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第15話 スキャンダル(前編)

【登場人物】 ・青山コウタ(あおやまコウタ) 響の事が好き。 だけどまだ告白はしていない。 ドラマがクランクアップするまで 告白はしないで。と木田に言われている。 木田の元彼。 響からは、コウタくん。 木田からは、コウちゃん。と呼ばれている。 《FiVE DrinK》 ・響ワタル(ひびきワタル) 青山の事が大好き。 だけどまだ告白はしていない。 仕事の事で頭がいっぱい。 アイドルグループ FiVE DrinKのセンター。 撮影中のBLドラマ「フタツノ ヒカリ」W主演で “浦井耀”(うらいひかり)役を演じている。 落ち着いたら告白しようと考えている。 青山からは、ワタル。 木田からは、響もしくは、ワタルと呼ばれている。 ・押部リョウタ(おしべリョウタ) FiVE DrinKのリーダー。 明るくノリが良いムードメーカー。 思った事をすぐ口に出すタイプで、 FiVE DrinKの空気を一気に明るくする存在。 なんだかんだ周りをよく見ており、 気付けば騒ぎの中心にいる。 ・緑川コウヘイ(みどりかわコウヘイ) FiVE DrinKメンバー。 冷静そうに見えるが、 どこか天然で子供っぽい一面を持つ。 暴走するメンバー達にツッコミを入れつつ、 気付けば自分も巻き込まれている。 ・楓ユウサク(かえでユウサク) FiVE DrinKメンバー。 距離感が近く、 人をイジるのが大好きなムードメーカー。 自由奔放に見えるが、実はかなりの策士。 悪知恵は誰よりも働き、 面白そうな事にはすぐ首を突っ込む。 特に黒川をイジって遊ぶのが好き。 ・黒川ジン(くろかわジン) FiVE DrinKメンバー。 クールで口数は少ないが、感情が顔に出やすい。 ずっと響を想い、 その気持ちを伝える事なく響を支えていた。 しかし、青山の笑顔と、 手作りの明太子パスタに堕ちた。 今では黒川にとって、 青山コウタは“推し”になっている。 ・木田アスカ(きだアスカ) FiVE DrinKを預かる敏腕マネージャー。 青山コウタの元彼女。 青山からは、悪魔と呼ばれている? 響のスマホのLINEの名前は、 “天使か悪魔か”にされていたが “木田天”に変更された。 ・吉川キョウスケ(よしかわ キョウスケ) ReACTiO PRO(リアクティオプロ)所属 新人女優、大空ユメのマネージャー。 人当たりが良く、 誰とでもすぐ打ち解ける柔らかい性格。 常に笑顔を絶やさず、 木田アスカにも懐いている。 しかしその正体は……。 ・中尾マサシ(なかお マサシ) FiVE DrinKが所属する芸能事務所 ReACTiO PRO(リアクティオ プロ)の社長。 人を見る目に長けており、 響ワタルをスカウトした張本人。 穏やかな口調とは裏腹に、 時には冷酷な判断も下す。 その人が売れる為なら、 自ら悪役になることも厭わない。 木田やFiVE DrinKからの信頼も厚い。 元所属タレント・黒崎零とは、 複雑な因縁と信頼関係を持つ。 フリーザの声に似ているらしい? ・野村リカ 中尾社長の秘書。 中尾が役者時代の3代目マネージャーとして 支え続け今では中尾の右腕として働く。 中尾の事を一番良く知る人物。 ・黒崎零(くろさき れい) 芸名 RAY-K(レイケイ) 芸能事務所 Crest Aster(クレストアスター)の社長。 元アーティストであり、 圧倒的なカリスマ性と実力で 事務所を大手へ押し上げた叩き上げの男。 勝ち気で口も悪く、 かつてはReACTiO PROに所属しており、 中尾社長には反抗的な態度を 取っていたが、 誰よりもその実力と 人を見る目を信頼している。 