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⑩思い出のアルバム
「先生って、高校の時カノジョいました?」
授業終わり、テキストを片付けながら、例の『数学が苦手』のタスキをかけた生徒が、ニコにそう尋ねた。既に椅子から立ち上がっていたニコは彼の顔を見、
「まあ。いた時もあるけど」
「どこ遊び行ってました?」
「なんで。お前、カノジョいんの」
彼は分かりやすく、へらっと笑って、
「最近つき合うことになって」
「へえ。よかったじゃん。部活おろそかにすんなよ」
「大丈夫です。逆に、それで部活もがんばれてるっていうか、そういう感じなんで」
嬉しそうにそう言う彼に、ニコも頬が緩む。
「遊びに行く場所はどうでもいいんじゃねえの」
「そうですかね」
「遊びたいっつうより、会いたい、のが強いだろ。多分」
「……ですね」
はあ、と彼は納得したように頷き、荷物を鞄にしまい終えると、ニコに言った。
「恋愛相談は雑じゃないんですね」
「オマエ塾じゃなかったらひっぱたいてるとこだぞ」
「コンプライアンスに引っ掛かりますからね」
「うるせえな、さっさと帰れ」
「ありがとうございました」
彼は笑ってニコに頭を下げ、機嫌良さそうに帰っていった。
バイトを終えて家に帰る途中、ニコはその会話を思い出していた。
交際相手がいることで部活にも身が入る、という彼の言葉が印象的だった。なんとなく分かる、と心で呟く。部活に高いモチベーションを持って臨めるのは、基本、同じ目的を持った部の仲間がいるからだと思う。だが、稀に、部の外側にいる誰かの存在が気持ちを奮わせることもある。ニコにとってのそれが、ダンだった。
陸上部のダンと交わしたそれぞれの部活の話は、特別深刻ではなく、いつも世間話の延長線上にあるものだった。何曜日が活動日で、いつ試合や大会があるとか、雨の日や暑い日の練習の過酷さ、現在課されている自己課題などを、何でもなく話していた。改めて思い返してみると、やはり自分はその会話を好ましく感じていて、ダンの話にすすんで耳を傾けていたと思う。会話の空気は何でもなくても、そこにダンの走ることに懸ける思いが見えていたからだ。ダンは自らの思いを声高に主張するタイプではなかったけれど、胸の内に確かな火が燃えているのをニコは感じ取っていた。それは眼の光や声音の芯に表れて、ダンの真剣さを疑いなく受け取れる時間だった。
「スタート直前の緊張感が好きでさ」
いつか、ダンの言っていた言葉が、今でも思い出せる。それを言うダンの凛々しい顔つきも。
スポーツの種類としては対極的だ。ダンは個人技なのに対して、ニコは常に集団の中にいる。それでも、好きな瞬間がある、という点は共通している。ニコが好きなのは連携美だ。これは想像だが、ニコが感動するくらいの連携美を生むためには、集団の中に、やはり研ぎ澄まされた緊張感が必要なのだと思う。だから、シチュエーションも環境も別物だけれど、ダンが好きというそれを、ニコは感覚的に理解していた。そして、自分もそういう瞬間をもっと味わいたいと感じるようになった。ダンの話は、ニコの胸を躍らせたのだ。
それから、ダンの部屋によく行くようになった頃を思い出す。あの時間が叶ったのは、どちらの部も大きな大会を終えた後だったからだ。晩秋から初冬にかけて。ちょうど今くらいの時季だったはずだ。初めてダンの部屋に行ったのは。
部活がある日もない日も、よく入り浸っていた。アユミさんは「また来たのかよ」と言いながらも、ニコに話しかけてくれ、早く帰れとも言わなかった。3人で会話をすることも時々あった。ニコにとって、団野家は居心地のいい場所だった。いつの間にか自然に足が向く場所になり、ダンの部屋が生活の一部のようになりつつあった。何かをしていたわけではない。寧ろ、何もしていなかった。そこがダンの部屋で、そこにダンがいれば、他に必要なものは何もなかった。一緒にいるのが当たり前で、一緒にいたかった。
