5 / 9

第5話

 電話が終わってすぐにやってきたのか。  全裸ながら堂々としたサイモンは熱い湯を豪快に体にかけた。 (いきなり頭から湯を浴びるなんて……)  湯舟の外に立ったまま、サイモンは二度、三度と湯を被り「あ~!」と声を上げたと思うと体を洗い始めた。  湯を頭の上から一気に浴びるのに、筋肉の状態をひとつひとつ確認するように体を洗うのが面白い。たっぷりの泡で上から順に洗っていく動きを目で追った。 (マッチョな人って、本当に筋肉が好きなんですね……)  変なところに感心しながらも、自分とは全く違う体に惚れ惚れしてしまう。  高校生の時、運動部の同級生に憧れて筋トレをしてみよう! と一念発起したことがあった。しかし、筋肉痛になるばかりで思ったように筋肉が増えず、動画で見た食事内容も胃に合わなくて諦めた。 (どんな生活をすれば、あんなにきれいで逞しい体になるんでしょうね)  相当な努力と時間の結晶なのだろう、と思いながら背中を見詰める。 「あ~、さっぱりした!」  再び豪快に湯を浴びたサイモンが振り返った。晴れ晴れとした顔でサイモンが歩いてくる。 (出るタイミングを逃しました!)  見惚れている場合ではなかった。  さっさと出て解決策を考えなければならなかったのに……。  自分の馬鹿! なんて思っていると、サイモンが湯舟に手をかけた。 「風情があるってこういう景色なんだろうなぁ。趣があるって言う方がいいか?」  湯の量が増え、ザザーッと溢れる音がした。  顎まで浸かったサイモンが深々と溜め息を吐き、両手に取った湯で顔を洗う。 「癒やされるなぁ」  な? と笑みを向けてきた。  屈託の無い笑みだ。丸い湯舟の縁に伸ばした両腕を預け、緑が美しい竹林を見詰めて目を細めている。 (……悪い人ではない気がします)  なんとなくそう思った。  もし、本気で陥れようと考える人なら誤配当日に押しかけてきているだろう。 (二十一時のシンデレラとか、差し入れの朝ご飯とか。あ、お礼を言ってませんでした……)  冷静に思い返すと、手を煩わせたのは自分の方で、サイモンは巻き込まれた側の人間だ。 (私って……酷い……)  自分の都合だけで勝手に悩み、サイモンの立場なんて考えずに独りであたふたしていた。  すべきことはひとつ――。  自分から話をして解決を図ることだ。 「あの……」  顔を上げて少し身を乗り出した。 「ん?」  向けられる顔はとても優しい。  オールバックになった濡れ髪の顔は、また違った雰囲気に満ちていて素敵だ。  多分、サイモンは分かっている。  でも、こちらのタイミングを尊重して聞く姿勢を崩さない。その気遣いを無駄にしてはいけないと思った。 「先週くらいに……私の……『土門里斗』宛ての荷物が誤配されていませんか?」  声が震えた。  サイモンの笑みが止まった。凍り付いたように動かなくなり、瞬きもしない。 「……中身も……、ご存じ、ですね?」  全身から火が吹き出た。  もう恥ずかしくて堪らない。  手の震えが止まらなくて、それ以上、何も言えなくなった。 「すまなかった!」  突然、サイモンがガバリと頭を下げた。バシャン、と顔が湯に浸かる。 「あの! 大丈夫ですか!」  息をして! と慌てて近付いたが、ザバリという音と共に湯から出た腕に捕まえられてしまった。 「ほんと悪かった。いや、俺がちゃんと返すべきだったんだよ。それが、その……よく見ずに開けちまって、それで……」  困ったような顔でサイモンが謝ってきた。 「いえ、そもそも誤配が悪いので……」  サイモンさんは悪くない。そう首を左右に振って見せた。 「俺、通販ヘビーユーザーで毎日荷物届くんだわ。いつもの調子でろくに見もせずホイホイ開けちまったのが間違いだった」  下から見上げてくるサイモンの視線を受け止める。こちらを笑ったり、馬鹿にするような視線ではなかった。 「開けた時に直ぐ持って行けば良かったんだけど……、なんか、その、どんな顔で持って行けばいいのか分からないっていうか……」  分かる。  ろくに話をしたこともない相手に対し、どんな顔でアダルトグッズ開封を謝ればいいかなんて、日本中のマナー講師に聞いて回っても正解は出てこないと思う。 