない。  玲は悲鳴を上げた。 「ヤだぁ。二人同時になんて、壊れちゃうよぉ」 「エロい顔して、エロい声! 説得力ないっての!」  秋也と繋がったままの玲を床に座らせ、拓斗は彼と向かい合わせにスタンバイした。 「オリーブオイル、たっぷり使うから大丈夫だってば」 「うう。やッ! 秋也、こんな時にまで動かないで!」  それでも構わず、腰を進める拓斗だ。  滴り落ちるオリーブオイルが、彼の動きを助ける。  どんどん奥へ挿入ってくる拓斗を感じて、玲は甘い悲鳴を上げていた。 「ん……あぁ。ッく。あっ、あっ、あぁん!」 「OK。挿入りました!」  意地悪な言葉は使うが、拓斗は優しくゆっくり腰を動かし始めた。 「うぁあん、ヤだヤだぁ! 二人同時なんて!」 「気持ち悦すぎる、ってか?」 「うぅう!」 「図星だな、玲。拓斗、もう少し細かく動けるか?」  秋也の大きな抜き差しと、拓斗の細かな振動が併せて玲を襲う。  髪を振り乱し、声を喘ぎを吐きながら玲は悶えた。 「あぁあ! ダメぇえッ! イッちゃうぅ!」 「イイぜ。ブッ飛んじまえよ」 「困った人妻だ。パートナーの留守に、他の男と」 「しかも二人同時に、だぜ? 動画撮って、あとで投稿すっか?」 「バカぁあ! 新妻が、いつから人妻になったぁ!?」  茶番はここまでだ、と秋也の動きが速くなった。  いよいよ、フィニッシュに向かうらしい。 「ああッ、ああッ、ああッ! 秋也ぁあ!」  今まで細かく速く動いていた拓斗が、じっくりと腰を捻り始めた。  こちらも、クライマックスが近いのだ。 「俺の名前も、呼んでくれよ」 「ううッ、んくぅ。いやいや、拓斗ッ!」  ぐちゃぐちゃに乱されたあげく、二人分の精を注がれた玲は、しばらく床に倒れ込んだまま動けなかった。 「うう……嘘。新妻なのにぃ。しかも、久しぶりのエッチなのにぃ……」 「もっと優しくしろ、ってか?」 「悪かったな。少し飛ばし過ぎた」  拓斗と秋也は、反省の証として玲に手を差し伸べた。  ぐったりと脱力した玲を抱え上げ、優しい声を掛けた。 「体中、ベタベタだぞ。シャワー浴びて、サッパリして来い」 「片付けと料理は、俺たちでやっておく」  だがしかし。 「力が入んない。バスルームまで連れて行ってよ」 「仕方がねぇなぁ」 「それから、秋也は僕の体を洗って。拓斗は、髪を洗って」 「とッ、途端にワガママになりやがる!」 「僕は新妻なんだよ!? 新妻は、大切に扱ってよ!」 「はいはい」 「とにかく、玲を風呂に入れよう」  焦る秋也が玲をバスルームまで抱きかかえて連れて行き、その汚れた体をていねいに流した。  もちろん拓斗も、彼の髪を大切に洗った。  そして玲が髪を乾かす間は、大急ぎで食事の準備をする二人だった。   「美味しい! これ、お代わりできる?」 「よく食う新妻だな」 「新妻ごっこは、もうおしまい!」  バスタイムを終えた玲は、もう例の白いエプロンを付けてはいなかった。  普段の服に着替え、二人の男が作った料理を喜んで食べた。 「久々に、よく動いたからかな。お腹にどんどん入っちゃう!」 「これからは、家事をきちんとするんだぞ。でないと、またエプロンを持ってくるからな」 「は~い」  秋也に思わぬ説教をくらい、玲はちょろりと舌を出した。 (拓斗にも、叱られちゃうかなぁ?)  玲がちらりと拓斗の方を見ると、彼はニヤケながら頷いている。 「よく動いた、かぁ。お腹にどんどん入る、かぁ」 「そうだけど? 僕、何か悪いこと言った?」 「自分がどんだけ意味深なコト言ってるか、解かってンの?」 「はぁ?」  きょとんとしている玲だが、秋也もうなずきニヤけている。 「意味深……あッ!?」  玲は、頬を染めた。  確かに、さっきまでキッチンで良く動いていた。  そして、お腹には二人の精をどんどん入れたのだ。  はしたなく悦がった自分の痴態、が生々しく甦ってくる。 「う、う、うわぁ……」 「夜も期待してるぜ」 「今日一日は、新妻だからな」 「うぐぐ……!」  そこへ、秋也がテーブルの下から紙包みを出してきた。 「ほら、これ」 「何? プレゼント!?」  紙包みを渡され喜んだ玲だったが、中から出てきたものにクラクラと眩暈がした。 「純白のフリル付きエプロン……!」  秋也が着そこねたエプロンが、まだ一着残っていたのだ! 「コレ、もう着たくない!」 「さて、どうしようか」 「そういえば、新妻から人妻に変わったっけ?」  この日を境に、玲が『面倒くさい病』にかかることはなくなったという。

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