向上心が強く、 常に“勝つこと”を求め続ける。 所属タレントには厳しいが、 その才能と人生には本気で向き合う。 実はモフモフしたものが好き? ・兎波奏(となみ かなた) アイドルグループ VIREST(ヴィレスト)のセンター。 「フタツノ ヒカリ」で 響ワタルとW主演を務める若手人気俳優。 クールで近寄り難い雰囲気を持ち、 ドSキャラとして人気を集めている。 響ワタルを尊敬しており、 共演をきっかけに親しくなる。 現在は、 響に恋愛相談をしている。 所属事務所は、 Crest Aster(クレストアスター)。 社長の黒崎零(RAY-K)からは、 「かなた」と呼ばれている。 葉山智也(はやまともや) 兎波奏のマネージャー。 デビューの時から兎波の事を 支えている。 阿川聖哉(あがわせいや) 元芸名、SEIYA(セイヤ) Crest Asterの副社長。 黒崎の側近。 ReACTiO PRO在籍時の同期。 黒崎の事を良く知る人物の一人。 一ノ瀬ルナ(いちのせルナ) Crest Asterに所属する女優。 Crest Aster一番の稼ぎ頭だが……。 ━━━━━━━━━━━━━━━ 木田「もしもし。木田です。」 男の口元がゆっくり動く。 社長「さっき、とある週刊誌から、 “FiVE DrinKの響ワタル、 男性と親密愛か?!”っていう見出しの 記事原稿が送られてきたの。 駅前で一つの傘に入って、 腕を組んで歩いてる写真付きでね。 それと同時に、事実確認の問い合わせも。 回答の期限は明日まで。 ですって。」 頭が真っ白になる木田。 社長「……一体これは、どういうこと?」 社長「あと…… アナタが今口説いてるっていう FiVE DrinKの新しいマネージャーの件は、 進んでるんでしょうね?」 木田「……………。」 放心状態で何も言えない木田。 中尾社長「木田?聞いてるの?」 木田「は!はい!今すぐ戻ります!」 社長「質問に答えなさい。」 社長「響には、男がいるの?」 木田「………。」 社長「どうなの?! いるの!?いないの?!」 語気を荒らげる社長。 木田「……います……。」 社長「そう……。」 木田「その件につきましては、帰ってご報告させて頂きま……。」 社長「青山コウタ……。」 木田の背筋が凍った……。 木田「え……?」 社長「響の恋人は、青山コウタでしょ?」 社長から、まさか青山の名前が出てくるとは思わず青ざめている所に、恋人であることも勘づいてる社長に恐ろしさを感じ、これまでにないか細い声で答える木田。 木田「……はぃ……。」 社長「わかりました。」 木田「……。」 社長「一つだけ聞かせて。」 今度は何を聞かれるのだろう……。 恐る恐る返事をした。 木田「……はぃ……。」 社長「アナタを……、響を……、 そして青山コウタという男を……、 私は信じて良いのよね?」 微かな希望が見えた……。 木田は、背筋を伸ばし 真っ直ぐ前を見て答えた。 木田「はい。 それは自信を持って断言できます。」 社長「響と共に今すぐ帰って来て。」 木田「かしこまりました。」 ピロンッ ブッブー 社長から一通のメッセージが届いた。 〈青山コウタの情報を送りなさい。 アナタの知っていること全てを今すぐに。〉 と、ともに週刊誌から送られてきた 記事の写メが送られてきた。 木田「これ、ホントに響とコウちゃん??」 《♪♪♪ まもなく、新大阪です。お出口は……》 急いで響の元へ戻る木田。 木田「響!帰るわよ!」 響「え?!」 木田「話は後で……。」 ━━━━━━━━━━━━━━━ --新大阪駅ホーム 足早に改札へ向かう二人。 木田「響とコウちゃんの スキャンダルが出るわ。」 響「え?!」 響「……。」 木田「これ……。」 