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第18話 動き出す歯車

【登場人物】 ・青山コウタ(あおやまコウタ) 響の事が好き。 だけどまだ告白はしていない。 ドラマがクランクアップするまで 告白はしないで。と木田に言われている。 木田の元彼。 響からは、コウタくん。 木田からは、コウちゃん。と呼ばれている。 響に会うため、 仕事の度に大阪と東京を往復していたが、 ついに体力の限界を迎えてしまう。 《FiVE DrinK》 ・響ワタル(ひびきワタル) 青山の事が大好き。 だけどまだ告白はしていない。 アイドルグループ FiVE DrinKのセンター。 撮影中のBLドラマ「フタツノ ヒカリ」W主演で “浦井耀”(うらいひかり)役を演じている。 落ち着いたら告白しようと考えている。 青山からは、ワタル。 木田からは、響もしくは、ワタルと呼ばれている。 仕事の忙しさから青山に無理をさせていた事に気付き、 自分の本気を見せるため、 ラストシーンの撮影へ向かった。 ・木田アスカ(きだアスカ) FiVE DrinKを預かる敏腕マネージャー。 青山コウタの元彼女。 青山からは、悪魔と呼ばれている? 響のスマホのLINEの名前は、 “天使か悪魔か”にされていたが “木田天”に変更された。 倒れていた青山を見つけ、 青山と響、二人の関係を改めて考えるよう促す。 ・吉川キョウスケ(よしかわ キョウスケ) ReACTiO PRO所属。 新人女優、大空ユメのマネージャー。 人当たりが良く、 誰とでもすぐ打ち解ける柔らかい性格。 常に笑顔を絶やさず、 木田アスカにも懐いている。 しかしその裏では、 芸能界の様々な情報を独自に集め、 中尾や黒崎からも頼られるほどの情報通。 響のスキャンダル騒動でも、 水面下で大きく動いていた。 その情報網と行動力の全貌は、 まだ誰にも見えていない。 ・社長/中尾マサシ(なかお マサシ) FiVE DrinKが所属する芸能事務所 ReACTiO PRO(リアクティオ プロ)の社長。 人を見る目に長けており、 響ワタルをスカウトした張本人。 穏やかな口調とは裏腹に、 時には冷酷な判断も下す。 その人が売れる為なら、 自ら悪役になることも厭わない。 木田やFiVE DrinKからの信頼も厚い。 元所属タレント・黒崎零とは、 複雑な因縁と信頼関係を持つ。 フリーザの声に似ているらしい? 青山コウタにも興味を持ち始めている。 ・野村リカ 中尾社長の秘書。 中尾が役者時代の3代目マネージャーとして 支え続け、今では中尾の右腕として働く。 中尾の事を一番良く知る人物。 ・兎波奏(となみ かなた) アイドルグループ VIREST(ヴィレスト)のセンター。 「フタツノ ヒカリ」で 響ワタルとW主演を務める若手人気俳優。 クールで近寄り難い雰囲気を持ち、 ドSキャラとして人気を集めている。 響ワタルを尊敬しており、 共演をきっかけに親しくなる。 現在は、 響の恋愛相談相手にもなっている。 所属事務所は、 Crest Aster(クレストアスター)。 黒崎零(RAY-K)からは、 「かなた」と呼ばれている。 ━━━━━━━━━━━━━━ 監督「カット!!」 兎波「ワタル、今の良い演技だった。」 響「そう?ありがとう。」 監督「ひびきちゃーん!どうしたの?! ラストシーンめちゃくちゃ良かったよ!!」 監督「恋してるな……。」 響「え?!」 兎波「え?!」 監督「この仕事長くやってりゃぁ 分かるよ、それくらい!」 響に近寄り耳元で呟く監督。 監督「相合傘の彼だろ?」 吉川「はーい!響さーん! お疲れ様でーす!! 響さんの好きなコーラ ご用意してますから行きましょ行きましょ!」 すれ違いざまに吉川が監督に呟いた。 吉川「消すぞ……。」 付き添いのマネージャーの発言にも関わらず、 監督は直立不動で固まる。 監督「…………。」 スタッフ「監督??」 監督「あ……ごめん、ごめん。 