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第25話 月の綺麗な夜は。
驚いて目を開けると、
月城くんは真っ赤な顔で俯いていた。
月「あのっ!…ご、ごめん…!やっちゃった…!」
光「えっ…と…」
光「普通にキスした…よね?」
月「……そだね…。」
光「な…なにゆえ…?」
月「なんでだろうね……。」
光「儀式的なものは、無しでって…」
月「儀式ではないので…。」
月「ギュッて目つぶって、
僕を待ってるこーくんの顔見てたら…」
月「吸い寄せられたっていうか……」
月「ごめぇん…」
光「ええ……」
光「儀式でも作法でもない?緋美にしたこともないの?」
月「ないない!というか…」
月「僕の、ファーストキス、です……。」
月城くんは消え入りそうな声でそう言った。
光「俺だって、初めてだよ!」
月「だろうね。」
光「なんだよ!ビックリして死ぬかと思ったし!」
光「なんなら今からでも死ねそうなくらい恥ずかしいな!!」
光「んあああああ!!」
月「こーくん、ごめん」
月「大切にとっておいたファーストキス、僕が奪っちゃって…。」
月「なんか僕、また変になってるね……。
月に惑わされてるのかな……。」
光「大切にとっておいてない!」
光「相手がいなかっただけ!」
光「こんなこと、言わせるなよぉ……」
月城くんと…キスしたなんて……
首筋にされたことはあるけど、
あれとは意味が違いすぎるだろ……
あれっ、俺のピュアッピュアメーター、
どうなるの??
光「今ので、血が不味くなったんじゃない??」
月「えっ?」
光「ほら、俺、一つ上の男になっちゃったから…」
月「ぷっ、あははっ!」
月「大丈夫!その思考こそピュアッピュアの証だから!」
月「…でも、味見しなきゃわかんないね!」
月「今度こそ、カプッ、チューチューにするからね…」
月城くんは再び俺の顔を両手で包むと、
ゆっくりと首元に唇を寄せた。
息のかかる距離で動きが止まったので、
月城くんに目を向けると、
俺を見上げる月城くんと視線が重なった。
月「…舐めてもいい?」
うわっ!
おいっ!!!
言い方!!!!
月「血が止まらなくなると困るから…。」
光「あー!そういう仕組みだよね。うん、それは端折れないね。でも軽めでお願い!!」
動揺で声が裏返る。
月「ん…」
月城くんはとても優しく、首元を舐め始めた。
あーーーー耐えろ耐えろ…
これは血を止めるため……
月「…こーくん、いただきます…」
ついに月城くんが、俺の首元に歯を立てた。
……ッ!
痛いと思ったのは一瞬で、
血を吸われるたびに、心も体もふわっと軽くなっていくような、幸福感に包まれた。
ジュッ……
ジュッ………
月「はぁっ…こーくん…」
月「すごい、前より美味しくなってる…!」
月「あっ、こーくん…すごい…イイ…!はぁっ。…!すごい…!!」
俺は急いで月城くんを引き離した。
光「……ちょっ…と、無理…もう今日は、終了……」
月「あっ、そうだったね!一口って言ったのに、美味しすぎて結構飲んじゃったかも。大丈夫??」
光「大丈夫だけど、耳元でそれは…ヤバいって…」
月「エッ、僕なんか言ってた??夢中で覚えてないんだけど??」
光「うん…漏れてたよ、感謝とリスペクトが……」
光「俺の時は、出来るだけ無言で飲んでくれない?次からは…」
月「えっ!次まで考えてくれてるの??」
光「あ、えっと、毎日は無理だけど、」
光「たまになら……」
月「こーくん!嬉しい!!」
月城くんは俺に抱きつくと、
首元の傷にキスをして、
俺の差し出した絆創膏を、
丁寧に貼ってくれた。
月「こーくん、ごちそうさま…!」
月「今日は僕たち、初めてのことだらけだったね…。」
月「がんばって合宿来てよかった!」
月城くんの顔が、花が綻ぶようにぱっと明るくなった。
ああ…やっとこの笑顔が見られた…。
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