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第10話
「それより話しってなあに?別に喧嘩売る為に呼び出した訳じゃないでしょ?」
マンゴーショートを食べ終えた凜は、次のケーキを選ぶ為にまたメニューを開いた。
小さい体で良く食うなぁ・・・と思ったけれど、余計な事を言ったらまた言い合いになるから言葉を飲み込む。
「すいません、フォンダンショコラお願いします」
天使の様な笑顔で女性店員に注文すると、
「壮太朗の奢りでしょ?」
全く真逆の顔で俺に微笑んだ。
「ええっ!?マジかよ、ここ結構高いのに」
「知ってるぅ~。だからこの店指定したんじゃん」
テーブルに肘をついて掌に顎を載せ、凜は得意の「あざとい」笑顔を見せた。
「知ってるじゃねえよ!俺は修吾や凌大と違って、家が金持ちじゃねーんだぞ。学費は出してもらってるけど、生活費はある程度自分で稼がなきゃいけねーんだぞ」
「うん知ってるぅ」
凜はぷっくぅ~と頬を膨らませて、またあざとい顔で返事を返す。
俺はテーブルの上に置いてあるメニューを開くと、凜の頼んだケーキを探した。
「いやだったら気を遣えよ。ここ、コーヒー一杯1000円だろ」
「930円。ケーキとセットだとコーヒー680円だよ」
「分かったよ!ケーキとセットでコーヒー680円だとして・・・マンゴーショートが、はっ、……830えぇんっ!!」
ケーキとコーヒーで1500円って、俺の3日分の食費が約15分で凜の腹の中に消えた。
くっそぉ・・・ぜってえ有益な情報を聞き出さないと。使った金額の分だけ尚の情報を聞き出してやる。
「お前尚と仲良いだろ」
「うん。壮太朗よりずぅーーーーーーっとね」
若干ドヤ顔なのが気になる・・・が、ここで余計な事を言ったら1500円が無駄になる。
いや、「フォンダンショコラ」とやらを加えたらもっとだ。
「お前、尚が何のバイトをしてるか知ってる」
凛の耳がピクッと動いた。
これは知ってるな。耳が動いたのは何かを隠している証拠だ。
「俺さ昨夜・・・」
そこまで言って俺は声を潜めた。
「風俗で尚に会ったんだ」
「えっ」
「尚ボーイやってたんだね」
凜は目を見開き、口を開けたまま動きを止めた。
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