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第7話
Tシャツの中を覗いていると、尚が不意に顔を上げた。
「今覗いてたでしょ?」
尚は目を細めて俺を睨みながら、Tシャツの胸を押さえた。	
ヤバイ、ばれたっ!?
これは女子が良く言うあれだな・・・。視線を感じてってやつ。
「いや、見てない見てない見てない!」
顔を左右にブンブン振ると、
「ま、別にいいんだけどね。男同士だし。減るもんじゃないし」
尚はクスっと笑った。
「で、話って何?」
またその笑顔が可愛くて、要らない事を考えてしまわない内に、座り直しながら本題に入った。
「あそうだ!昨夜の事誰にも言ってないよね」
尚はギュッと俺のシャツの胸元を掴んで目を潤ませた。
近いっ、顔が近いっ!!
さっきまであんなに警戒して俺から離れていたくせに急に距離が近くなる。
そうとう心配なんだなぁとは思うけど、俺って信用ないんだなって、ちょっと悲しい。
胸元を掴む尚の手をそっと握りそこから離す。
「言ってないよ。これから言うつもりもないし、心配しなくていい。それに昨夜の事話したら俺だって無傷じゃいられないじゃん」
そう言うと、尚は「それもそうだね」と言ってフフッと笑った。
「そう言えばさ俺驚いたよ」
「ん?」
くりくりと目を丸め、いたずらをする子供の様な顔で何を言うのかと思えば、
「壮太朗ってすんげえ早いんだねっ」
昨夜のあまりにも早過ぎる俺の『発射』の事。
「あれは違う!何時もはあんなに早くないって。あれは尚がっ・・・」
「俺が?」
尚が相手で・・・、ずっと思い描いていた事が、俺の夢が叶いそうで・・・。
「俺、尚の事がずっと好きだったんだ」
言うつもりはなかったのに、想いが溢れて思わず口から零れる。
そんな俺の告白に、尚は顔を曇らせた。
「ありがとう」
たった一言。
「それだけ?」
「ごめん嬉しいけど壮太朗の気持ちには答えられないよ。それに・・・俺の事知ったら、きっと壮太朗は俺の事嫌いになる」
眉根を寄せ小さく呟くと、尚はよろよろと立ち上がり部室を出て行った。
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