それが、学年が変わったと同時に急に断ち切られる。
当たり前のものが突如失われたことに、当時の自分はひどく狼狽えた。生活の一部が予告なく切り落とされたそれは、喪失感だと他人は言うかもしれない。だが、ニコにとってはそんな簡単な一言で言い表せるものではなかった。驚きや怖さもあった。疑問だってもちろんあった。今思い返しても、そりゃそうだよな、と過去の自分の肩を叩いてやりたくなる。
電車のドアのすぐ脇に立ち、暗い窓外を見ながら、だけど、とニコは思う。ダンがあの時自分を避け始めたのは、既にダンの中に特別な思いがあったからだと解った。この前ダンから受け取った思いを鑑みるに、それは淡い恋心程度では収まりきらない濃度だったと想像できる。ただの恋慕だけではない。恋愛がしばしばそうであるように、ダンもまた、ニコへの情欲を心の内に秘めていた。
電車のドアが開く。ニコはホームに降り立ち、家への帰路を歩き始めた。
ここで一度、巻き戻してみなければならない。ニコがダンの部屋に当たり前に入り浸っていたあの時。あの頃に、既に兆しはあったのだろうか。進級、クラス替えというタイミングで、いきなりダンが自分を思い始めたとするのは不自然だ。それよりも、長く一緒にいたあの時間の中で、ダンの心に変化があったとする方が納得できる。歩きながら考える。何もしなかったあの時間をできる限り思い出す。
『谷越くんって距離感バカじゃん』
直江の言葉が不意に頭を過った。うるせえな、と脳内の直江に言い返す。
距離感もバカだが、あの場所での寛ぎ方もバカだったかもしれない、とニコは思った。ダンの部屋は、第二の自分の部屋、くらいに感じていたことをニコは否定できなかった。ベッドを占領した。うっかり居眠りをしたこともあった。部活帰りで、お互いに疲れたなと言いながら、シングルベッドにも関わらずふたりで寝そべったこともあった。
「……バカだな」
苦笑が漏れる。ダンが見せた境界線の存在を知っている今、ニコは本気で自分はバカだったのだと分かる。知らなかったことに罪はない。それでも、知ってしまった以上思わないわけにもいかない。ゴメン、と。
ただ、いつからダンがニコのことを友達以上に感じ始めたのか、やはりそれは明確には分からなかった。何もしていなかったのだから、特別なきっかけがあったとは思えない。徐々に育つ感情もある、ということは分かる。ただ、自分がバカ丸出しでダンのベッドを使い、ダンの傍に寄り、体を密着させていたあの時、ダンが自分を好意的に見ていたのは間違いないと思う。当時のダンはニコがどれだけ距離を狭めようとも、嫌がることはなかった。もともと好意はあったのだ。お互いに。そういう日々の中で、ダンの好意の種類が徐々に変わっていったとしたら、途中からダンはどういう気持ちでいたのだろう。自分だったら、とニコは想像してみた。好きな相手と自然に触れ合えるなら、それは素直に嬉しいような気がする。
家に帰り、夕飯を食べ、風呂に入って、ニコは自分の部屋に戻った。ベッドに体を投げ出し、天井を見る。
ダンにも、素直に嬉しいと思う時はあったかもしれない。だが、それだけでは済まなかった。好きな相手と触れ合う距離にいれば、もっと触れたいという欲が生じるのは当然だと思う。ダンもそういう気持ちを辿ったのだとして。ダンは、自分の中に生まれた劣情を、肯定できなかったのではないか。そう思って、ニコは溜息を吐いた。