社長から送られてきた写メを見せる木田。 響「え?これ??」 木田「週刊誌の記者からの接触はあった?」 響「それはないかな……。」 全力で記憶を辿る響。 雨、駅前、相合傘……。 響「ぁ…………。」 木田「はぁ……、 響とコウちゃんなのね……。」 溜息をつき事実と確信した。 木田「いつの事か覚えてる?」 響「えー……と……。」 響「ドラマのオーディションのぉ〜……、」 響「あ!コウタくんと木田さんが、 ご飯行った日!!」 キョトンとする木田。 木田「あの日かぁ。そういえば、 夕立ちがあったわね。」 木田「てか、釘刺したその日じゃない!!」 響「ごめんなさい。」 木田「この日以外もある?!」 響「それはない。」 木田「わかった。この日だけね。」 改札を出て、帰りの新幹線を予約する木田。 〈予約完了〉 ━━━━━━━━━━━━━━ --15分後 「♪♪今日も新幹線を ご利用くださいまして……」 響「大阪滞在20分……。」 木田「今はコウちゃんよりこっち。」 ブッブー、ブッブー、ブッブー。 《着信 青山コウタ》 木田「もしもし?珍しいわね。 熱大丈夫なの?」 青山「もしもし……。」 「熱は大丈夫だけど、今オレの家に 週刊誌の人が尋ねてきたけど……。」 木田「え?」 響に接触するならわかる。 だが、青山に接触しにくるとは 思っていなかった木田。 木田「ちなみに聞くけど、 なんか聞かれた?」 青山「響ワタルさんとは、 どういうご関係ですか? って聞かれたけど。」 木田「な…んて…答えた…の……?」 青山「知り合いになるのかな?って」 木田「それで?」 青山「は……はぁ……。 ってなんか期待した 返答じゃなかったみたいで、 あっそうですか。 って言って帰って行った。」 木田「コウちゃんにも話しておかないとね。」 木田「落ち着いて聞いてね……。」 青山「とうとう出たんだね。」 木田「え?」 青山「週刊誌の人が来たってことは、 そういうことでしょ? それに、響ワタルさんとは、 どういうご関係ですか?って。 ワイドショーとかで 聞き慣れたフレーズやん。 最初は、ビックリしたよ。 でも、向こうは必ず何かを掴んでる ハズだから、完全否定は余計に怪しまれる。 かと言って認めることも出来ない。 だから、知り合いになるのかな? って言ったんだよ。 さらに突っ込まれることを予想したけど、 意外とすんなり帰ってくれたから、 こっちとしては助かったけどね。 アスカの言ってたスキャンダルの恐ろしさ、 分かった気がする。」 木田「コウちゃん……。」 響「木田さん、コウタくんなんて?」 木田「大丈夫だって。」 青山「ワタルいるの?」 木田「今変わるわね。」 木田「はい。響。 コウちゃんが響の声聞きたいみたいよ。」 響「もしもし?ごめんね。 あの時、我慢してたら……。」 青山「オレは、その写真見てないから、 どのことか分かんないんだけど……。」 響「コウタくんと木田さんがご飯行って、 帰りに雨降ったからオレが 駅まで迎えに行って、 腕を組んで相合傘で帰る所。」 青山「ん?……。 あ……、あの日かぁ。 撮られたものはしょうがない。 次からは気を付けよ。ね?」 響「怒って……ない……?」 青山「怒る所あった?」 響「泣きそうなんだけど……。」 青山「この件が片付いたら、 いっぱいオレの胸の中で泣いていいよ。」 響「ぐすん。オレ、泣かない。頑張る!」 スっと響からスマホを取り上げる木田。 木田「響は何もしなくて良いからねー♡」 木田「多分、まだ 週刊誌の記者が来ると思う。 ホテルを用意するから、 そっちへ移って。」 青山「え?そんなに??」 木田「スキャンダルってそういうもんよ。」 青山「ちょっと待って。」 シャ カーテンをほんの少し開けて外を見る。 