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5 【5】*R18

 ますます恥ずかしくなって、顔を両腕で覆うのをやめられない。腕の隙間から様子を覗く。  腿に手を置かれ、彼の指先が足の付け根を撫でた。 「ふっ……、ぅ……! ぅあ……っ!」 (もうダメ、耐えられない……!)  彼の手が思わせぶりに下着の中心へ近づいてくると、性器が正直に反応してしまう。欲望で膨らんだ自身を必死に押し付ける。 「はっ、はぁっ、ぁっ、あ……!」  すると、俺の願いを聞き入れるように英一はそれを布越しに握り、刺激してくれた。  求めていた快感──それどころか、味わったことのない敏感な感覚に、声が抑えられなかった。のけぞりながら喘ぐ。 「ああぁっ、あっ、ぁっ!」  自分の先走りでしっとりと濡れた布が、英一の手の温度に近づいていった。  性器が一層硬くなると、彼の手は下着の中へ入り込む。久しく性を忘れていたそれが外界に引き出され、大きな手に包み込まれた。  にちにちといやらしい音が聞こえてくる。緩やかな上下運動だったが、俺の視界では激しい火花が散っていた。──気持ち良すぎる。 「ふぅうっ! ぅあ、あぁっ! えいいち、さ、あ、ぁああ……!!」 「私がおとなしくここからいなくなったら、キミは一人でこうするつもりだったの?」 「だって、そうでもしなきゃっ……おさまらないからっ……! ぁ、んんぅっ!」 「私がいるんだよ。照近さんには」 「わかっ、わかってますっ、でも、っぁ、い、イく……っ!」  大した刺激でもないのにあっさりと果ててしまう。  精を吐き出す快感に喉を鳴らしながら、俺は困惑していた。 (出したのに……、まだ……)  性器の充血は一旦おさまるものの、ヒートの焼けるような飢餓感はちっとも消えていなかった。 「……どう? まだつらい?」 「う、ぅ……」  素直に言えるわけがない。  顔を背けたまま、端に脱げたズボンを戻そうと腕を下ろした。  そのとき、英一の下肢に俺の手の甲が当たる。──彼の中心がしっかりと兆していることに気付いて、すぐには手を退けられなかった。視線を向けたまま喉を鳴らしてしまう。  いつまでもそこにいる俺の手を、英一がつかむ。  叱られると思った。 「あ、ご、ごめんなさいっ……」 「……私が怖い?」 「違う、違うんですっ」  淡々と言われて、思わず泣いてしまう。  わけがわからない。自分の考えていることが。  英一を求める気持ちはずっと胸の中にあった。だからそれ自体はなにも問題ない。  だが、こんなきっかけで彼と交わるなんてあんまりだ。  彼を慕う男妻(つま)としての体裁も剥ぎ取られ、淫らなオメガであることをさらけ出さねばならないことが恥ずかしい。  俺は、体裁を保ちたいはずなのに、真逆のことばかりしている。  足に引っかかっていたズボンを脱ぎ捨て、脚を開いていた。  震える手で自らの後孔を確かめる。俺の肉体は、彼を受け入れる用意をすでに整えているようだった。 「ここ……っ、女と同じで濡れるので……っ、お、おねがいします、っ……! お、おれ、ちがうんです、誰にでもこんな、しな、しないっ……、ふぅっ、うぅ……っ! し、失望、しないで……っ」  指の間でオメガの愛液が垂れた。  恥じらいよりも飢えが勝っている。しゃくりあげてぼろぼろ泣きながら、彼のまなざしに耐えた。  英一がベルトを緩める音が聞こえた。  そつなく俺の片足を持ち上げて身体を近付ける。  彼のものが秘所へ押し当てられる感触があった。 「……挿れるよ」  俺の懇願に対する彼の返事は、至極簡潔だった。  腰を抱かれ、頷いて見せる。 「ぁああ……っ!」  窄まりを押し広げ、熱が俺の中に入ってくる。  ゆっくりと、俺の反応を見ながら。  無理のないところまで接合を果たすと、馴染ませるように動きが止まる。  ……俺は、じっと繋がりを感じるだけで身もだえ、蕩けてしまうのだった。 「は、ぁ、ぁっ……あぁ……!」 「……変な感じだ。これがあてられてるってことかな。キミをめちゃくちゃにしてしまいたくてたまらないよ。まるで──」  言葉の乱暴さとは裏腹に、優しく涙を拭われる。  潤む視野で彼を見上げた。 「──まるで、自分に牙が生えたような気がする」  薄く開いた唇の隙間から、白い犬歯が見えた。  自分の捕食者を前にした被捕食者とはこういう気分なのか。アルファの牙から目が離せなくなる。 「動いてもいいかい?」 「は、い……っ」  抜き挿しが始まり、途端に俺は目を回してしまう。 (な、にこれ、良すぎるっ! 英一さんが動くたび……っあたまビリビリ痺れるくらい気持ちいいっ……!) 「あぁああ……っ!」  様子を見るようなピストンは、すぐに調子が早まっていく。それは流し込まれる快感の増幅に他ならなかった。 「あ、ぁっ! うぁ、あっ! あぁあっ!」 「気持ちいい? 照近さん」 「ぁ、んぅっ! あぁっ! えい、いちさ、ぁっ、あっ!」  ビクビクと震えて快楽に溺れる。ヒートの身体がこんなに敏感なるなんて知らなかった。  受け流しきれない快感が絶頂の気配を早くも引き寄せている。  は、と英一の息遣いを聞いた。  屈んだ彼の歯が、俺の喉仏のあたりに当たる感触があった。首を甘噛みされる。 「あぁぁ……!」  うなじの近くというだけで意識してしまう。俺の中に湧き上がるのは恐怖ではなく、めまいがするほどの興奮だった。  彼の手が俺の肩に置かれ、するりとうなじへ滑っていく。手のひらが首の後ろを包む。──他の人に触られるのは、あんなに怖かったのに。 「っぁ、あ……! ぁ……! ──~~~~……っ!」  暖かい。きもちいい。気がつくと、うなじの感触に集中しながら静かにナカイキしていた。  後孔が緊張し、英一を締め付ける。 「っ、……ここ、触られてイったの? イヤじゃない?」 「わか、らな、っ……あたま、働かな……っぁああ……!」  調子の緩んだピストンに揺られつつ英一の背中にしがみつく。かすかに汗の匂いがした。たまらなく愛おしい。 「照近さん、腕、緩めて……っ、もう、出そう、だから……」 「ん、ぅっ、うぅっ……!」  俺がやっと腕の力を緩めるなり、英一は腰を引いて接合を解いた。自身を握って外に射精する。 「っく、……は……!」  俺の腹に向かって吐き出されていく白濁の様子を、オメガの本能がもったいない気持ちで眺めてしまう。 「は……っ、は……っ、……っ、ん……」  心臓がばくばく鳴っている。英一が俺で果ててくれた満足感が絶頂の余韻をひときわ甘くさせていた。  俺の中からヒートが去っていくのを感じる。  興奮しっぱなしで体力を使い果たしたのか、頭がぼうっとした。手足も瞼も重い。  一方、英一の勃起はおさまっていないようだった。 「すごいものだね、オメガのフェロモンの力は……」  うとうとした意識のまま、俺は彼の性器に手を伸ばす。 「オメガは……丈夫なので、英一さんの気の済むまで……使ってください」  彼は少しばかり驚いたような顔をして、すぐに穏やかないつもの微笑みを作った。 「……疲れたはずだ、寝なよ。ヒートは落ち着いたみたいだし、だったら続きは今じゃなくていい」  ソファに横たわる姿勢を直され、子供を寝かしつけるように髪を撫でられた。そんなふうにされては睡魔に負けてしまう。  英一はまだ満足していないはずなのに。その状態で耐えることがどれだけつらいか同じ男としてわかる。  元はと言えば俺のフェロモンのせいなのだから、抜いてあげなければ……そう起きあがろうとするも身体が言うことを聞かない。  そこで意識が途切れた。

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