「ずっと狙ってた才色兼備の経理主任がって思うと、その、絶対失敗したくねぇっていうか……」  口籠もりながら言ったサイモンの顔をまじまじと見てしまった。 「あの、狙ってたって……?」  意外だった。  課は全く違うし、そもそもサイモンは在宅ワークだ。  しかも裁量労働制で勤務時間が不明のため、接触の機会はほぼゼロだ。  それなのに狙っていたとはどういうことだろう。首を傾げてしまう。しかも「失敗」とは理解が及ばない。 「悪ぃ。狙ってたって言葉が悪かった。いや、その……すげぇタイプで……」  視線を泳がせながらサイモンが話し始めた。 「ずっと話すきっかけを探してたんだよ」 「全然接点無かったのに……」 「いや、接点あったんだわ。これが」  気付いてなかったんだな、とサイモンが苦笑する。 「誤配に気付いた時はビックリした。でも、楽しみにしてたんだろうなぁ、とか。得体の知れない奴に知られたなんて分かったら死ぬほど焦るだろうなぁ、とか。でも、これは近付くチャンス? とか。こう、あれこれ考えるうちに時間が経っちまって……。すまなかった」 「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした」  ビデオ通話で画面の端に写るようにしたのは「きっかけが得られれば」という策のひとつだったらしい。 「顔が引き攣ったのが見えたから、悪手だったって思ってすげぇ後悔した……」 「そ、それは……その……でも、あれでサイモンさんのお部屋が分かって……」 「やっぱり、俺が上の階って知らなかったんだ」 「えぇ」 「だよなぁ……。俺、サイモンって呼ばれてるし、そもそも在宅で滅多に会わねぇもんな」  サイモンの腕に力が込められた。向かい合った姿勢で膝の上に座らされる。 「二十一時のシンデレラ。あれがきっかけだったんだ」 「去年の決算前の時、ですか?」 「あぁ。あの日は夕方から営業部のトラブルで出社しててよ。夜、腹が減ってコンビニでも行くか、って廊下に出たら靴が片方落ちててビビった」 「……ですよね」 「ちょっと先に『経理課・土門』って名札が落ちてて、給湯室に人が倒れてる! と思ったら寝てたもんだからびっくりしたぞ」 「お恥ずかしい……あの時は休日出勤アリの残業続きで限界だったんです」 「仮眠室に連れて行ったのが最初だな。あぁ、この人が女神だって認識した」 「女神ってなんですか?」 「エラー報告の女神」 「なんですか、それ」  ハハハと笑いながらサイモンが説明してくれた。  情報システム課には毎日のようにエラーやトラブルの話が来る。  しかし、いつ、どこで、どういう現象が起こったのかを分かりやすく説明しているものは皆無と言っていいそうだ。 「自分は壊してねぇって言い訳とか暗号文みたいな話聞いて、状況をあれこれ想定しながら『何もしてない!』しか言わねぇオッサンなだめながら問題を探り当てる苦労、分かるか?」 「それは難しすぎますね」 「だろ? で『お前らの管理が悪い!』ってなる。やってらんねぇって思うことばっかなんだわ」 「ご苦労様です」 「でも女神様は違う。問題がはっきりしてて、状況説明も時系列順で明瞭簡潔。必ず『よろしくお願いします』って言葉が添えられていて、解決したら『ありがとうございました』のお礼が来る」 「それはあたりまえのことかと……」 「世の中、そうじゃねぇ奴の方が多いんだわ。お前らが直して当然! みたいなのがゴロゴロ居るの」  日頃の苦労がボロボロと出て来て親近感が湧いてきた。  まぁ、経理処理をやっていても「どうしてそうなる?」という人は居る。 「パーツの購入『急ぎで!』ってダメ元で投げて三十分で決済降りた時は感動した。顔を合わせてないのに、ちゃんと向き合ってくれてるって思えて嬉しかったよ」  当たり前の仕事をしていたつもりだったが、なんだか照れくさいような、嬉しいような気持ちになる。こんな風に褒められるなんて思いもしなかった。 「そりゃ、入社四年で主任になるわ。そんな人が靴落っことして給湯室で寝てんだよ」 「……申し訳ありません……」 「完璧な女神様の人間っぽい面が見られて嬉しかった。