人通りの少ない路地に、 不自然に端に寄って 立っている男が二人。 青山「外に多分、 少なくとも二人はいるかな。」 木田「裏口の駐車場への門扉あったよね?」 青山「うん。」 青山「でも、ここを抜けれても ホテル特定されたら終わりちゃうん?」 木田「なんで特定されるのよ?」 青山「会社の入口に張られて、 付けられたら一発やん。」 木田「そうだったぁ……。」 青山「あのぉ……。」 木田「何よ?」 青山「会社の事務所新しくなって、 今はグループ会社の ホテルの下に入ってるんだけど……。」 木田「そうなの??」 青山「オレは使ったことないけど、 確か、会社の事務所の通路と ホテルの通路が どっかで繋がってたはず。」 木田「じゃぁ、そこにしましょ!」 青山「あ……、いいの?」 木田「何、その言い方……。」 青山「なんでもないです……。」 木田「じゃぁそこで決まり! また、連絡するから、 いつでも電話取れるようにしといてね。」 青山「う……うん。」 ピロンッ 青山(あのホテル……、 1泊3万くらいするのになぁ……。) 木田(会社と直結のホテルがある。 とか、そんな重要なこと 最初に言ってよね。) ブッブー 青山のスマホにも木田から記事が送られた。 青山は記事をタップし、 写真の部分を拡大する。 青山「あぁ……。」 青山(どの部分かは、分かってたけど。 こうして記事になって見ると、 これは……、アウトやなぁ……。) 青山「とりあえず、 何泊かの泊まりの準備すっか。 ゴホンッゴホンッッ。」 ベッド横のチェストの上には、 処方された薬の袋と体温計。 《40.2℃》 ━━━━━━━━━━━━━━━━ --ReACTiO 社長室 中尾「アイツに一言、 詫び入れとかないとね……。」 中尾は、スマホを手に取り、 ある人物に電話をかけた。 《黒崎 レイ》 プップップップッ 〈♪♪♪♪〉 中尾「自分の曲を着信音にするかね……。」 黒崎「もしもし?」 中尾「お久しぶり……。」 黒崎「お久しぶりです……。 珍しいですね、中尾社長から電話なんて。 で、なんですか?」 中尾「申し訳ない……。 ウチのタレントの響なんだが、 週刊誌に撮られた。」 黒崎「そんなことですかぁ……。 アンタのことだから ウチの会社を乗っ取るのかと……、 え……?今なんと言いましたか??」 中尾「だから、ウチのタレントの響が 週刊誌に撮られた。」 黒崎「あんた!こんな大事な時期に 何してくれてんだよ!!」 中尾「申し訳ない……。」 黒崎(謝ってる……。あの中尾が……。) 黒崎「……で、どうするんですか?」 中尾「まだ、なんとも……。 被害は最小限に留めるつもりだ。 だが、フタツノヒカリの撮影は止まると思う。」 黒崎「分かりました。 また動きありましたら、 ご連絡下さい。」 中尾「すまんな……。」 プツ プーップーップーッ 中尾「あれは、相当怒ってるなぁ……。 寄りによってレイに謝るなんて 思ってなかったなぁ……。」 天井を見上げる中尾。 トンッ 湯呑みに入った程よい熱さのお茶。 野村「お茶です。」 中尾「……ありがとう……。」 天井を見上げ、 微かな声で礼を言った。 ━━━━━━━━━━━━━━━ --新幹線の車内 カタカタカタカタカタカカタカタ…… 木田は、パソコンに向かい これまでの事を打ち込んでいる。 響は、FiVE DrinKのグループLINEで メンバーに謝っていた。 響〈ごめん。 コウタくんとのこと週刊誌に出る。〉 黒川〈どういうこと?〉 楓〈結婚発表?〉 押部〈マジか?〉 緑川〈オレのじゃなくて良かった〉 楓〈ジンちゃん驚いて ペットボトルの水を倒して びちゃびちゃになってワタワタしてる〉 押部〈なんで楓とジン一緒にいるんだよ?〉 楓〈次のLIVEツアーの打ち合わせ〉 押部〈ごめん。〉 