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第2話:2度目の出会い
数日後。
仕事を終えた楓が店の裏口から出ると、そこには見覚えのある青髪の男が立っていた。
「……」「……」
目が合うと、二人とも露骨に嫌そうな顔をした。
「……またあなたですか」
「それ、こっちの台詞なんだけど」
楓は煙草を取り出しかけて、ふとハウレスを見ると。先日の説教が頭を過った。
そして、わざと胸ポケットへ戻した。
「今日は吸わないんですか?」
「そうだけど?お前いがい理由無いと思うけど」
「……」
ハウレスの眉間に皺がよる。楓のことを苦手だお思うハウレスは人の忠告をまともに聞かないくせに、こちらをからかうような言い方ばかりする。
「それより、こんなところで何してるの?」
「先輩を持っています」
「ああ……なるほど」
楓は納得したように頷いた。
「じゃあ、俺は帰るから」
「はい、お疲れ様でした」
「……」「……」
二人とも動かない。
「……何?」
「いえ」
「いや、絶対なんかあるでしょ」
「俺?」
「先ほどから、こっちを見ていますよね」
「見てないけど」
「見てます」
「見てないって」
楓は、眉間に皺を寄せ、いやそうに聞こえるか聞こえないかの大きさで舌打ちをした。
「舌打ち、しましったか?」
「……うざ」
「……」
ハウレスの表情が固まった。楓は「あ」と思った。少し言い過ぎたかもしれない。と思ったが、謝る気にはなれなかった。
「え?」
「俺も、あなたのことを少し苦手だと思ってます」
「奇遇だね。俺も」
楓は即答した
「……」「……」
二人の間に、なんとも言えない沈黙が落ちる。普通ならくまずくなるところだ。
「なら、無理に話す必要ないですね」
「そうだね」
「……」「……」
それでも二人は、その場を離れんかた。やがて遠くから、ハウレスを呼ぶ声が聞こえる。
「ハウレス!またせたな!」
「……先輩」
ハウレスが振り返る。その隙に楓は小さく息を吐いた。
「じゃあね、お兄さん、一生会わないことを願うよ」
「……はい」
ハウレスが、先輩の方へ戻っていく。その背中を見送ってから、楓も反対方向へ歩き出した。
(……なんなんだよ、あの人)
————それから数日後。
楓は仕事を終え、裏口から出る。
「……寒」
夜空にみを縮めながらポケットから煙草を取り出す。火をつけようとした、その瞬間。
「……あ」
「……」
そこにいた
「またあなたですか」
「……またお兄さん?」
ハウレスは少し驚いたように目を見開いた。
「……煙草」
「え?」
「吸うんですね」
「そりゃ吸うでしょ。俺、喫煙者だし」
「そうですか」
「……」「……」
楓は、火をつけ煙を吐き出す。
それを見て、ハウレスは何も言わない。
「……今日は説教しないんだ?」
「しません」
「へえ」
「あなたに、何を言っても無駄と分かったので」
「……なんか、その言い方腹立つな」
「すみません」
「別に謝らなくていいよ」
「では、謝りません」
「……」
楓は思わず吹き出し、ハウスの前で初めて笑いだした。
「ふっ……」
「?」
「いや……お兄さんって、意外とお面白いね」
「——面白い?」
「真面目で、堅物だと思ってたけど、ちゃんと嫌味言うんだね」
「あなたが失礼なだけでは?」
「ほら、それ」
楓は、煙を吐きながら笑った。
「そういうところ、嫌いじゃないよ」
「……」
ハウレスが固まる。
「……今、なんと?」
「え?」
「嫌いでは無い、と言いましたか?」
「ああ」
楓は、何でもない事のように頷いた。
「まあ、前よりはね」
「……」
ハウレスの瞳が僅かに揺れる。
「……俺も」
「ん?」
「あなたの事を以前ほど苦手ではなくなりました」
「そっか」
楓はまた、煙草を吸う。
「まぁ、興味無いけど」
楓は、笑った。
その笑顔を見た瞬間、ハウレスの胸の奥が妙にざわつくのを感じた。
嫌いじゃない。
むしろ——
「……」
ハウレスは無意識に楓を見つめる。
「何?」
「いえ」
「あっそ」
楓が、呆れたように笑う。
ハウレスは、その笑顔から目を逸らした。
——この人と話ししてると、調子が狂う。
女性に囲まれている時とは違う。緊張もしない。
嫌われて、もいいと思っていた相手なのに今は少し、嫌われるのは少し嫌だった。
その感情が何なのか。
この時のハウレスには、分からなかった。
「……そいえば、お兄さん」
「はい」
「名前、聞いてなかったね」
「……」
「俺は涼宮楓」
「涼宮……」
ハウレスはその名前を小さく繰り返す。
「俺は、ハウレス・クリフォードです」
「ふ〜ん」
「何ですか……」
「じゃあ、ハウレスって呼ぶね。」
「……はい」
ただ名前を呼ばれた、だけなのに。ハウレスの耳が、ほんの少し赤くなった。
「……?」
楓は、それに気付けない。
「俺はハウレスって呼ぶからハウレスも楓て呼んで、あとタメでいいよ」
「……楓、さん」
「はーい」
楓は煙草を灰皿絵押し付ける
「じゃあ、またね。ハウレス」
「……はい」
楓が背を向ける。ハウレスはその背中を見送った。
そして、ふとハウレスは気がつく。もう少しだけ、話していたかった。さっきまで帰りたかったのに。そんな事を考えている自分に驚くのだった。
心臓が、ほんの少しだけ速い。
「……何なんだ、これは」
その答えを、まだハウレスは知らなかった。
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