この前、ダンが自分が同性愛者である、と打ち明けた時の印象を思う。打ち明けた、などという優しい表現方法ではなかった。事実をニコに投げつけるように、それを乱暴に扱っていた。お前と俺は境界線の彼方と此方に分かれていて、此方の事情など解るべくもない、そういう決めつけ方をした。それに、汚い、という言葉をダンは遣った。それらから思うに、ダンは、自分の性愛傾向に否定的なのではないか。
「これ以上自覚したくねえ、とかだったのかな……」
避けられた理由。これを読み解くのに時間が掛かっている。
けれど、同性愛者であることに堂々とできないのであれば、ニコに恋愛感情を抱いたことも同時に否定したくなるような気がした。ダンは火消しをしたかったのかもしれない。これ以上ニコと四六時中一緒にいる生活を続けていたら、消えるものも消えなくなる。だから、2年生のクラス替えで物理的な距離ができたのを好機と、ダンは日常を一変させた。なかったことにするために。ニコへの思いを忘れるために。
しかし、ニコはやっぱりそれは極端すぎる、と感じてしまう。もしダンがそのつもりだったとしても、同時に友達としての時間もなくなってしまったからだ。
「まあ……友達のフリ続けんのも、しんどい場合あるしな」
ベッドの上で寝がえりを打つ。けどさ、とニコは思う。
そんだけ必死で俺のこと避けといて、忘れてねえじゃん、お前。
交わした口づけやその後のことを思い出して、ニコはぎゅっと目を瞑る。ダンの深い思いがまだ胸の中に沁みているのが分かる。あれからずっとそうだ。受け取った、どころではない。思いの丈を体中に流し込まれたような感覚だった。
去年の体育祭の時、とニコは思い出す。
体育祭の練習期間に、ダンと一度だけ短い会話があった。1年半近い時を経て、ダンに話しかけるのは勇気が必要だった。今でも無視されるのかもしれない、そう思うと胸の真ん中がもやもやとした。それでも話しかけたのは、体育祭でリレーに出場することになったのがきっかけだった。当然、陸上部のダンも、自分のクラスからリレーに出る。彼がアンカーを走るのは暗黙の了解のようなものだ。片や、ニコはバスケ部で、走ること自体は日常的であっても、トラックを100メートル駆け抜けることにはまったく不慣れだった。練習が始まり、同じチームのメンバーと試行錯誤するも、コーナーでは思ったように速度が出ず、バトンもボールと感覚が違い過ぎて上手く扱えずにいた。だから、一緒に練習していたダンを捕まえて、訊いたのだ。どうしたらいいか、と。
結論から言うと、その時のダンはニコを無視しなかった。尋ねたことに、答えてもくれた。
『……踏みすぎ』
『流せよ』
コーナーでの走り方。ダンはそれだけ言って、逃げようとした。それじゃ分かんねえとニコは食い下がった。
『お前力入りすぎ。踏みすぎ。遠心力で外に振られ過ぎ』
『体倒せ。内側に』
そして、おまけのように。
『あとお前。バトンセンスなさすぎ』
ダンから聞いた言葉は、これが全部だ。
それでもニコは嬉しかった。ダンから自分に向けて、久しぶりに投げられた言葉だった。目は合わなかったし、声音も事務的だったけれど、そんなことはどうでもよかった。答えてくれたのだ、ダンが。その時、ニコは思った。避けられて逃げられて、遠ざけられているけれど、嫌われているような気はしない、と。なぜなら、ダンがニコの問いに答えたからだ。ニコがどういうフォームで走っていて、どういうバトンパスをしているのか、ダンはそれをちゃんと見ていた。だから、答えられた。ダンが自分を見ていてくれたことにニコは嬉しくなり、安心もし、ここから何か事態がよくなるような期待さえ抱いた。
部屋の白い壁紙を見つめながら、まあ、とニコは考える。事態がよくなることなど、有り得なかったのだ。ダンの中では何も解決していなかったのだから、たかがリレーを一度一緒に走ったくらいのことで、何かが変わるわけはない。と言うか、3年になってもまだ火消しができていなかったのだから、ダンは一旦その態度を諦めてもよかったのではないか。少し前までは、ダンを諦められない自分の往生際の悪さを思っていたが、実は往生際が悪いのはダンも同じだったと気付いて、ニコはひとり、小さく笑った。