これを機にお近付きになれたらなぁ、なんて思ってたところで誤配だ」 「!」  そう。問題はそこだ。 「一番人間臭いところが見られて、ほんと興奮しちまって。あ、いや、興奮なんて最低だな。悪ぃ」  本気で悩んでいたのだろう。困り果てた表情で頭の後ろをバシバシ叩いている。 「あの、聞いていいか?」 「な、なんでしょう?」 「マッチョ、好きか? ほら、あのDVDが、その……」  あぁ、同梱されていたDVDも見られたのか。  複数のマッチョにめちゃくちゃに愛されるという美青年のDVDだ。あまりに恥ずかし過ぎて両手で顔を覆ってしまった。 「聞かせて。好きなのか?」 「……す、好きです……」  渋々答えたが、もう生きていられない。その場から逃げ出したかった。  それなのに――とんでもない言葉が聞こえた。 「……俺にチャンスあったりしねぇ?」 「チャンス?」 「いや、その、俺とそういう関係になるのとかって……どうだ?」  間近に迫る顔があまりに真剣で返答に困ってしまった。 (そういう仲って体の関係ってことですよね)  今更ながらに全裸であることを意識した。  羞恥で赤くなっているのが、熱めの湯のせいにできることが幸いだった。 「二度も会えたシンデレラ……、慰め役をもらえないか?」 「っ!」  硬いモノが足に当たった。膝の上に座った姿勢でソレの存在を認知する。 「私なんかで……いいんですか? 職場で寝落ちしちゃうような情けない私で……」 「情けないところがいいんだ。かわいいぞ?」 「か、かわいい?」  そういう台詞は秘書課に居るような女性に言ってあげるものでは? と続けようとした時、ザバッと湯を跳ね飛ばす勢いでサイモンが立ち上がった。 「悪い。俺、もう限界だわ」  見ない方が良かった。  湯から上がったサイモンのモノは、天を突くという言葉を具現化したような剛杭だった。 「凄っ……ぃ」  思わず喉を鳴らしてしまい、慌てて視線を反らす。 「今、なんて思った?」 「べ、別に……なんとも……」 「ほんとに? 俺、頑張って鍛えてんだけど、なんとも思わねぇ?」  シュンと目に見えてしょげ返る顔に、慌てて首を横に振った。 「凄いです! 腕も太くて筋張ってるのが好きですし、胸もとっても分厚くって温かくって柔らかいのに時々ギュギュッと締まるのが最高です! お腹がものすごく絞られているのも芸術的で、その、あの!」 「ハハハハハ」  一生懸命褒め言葉を並べるとサイモンがプッと吹き出した。 「サンキュー。なら、その最高な体に抱かれたいって思ってくれ」 「ぇ……」  あぐらをかき、自分の武器を隠そうともせずに見せ付けてくるのがずるい。 (嫌だなんて言えないこと分かってるくせに)  腹の奥がズクッと疼く。  長くて無骨な指に翻弄され、ドロドロに蕩けた秘所を奥まで深く貫かれたらどうなってしまうのだろう。  ディルドを使って自分で慰めるのとは明らかに違う。ゴクッと喉が鳴った。 「その、どうなっちゃうのか……し、してみたいって気持ちは……あるんです、けど……」  言ってしまった。  羞恥で頭がパンクしそうだが、撤回なんてできやしない。 「何回でも、いくらでも。試してみてくれ。絶対に満足させるから」  自信たっぷりに断言したサイモンに招かれた。  今更、やっぱりなし、なんて言えず、そっと近付いて身を委ねた。  サイモンの両手が体を這う。  促されるがままに両腕を首に回し、膝立ちでサイモンにもたれかかった。  キュッとボディソープのポンプを押す音が聞こえた。 「ひゃぁっ! ぬ、ぬるぬるするっ」 「嫌だったら言ってくれ」 「……いや、じゃ……ない」  骨張った手が腰から腹、そして胸へ這い上がってくる。  首筋から肩、脇、そして胸へと移動してくる。 「んっ!」  大きな手で胸全体を撫でられて息が詰まった。  触れられるのは嫌いじゃないが、物足りない。 (胸……摘まんで……弾いて欲しいっ)  そう思っただけで胸の突起がツンと立ってしまう。それに気付いたのか、サイモンの指が突起に触れた。 「アッ!」  指の腹で突起を転がされる。  