楓〈終わったらデートだけどね♡〉 黒川〈何勝手なこと言ってんだよ! こんなうるさいヤツと デートなんかする訳ないだろ!!〉 響〈画像添付〉 楓〈あ〜あ〉 押部〈アウトだな。〉 楓〈ジンちゃんフリーズした〉 緑川〈次の事務所どこにしよ?〉 押部〈裏切り者出ました。〉 楓〈どこが雇ってくれんのよ?〉 緑川〈CrestAsterとか〉 押部〈事務?〉 楓〈清掃員じゃない?〉 黒川〈掃除される方じゃね?〉 押部〈ま、オレ達のことは 心配いらないから。〉 楓〈二人のことが心配〉 黒川〈コウタくんは、大丈夫だった?〉 緑川〈リーダーのオレに任せろ。〉 押部〈緑川はクビということで〉 楓〈空気読めよ〉 黒川〈アホ〉 響〈ありがとう。コウタくんも大丈夫。 今、事務所に向かってる。〉 カタカタカタカタカタカタカタ…… 木田「あ、そうだみんなを集めないとね。」 響「今、LINEしてます。」 カタカタカタカタカタカタカタ…… 木田「17:00に事務所に集合。 って伝えといて。」 響「はい」 響〈事務所に17:00に集合〉 楓〈今ジンと事務所にいる。〉 押部〈OK〉 緑川〈りょ〉 黒川〈事務所にいるけど、 みんな普通に仕事してて怖い。〉 押部〈そりゃ、 一部の関係者しか知らないっしょ〉 楓〈緑川の時と全然違うよ。〉 押部〈あの時は、事務所の中 ぐちゃぐちゃになってたもんな〉 黒川〈緑川さーん!〉 緑川〈その節は、 申し訳ございませんでした。〉 LINEを見る響に少し笑顔が零れた。 カタカタ…… 木田は、それを見逃さなかった。 木田(強くなったね……。ワタル……。 私も頑張らないと……。) カタカタカタカタカタカタ…… ピコンッ パソコン上部に通知が……。 吉川〈車、いつでも出せます。〉 メールを返信する木田。 〈16:10に品川駅でお願いします。〉 吉川〈承知。〉 画面を切り替え、 報告書を仕上げる木田。 木田「よし。出来た……。 送信……と……。」 〈送信しました。〉 響「お疲れ様……。はい。」 響から缶コーヒーを渡される。 木田「ありがとう。」 響「こちらこそありがとう。」 木田「仕事だから。」 ウインクで軽く返した木田。 木田「品川まであと、一時間。 ちょっと寝ようかな……。」 響「うん。」 どっと疲れが出た木田は、 ゆっくりと眠りについた。 ━━━━━━━━━━━━━━ --ReACTiO PRO社長室 ピコンッ 社長「ん……?」 木田〈青山の件について〉 社長「やっときたか……。」 社長は、報告書にゆっくり目を通していく。 秘書の野村にも転送し、 野村も同じくゆっくり目を通していく。 野村「予想外でしたね。 まさか、こんなに早くスキャンダルが 出るとは思いませんでしたね。」 中尾「泳がせ過ぎたか……。」 野村「社長は、響に甘いんですから……。」 中尾「私はみんなに平等だが……。」 野村「どこがですか……? 入所して1ヶ月も経たずに 響にマンション与えて……。 しかもオートロック付き。 響が体調悪ければ、 木田に先回りして、 響が休みやすいように、 仕事しやすいように 電話かけまくって……。」 中尾「そこら辺でやめてくれるかなぁ?」 野村「いーえ!まだまだ!!」 コンコンッ 野村がヒートアップしてきたところで、 社長室のドアが鳴った。 中尾「こんな時に誰だよ……。」 野村がドアに向かう。 ゆっくりドアが開く。 野村の顔だけが中尾へ振り返り、 コクリと頷く。 社長室へ招かれる1人の男性。 男「何かお手伝いしましょうか?」 眼鏡をあげる男。 夕陽に照らされる男の顔。 吉川だった。 中尾「そうだな……。 どこまで情報を掴んでる?」 吉川「全て……。」 中尾「何が望みだ……?」 吉川「情報セキュリティ部のトップとか?」 中尾「自由に動け無くなるぞ?」 