その次は文化祭。あれのお陰で、ニコは本当にダンに嫌われているのだと信じ込まされた。体育祭で抱いた自分の期待がいかに愚かだったかに苦しみ、断絶が決定的なものになったと深く沈んだ。
『全部お前のせいだバカヤロウ!』
バカヤロウは余計だろ、コノヤロウ。と、ニコはまた笑いながら思う。でも、きっと本当にバカヤロウだったのだろう。何も知らず、何も気付かず、ニコはクラスメイトと楽しく過ごし、部活にも変わらず精を出し続けていた。ダンの思いなど想像することもなかった自分は、ただ、なんでだよ、と心で文句を言うだけで、呑気に毎日を送っていたのだ。文化祭だって楽しんでいた。陰口があったことも、大した問題ではないと思っていた。
けれど、ダンが怒った。陰口を叩いていた連中に詰め寄り、机を蹴り、その身を震わせていた。怒ってくれるんだ、とニコは思った。文化祭終わりの解放的で賑やかな空気を破ってまで怒るダンに、ニコはまた、少しの期待をしたのだと思う。それなのに、全部オレのせいにされた。それを思って、ニコはまた笑った。この一件のことを思い返して笑ったのは、これが初めてだった。
そりゃそうだ。俺のせいだ。全部。
『全部』の中身を細かに並べてみたら、部屋中がいっぱいになってしまうかもしれない。ニコにはまだ分かっていないものも、きっとある。ダンがニコを思い始めてからあの文化祭の日に至るまで、何がダンを切なくさせていたか。陰口はただのきっかけだ。ダンの怒りはその連中に向き、ニコに向き、そして、ダン自身にも向いていた可能性だってある。荒い息を吐き、その息は震え、全身を強張らせていたダンは、冷静とは言い難かった。ニコに向かってナイフを投げつけた後も苦しそうにしていた。そして、限界を迎えて言い放った。
『もう二度と俺に向かってしゃべりかけんな』
ひどいよなぁ、とニコは思う。でも、自分も大概ひどかったのだろう。鈍感だったのだろうか。でも、直江が言っていた通り、同性と恋愛できるかを考えたことなど、ニコにはなかった。友達は友達であって、ダンがその最上級に位置することは間違いないが、違う種類の好意に変換することは、少なくとも当時の自分には無理だった。ダンの感情があんなふうに暴発してしまう前にできたことがあったかと言われたら、何もなかったと答えざるを得ない。
ニコにナイフを投げつけた後、ダンはどこかに行ってしまったが、あの後、ダンは何を思っていただろう。ニコが完全な断絶を感じていたのだから、ダンも自分がそれをしたという自覚はあっただろう。お前が悪い、だからもう二度と関わるな、とその口から言い放ったダンは、そこでもう一度ニコを忘れる覚悟を決めたのだろうか。それとも、後悔しただろうか。どうだろうな、とニコは想像する。でも、人に向かって乱暴なことを言った時点で、言った本人にも返り血は飛ぶものだ。ダンもあの後は苦しかっただろうと、それだけは分かる。
ニコはまた目を閉じる。そして、去年のダンの誕生日。
もう、強く思い出せるのは、ダンのあの表情だけだ。あれは、ニコへの思いを隠せなかった顔だ。その目が好きだと言っていた。今のニコにはそうはっきりと解る。見たことのない表情だと思ったのは、きっとそのせいだ。
それで、結局ダンがどうするか結論を出したのは、高校を卒業するほんの少し前のことだった。あの日の景色や言葉を思い出した瞬間、ニコの目頭は少し熱くなった。
