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第9話

「なぁにぃ~話しって」 大学近くのカフェで、甘そうなケーキに目を輝かせながらサークル仲間の楢沢凛が訊いた。 楢沢凛。尚と同じ経済学部で、何を隠そう俺の「元彼」。 「相変わらず甘いモン好きだなぁ・・・」 尚といい凛といい、可愛い「生き物」は甘い物が好きなのか? 「壮太朗は食べないの?」 イチゴの代わりにマンゴーの乗ったショートケーキを一口分掬うと俺に差し出した。 「いらねえよ。甘いモン好きじゃねーから」 「うん、知ってる」 ニコッと微笑むと、凛は俺に差し出したマンゴーショートを自分の口に入れた。 「壮太朗と2人きりでいる所を凌大に見られたら面倒なんだから、早く用件言ってよ」 ケーキを頬張りながらぷくっと頬を膨らませる。 凌大は同じサークルで何時もつるんでいる6人のうちの一人。凛の今彼だ。 「俺達の事言ったの!?」 「言ってない!言う訳ないじゃん。あ!壮太朗も誰にも言ってないよね?」 頬を膨らませたまま俺をキッと睨んだ。 「言ってねーよ。てか、俺と付き合ってた事がばれたら何か困るわけ」 「困る!壮太朗と付き合ってたなんて僕の汚点だもん」 「おいっ、汚点ってなんだよ」 バンッとテーブルを叩いて身を乗り出した。 小柄で童顔の凛。長身で細身の尚がモデル系なら小柄で丸顔の凛はアイドル系。 動物に例えるならリスとかハムスターとか小動物。 でも本当は口が悪くて腹黒くて、とにかく見た目と全く違う。 小さくて可愛いと思って甘く見ていると痛い目に遭う。 「もうっ、壮太朗と居ると何時も喧嘩になるから嫌なんだよ」 凛がフォークを置いた。 「悪い・・・つい。お前相手だと遠慮が無くなるって言うか、言いたい事言えちゃうんだよな」 溜息交じりに苦笑しながら、乗り出した体を元に戻した。 「分かる・・・。僕も壮太朗相手だと可愛く見せようとか思わないし、別に嫌われてもいいやって思うもん」 うんうん頷きながら凜はまたマンゴーショートを口に運んだ。

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