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第7話 一口ください。

「ちょっ……と待って、月城くんの偏食事情?は、大体わかったけど、その……飲まれる方は大丈夫なの??」 「痛かったり、貧血になったり、しないのかな………?」 「緋美は、全然痛くないって。血も一気に全部飲むわけじゃないからね。献血に行ったら、古い血が抜けて、健康になった〜なんて言う人もいるでしょ?その感覚だと思うよ。」 「ね?緋美。」 緋美くんの方を見ると、 「ん?ああ、まあ、そうだね。」 緋美くんは口を押さえて、耳まで真っ赤にして照れている。 なんだこの兄弟!?だから照れどころわからないって…!! 「ってことで、お願い!」 「一口だけ、試させて?」 月城くんは胸の前で両手をぎゅっと合わせ、少し身を乗り出すと、潤んだ瞳で俺を上目遣いに見つめてきた。 そう来ると薄々わかってたけど、血を飲ませるなんて… でも……顔…狡いって…こんなの断れるやつ、いないだろ……… 「しーちゃん。俺は反対だよ!俺の血でここまで育ててきたんだぜ?今日会ったばかりの、どこの馬の骨ともわからない男の血を、しーちゃんが飲むなんて!」 奥歯をギリギリ鳴らしながら、緋美くんが俺を睨む。 お兄ちゃんのこと大好きなんだな。 …って感想でいいのかな? 「そういえば、緋美くんは、兄弟なのに体質違うの?食事摂れるの?」 「俺は、しーちゃんとは父親が違うんで。」 「えっ、なんか込み入ったこと聞いちゃってごめん……」 「いや、俺もしーちゃんも、父親のことはよく覚えてないから。でも、しーちゃんの体を作ってきたのは、俺なんで!それだけは、間違いないんで!!」 緋美くんも違った意味で噛みついてくるな。。 「緋美〜、もちろん緋美の血は最高だよ。でも、他人の血に、こんなに惹かれたことはないんだ。試すくらい、いいでしょ?」 いや試すも試さないも、俺次第だと思うんだけど… 「…あのさ、」 「うん?」 「なんで、俺なのかな?」 「あー…。」 「…多分、だけど…。」 そう言って月城くんは、赤い液体の入ったボトルを持ってきた。 「これ、緋美の血以外で、僕がなんとか飲める、市販の血。」   そのラベルには、 『Male Virgin Blood』と書かれている。 「…ってことは…。」 「そ、まだ誰とも交わりのない、ピュアピュア男子の血♡」 「!!そ、それで、緋美くんが、純潔守ってるとか言ってて……月城くんは、俺に恋人いるか聞たんだ…」 「うん、味覚は人それぞれ違うでしょ?僕は、処女より童貞の血があってるみたい。」 「あ、ごめん。ストレートに言っちゃった。」 「でも僕も普通に童貞だから!あははは!」 いや、だから、笑いのツボわかんないって… 「でもね、童貞なら誰でもいいワケじゃない。転んだ小学生の血の滲んだ膝見た時、 「おっ♡」 とは思ったけど、別に飲みたいとか思えなくて。」 「おっ♡」、とは思ったんだ。 何そのラッキースケベ感…… 「貪欲なのに誰とも手さえ繋げていないような、ピュアッピュア!の童貞拗らせボーイの血が、僕の嗜好にあってるんだと思う。」 「君みたいな、ね!」 〜〜〜そんな風に言われれば言われるほど恥ずかしいんですけど〜〜〜!!? 「……ってことで、いいかな?」 月城くんはスッと立ち上がり、俺に近付くと、 細くて白い手で俺の顔を包んだ。 ヒヤリとした感覚が耳と頬に伝わる。 「あっ、ややややや……ちょっ、まだ心の準備が…」 俺の心臓は、爆発しそうなほどに高鳴っている。 この高鳴りがなんなのか…恐怖なのか興奮なの…か……俺にもわからなかった。

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