卒業間近の、誰もいない体育館だった。既に自分たちは自由登校期間に入っていて、その日も学校に行かなければいけない理由は特になかった。だから、ダンに会ったのは偶然で、それがたまたま体育館の近くで、誰もいなかったからふらふらと入っていった。ダンは逃げなかった。そして、ニコに言った。
『……よかったと思う。会えて。……多分』
それが、卒業前の自分への挨拶だと言うことは何となく分かった。たった1年間仲良くしていた相手、と思えば、随分過剰な挨拶にも聞こえる。だが、その1年間の中身を思えば、ニコもまったく賛成だった。だから、言った。
『俺はよかったよ。絶対な』
その時のダンが、努めて逃げまいとするのをニコは見ていた。瞬きは多いし、視線もどこかへ逸れたがっている。けれど、ダンはそういう自分をどうにか制御して、ニコを見ようと頑張っていた。最後の挨拶だから。真っすぐにニコの目を見て、ダンは言った。
『……元気でな』
不覚にも涙がこぼれる。
あの時は知らなかった。卒業すれば、誰もがそれぞれの道を行く。だから、会いたくても簡単には会えなくなる。それを惜しむだけの挨拶だとしか捉えていなかった。
しかし、ダンが高校生活の多くの時間を費やしてニコのことを思っていたという真実を重ねてみれば、あの挨拶には意味が多すぎた。
会えてよかった……多分。ダンは自分と出会ったことを肯定してくれようとしていた。
元気でな。別れた後も、自分が健やかでいることを望んでくれていた。
それだけ言って立ち去ろうとするダンに、ニコは言った。
『またな』
それに返ってきた言葉は。
『……じゃあな』
その時に思ったのだ。フラれたみたいな気分だ、と。またな、と言った自分に、ダンは同じように言ってくれなかった。それが気に入らなかった。当たり前だ。あの『じゃあな』は、『さようなら』という意味だったのだろうから。
あれこそが本当の断絶だった。唐突な決意ではない。ダンはずっと、ずっとそうしようと苦心していたのだ。離れたくて、忘れたくて、それでもうまくいかなくて、でも今度こそと思ったはずだ。卒業はクラス替えとはわけが違う。少し歩いていけばその顔が見られる、などということは絶対にない。だから、ダンは終わりにした。自分の気持ちに蓋をして、最後にその意思を言葉にして、ニコに告げた。
ニコは涙を拭い、ふ、とまた笑ってしまう。
それなのに、この夏、自分はダンに会いに行った。笑ってしまう。再会したあの時、ダンから漏れた、
『…………は?』
を思い出すと、笑いが止まらなかった。さようならを言ったはずの相手が、のこのこと自分の職場に現れたのだ。
そりゃ信じられないモノでも見た顔になるよな。
卒業から3ヵ月の時を経て再会した時、ダンはニコとの会話を、以前ほどは拒まなくなっていた。高校生活が終わっていたからかもしれない、と、ニコは自転車屋で工具を握っていたダンを思い浮かべる。社会人になって、新しい生活が始まって、環境が変わった。高校という箱の中に閉じ込められていた当時とは、時間の流れも空気も変化している。ダンは、ダンの人生を始めていた。
ニコへの思いは、消えつつあったのだろうか。会わないままでいたら、消えていたかもしれない。それなのに、自分が会いに行ったことで、また火を点けた。そんな気がする。でも、消えないでよかった。ニコはそう思う。解ってやれて、よかった。恋愛、という言葉を掲げると途端に難解なものに思えるが、これを一度取り払って考えてみれば、意外と気持ちはシンプルだ。初めからダンのことは好きだ。ダンに会いたい。一緒にいたい。
同性がどうだ、という問題も今はどうでもいい。
ダンと、どうなれるか。俺はダンとどうなりたいのか。
体中を巡るダンの思いを、ニコは黙って、しばらく感じていた。
続く
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