吉川「そうですね〜……。」 吉川「フリーマネージャー……とか?」 中尾「わかった……。 お前には、それがお似合いなのかもな。」 吉川はニヤリと笑い、 週刊誌の内情、 週刊誌がどこまで掴んでるかの情報、 社内の動向、 Crest Asterの動向、 吉川が知っている情報の全てを 話し始めた。 そして、一通の封筒を、 中尾に差し出した。 中尾「これは?」 吉川「貴方が一番欲しがってるもの。 とだけ言っておきましょうか。」 中尾は、封筒を開け中身を確認する。 口元が緩む中尾。 【青山コウタ身辺調査報告書】 中尾は眼鏡をかけ、ゆっくり読む。 吉川は、時計を見る。 吉川「そろそろ私は二人を 迎えに行かないと……。」 中尾は顔を上げた。 中尾「バレるなよ。」 吉川「残念ながら、 あなた以外にバレた事はありません。」 そう言い残し、 吉川は去って行った。 ガチャッ 中尾「秘書のお前に、吉川、木田。 有能な部下だよ。」 吉川からの報告書を テーブルに置き、 「そして、もう一人増えそうだ……。」 口元が緩む中尾 野村「おめでとうございます。」 中尾「さて、ここからだ。 どうしたものか……。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ --Crest Aster (クレストアスター)社内 葉山「来月から山口のロケだね! 楽しみだね!」 兎波「そうっすね。泳げるかな?」 広いフロアに、黒崎の声が響いた。 黒崎「あんた!こんな大事な時期に 何してくれてんだよ!!」 たまに怒鳴り声が聞こえるが、 いつもとは違うことは誰もが察した。 立ち尽くす黒崎。 黒崎「……どうするんですか?」 そう言い、 寄りによってこちらに近付いてくる。 黒崎「分かりました。 また動きありましたら、ご連絡下さい。」 黒崎が、兎波・葉山の テーブルの前に立ち止まり、 テーブルに腰掛けた。 黒崎「フタツノヒカリ、撮影止まるぞ。」 兎波・葉山「え……?」 黒崎「響ワタルにスキャンダルだと。」 兎波の顔が青ざめた。 俯く兎波。 黒崎「兎波、 お前のスキャンダルじゃねぇよー。」 兎波「わ……分かってます……。」 ブッブッ 黒崎のスマホが鳴る。 スマホをチェックする黒崎。 中尾からのLINE。 添付された画像を開く。 黒崎「…………。」 黒崎「マジか……。」 と言い、 兎波と葉山に画像を見せる黒崎。 葉山が見る。 兎波は俯いたまま。 葉山「兎波くん……、兎波くん!!」 葉山が兎波の肩を叩く。 兎波は顔をあげる。 画像を見る兎波。 瞳孔が開く兎波。 完全に固まる兎波。 兎波「嘘だ…………。」 兎波「本物なんですか?これ?」 黒崎「そんなことオレが知るか! 中尾のオッサンがオレに詫び入れてくる くらいだから、本物だろうよ。 こんな時に、マジで何してくれてんだよ! あのオッサンは……。」 黒崎「しかも相手が男って……。」 バカにしたような言い方に、 兎波は感情を抑えきれなかった。 怒りのまま、 黒崎の胸ぐらを掴む。 兎波「響はそんなヤツじゃないんだよ!!」 黒崎「と……となみ……?」 兎波「もし、もう一度 響のことをバカにしてみろ。 オレがぜってぇ許さねぇから!!」 黒崎「わ……分かった、分かった……。 すまん。な…、手……離さない?」 そこに副社長の阿川が走ってきた。 我に戻り手を離し、 再び俯く兎波。 葉山が優しく兎波を席に着かせる。 阿川「社長!!社長!!」 黒崎「なんだよ!社長!社長!って 1回言えばわかるんだよ!」 阿川「耳を……。」 黒崎「今度はなんだよ……。」 阿川「一ノ瀬が…………」

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