次なんだっけ??」 兎波「オレもコーラ飲みたいっす!」 響「いいよ!吉川マネ!良いよね?!」 吉川「もちろん!どうぞどうぞ!」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ --撮影の合間の休憩中 兎波「スキャンダルが有耶無耶になって 良かったね!」 響「それは良いんだけど……。」 兎波「どうした?」 響「今日、コウタくんと喧嘩しちゃって。」 兎波「響も喧嘩とかする事あるんだ。」 響「そりゃぁ、ありますよ……。」 兎波「いいなぁ……。」 兎波「オレもいつか……。」 響「そっちこそ、どうなの?」 兎波「頑張ってはいるんだけどねぇ。」 響「ドSキャラはどこ行った?」 兎波「あれは……、 事務所の戦略だから……。」 響「だって、 どこにもドS感ないもんねー!!」 兎波「悪かったなーーー。」 兎波「今日終わったら、 あさってから、山口だな!」 響「行ったことないから、 めっちゃ楽しみ!」 兎波「このドラマの撮影も 山口の撮影を残すのみか……。」 響「視聴率めっちゃ良いみたいよ!」 兎波「今日もオフショット撮っとくか!」 響「コーラ飲んでる所撮る??」 兎波「いいじゃん!!」 二人寄り添ってポーズを決める。 響「いくよ!」 響「はい!マスカルポーネチーズ!!」 兎波「え?!え?!マス……マス……、」 響「マスカルポーネチーズ知らない?」 兎波「それは知ってる。」 響「じゃぁ、何??」 兎波「も、もう1回良い??」 響「いいけど……。」 響「いくよ!」 響「パルミジャーノ!!」 兎波「パル……パル……??」 パシャッ! 兎波「なんだよ!パルミジャーノって?!」 響「チーズだけど??」 兎波「それは分かってるよ!」 響「うっせぇなぁ……。」 響の両頬をつねり伸ばす兎波。 兎波「誰に向かって言ってんだよ……。」 響「しゅいまひぇーん。」 響「あひょがつきゅかゃら やみぇてほしゅいんだゃけどょ。」 つねった頬を離す兎波。 兎波「なんて??」 響「跡が付くから やめて欲しいんだけど。って。」 兎波「あ、そりゃぁ、悪りぃ、悪りぃ。 ついつい生意気なヤツがいたもんで。」 吉川「二人とも楽しく話してる所、 すいませんが、そろそろ次のシーンの 撮影準備できたみたいなので、 移動をお願いします。」 兎波、響「はーい!!」 ━━━━━━━━━━━━━━━ --響の家 青山「ごめん……。アスカ……。 ありがとう……。」 木田「アンタもアンタよ! ちゃんとしんどい時は、 しんどいって言わなきゃダメよ! いつも、『オレは大丈夫。オレは大丈夫。』 って、大丈夫だった試しがないじゃない! な〜にが、大丈夫よ。 全然大丈夫じゃないっちゅうの!!」 怒りが収まらない木田。 青山「フッ…………。」 木田「何が面白いのよ?!」 青山「あの時も、 そうやって怒ってくれてたら、 別れてなかったんだろうなぁ。 と思って。」 木田「…………。」 木田「今と昔は……違うの!」 木田「それに……、 せっかく吹っ切れたんだから、 思い出させないで……。」 青山「……ごめん……。」 青山「ねぇ、アスカ。 オレどうしたら良いかなぁ?」 木田「もう、無理はしないで。 あなたのためにも、響のためにも。」 木田「しんどい時は、 ちゃんと『しんどい。』って言って。 言ってあげて。」 木田「響は、何もかもがまだ未熟なの。 言わなきゃ、まだわかんないの。」 木田「アナタがリードしてあげなきゃ。」 木田「じゃなきゃ、 いつか共倒れになっちゃうわよ?」 木田「それに仕事。 好きなのは分かる。 夢だったのも分かる。 私は、見てきたからね。」 木田「でも、ここでちょっとは、 考え直さなきゃいけないんじゃないの?」 スッとカバンから書類を取り出した木田。 【FiVE DrinK 新マネージャー採用計画】 青山がその書類を見る。 青山「……え?」 木田「FiVE DrinKの 新しいマネージャーを探してるの。」 青山「……そうなんだ……。」 木田「私は、 コウちゃんが適任だと思ってる。」 青山「オレが?!」 木田「だって、 響をここまで大きくしてくれた。 ジンも変わった。 FiVE DrinKも良くなった。 これは、コウちゃんが 関わってくれた後の出来事。」 木田「みんなコウちゃんの事、好きなのよ。」 青山「…………。」 木田「すぐ答えをちょうだい。 とは、言ってないわ。」 木田「でも、早ければ早いだけ、 こっちとしてはありがたい。」 青山「でも、オレはもう そっちの事務所に 迷惑かけてしまってるし。」 木田「社長は、 そうは思ってないみたいよ。」 木田「『今度話してみたい。』って。」 青山「そうなの?」 木田「FiVE DrinKの信頼もある。 私からの信頼もある。 吉川からも好かれてる。」 木田「私は、今がチャンスだと思う。」 木田「だから、 響のこと、 響とのこれからのこと、 FiVE DrinKのこと、 考えてくれないかな?」 青山「わかった……。考えてみる……。」 木田「あ、そうそう! この事は響、 そしてFiVE DrinKのメンバーには、 内緒ね!」 冊子を取り、ページをめくる青山。 木田「今から響の所行くけど、 もう大丈夫そう?」 冊子を閉じ、木田を見る。 青山「ありがとう。大丈夫だよ。」 木田「ほんとに〜??」 青山「ご迷惑をお掛けしました。」 木田「マネージャーになったら、 体が資本なんだから、無理しちゃダメよ!」 青山「まだ、なるとは言ってませんけど。」 木田「ふ〜ん♪♪」 木田「ま、いいわ。それ読んどいて。 間違っても響に見つかっちゃぁダメよ!!」 青山「分かりました……。」 スマホを取り吉川に連絡する木田。 木田「吉川?もうこっちは大丈夫だから、 そっちに戻るわね。」 吉川と電話してる傍らで青山に言った。 木田「じゃぁ、無理しないように。」 青山「おぅ……。」 手を上げ寝室を出る木田。 冊子を広げ直し読んで行く青山。 コックリ、コックリ……。 青山(ダメだ。読んでる場合じゃない。) 冊子をベッドの横のテーブルの上に置き、 布団に潜る青山。 ゴソゴソゴソゴソ。 青山「ワタル……早く帰ってきて……。」 ワタルと一緒に寝ているベッド。 でも今、ワタルは横にいない。 ワタルの枕を見つめるも、 ゆっくりと視界が暗くなっていく。 ━━━━━━━━━━━━━━━ --撮影現場 吉川「はい。分かりました。 こちらも撮影は順調です。 はい。待機しておきます。」 吉川(なんとかなったか。) 吉川(でも、羨ましいなぁ……。) ━━━━━━━━━━━━━━━ --ReACTiO PRO 社長室 ブッブッ スマホを手にする中尾。 〈通知 木田〉 メッセージを開く中尾。 〈冊子を渡しました。〉 中尾「木田は、 上手くやってくれるかしらねぇ?」 野村「大丈夫でしょ。」 中尾「あら、珍しい。 いつも木田に突っかかってるアナタが……。」 野村「あれは……、 仕事を良くするために……。」 中尾「まぁ、いいわ。」 ゆっくりと席を立ち、窓の外を眺める。 社長「青山コウタ……。」 社長「楽しみですねぇ……。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 薄ら笑みを浮かべる中尾。 ━━━━━━━━━━━━━━━━ スヤスヤと枕を抱き締め眠る青山。 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 誰かと通話をしている吉川。 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 演技に没頭する響。 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 車を走らせる木田。 ━━━━━━━━━━━━━━━━ 見えない歯車がゆっくりと動き出す……。

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