優しく捏ねられ、広がってくる痺れに目を閉じた。  時折、ツプッと潰されるのが堪らない。  ボディソープのせいでぬるつくのもいいし、反応を確認しながら不意打ちのように強く摘ままれるのが好きだった。 「あの、サイ、モンッさ……」 「将満って呼んで」 「ま、将満さん……」 「さん要らねぇ。俺も里斗って呼ぶから」 「ま、将満っ」 「なに? どうして欲しい?」 「胸だけじゃなくて……、その……」  すがりついた首に頬擦りしながら腰を揺らした。  早く後ろに欲しい。  ゴツゴツした指で無理矢理広げて、そこにあの剛杭を突き込んでかき回して欲しい。  誤配のせいで、一週間お預け状態だ。目の前におもちゃ以上のモノがあるのだから、我慢なんてできるわけがない。  目を閉じ、想像しただけで自分の細い楔から蜜がしたたり落ちた。 「中……に、欲しいですっ」 「ド直球だな。でも、そういうのすげぇ好き」 「いっぱい……ナカを弄って欲しいですっ」 「あぁ、いいぞ。いっぱいヤろうな」  ヘヘッと口角をつり上げた笑みを作った後、将満が端に置いてあったタオルの下からローションのボトルを取り出した。 「下心ありすぎ、なんて軽蔑しないでくれよ」  苦笑しながら将満が言った。 (最初からそのつもりだったんですか……)  誤配された瞬間に、もうこうなることが決まっていたのか。  それなら、もっと早く言えば良かった――。  そんな醜い下心で胸を染めながら、そっと股を開いて下腹部の力を抜いた。 (あの指が……後ろにっ)  想像しただけでイきそうだ。  楔からは、はしたないほどに蜜が垂れていた。  期待通り将満の指が秘所に触れた。  キュッと締まった窄まりに優しくローションを塗り込んでくる。  決して傷付けないように、痛みを与えないように――。  そんな配慮が感じられて胸がキュンとした。でも、足りない――。  何度も自分で激しく玩具で責め立てている秘所に、触れるだけの指は物足りなかった。 「あの、ローションを中に……」 「でも……」 「大丈夫です。ボトルの口、直接当てて……中にギュッて入れて……」  将満に囁き、ローションボトルの細くなっている先端を秘所に宛がわせる。 「いっぱいナカに入れて、指でグチュグチュッて混ぜてください……」  そうすればすぐに滑りがよくなるし、ロージョンの成分が浸透して秘所が緩んでくる。 「いつもそうやってんのか?」 「ん。すぐ挿入できて……楽しめる、から」  正しくは、早く満足して熟睡したいから手っ取り早い方法を取る。  しかし、今は純粋に早く将満が欲しかった。 「ぁっ!」  ズプッと細い先端が入り込んできた。続いて冷たいローションが注ぎこまれる。 「これで……いいか?」 「ん……いっぱい入れて……それから……こうやって……」  いつもの癖で自然に自分の手が秘所へ伸びた。  ヌプッと指を埋没させ、自分で感じる場所を弄り始めてしまう。  久しぶりの刺激に全身が痺れるくらい気持ち良かった。 「慣れてるな」 「ん。ベッドで……クチュクチュやってから、玩具入れて……イくんです……」  指を二本に増やし、自分で中を解す。  玩具なら、すぐに入れても痛みはない。  しかし、今日は違う。どれだけ広げれば将満の剛杭を飲み込めるだろう。想像している間にも興奮が抑えられず、全身にゾクゾクと快感が走った。 「ぁっ、んっ……」  今日のローションは滑りがいいのにベタつかない。ヌルヌルとした感触が癖になりそうだ。 「これっ……イィッ……」  堪らない、と呟きながら秘所を弄るのに夢中になった。  不意に手首を掴まれた。指を秘所から引き抜かれてしまう。 「自慰すんなよ。俺がヤりたい」  ズブッと将満の指が突き込まれた。  自分の指とは比べものにならない太さの指が卑猥な音を立てて出入りする。 「ぁぅっ! ぁっ、ぁっ! そこっ!」 「ココ? 強めがいい?」 「んっ! そこっ、もっ、とっ」 「三本いけるか?」 「んっ! だいじょうっぶっ! ぁぁぁ!」  ジュブジュブと泡立つほど激しく掻き乱された。しかも、力強さを保ったまま、延々と弄られ続けるのが堪らない。  将満の首に強く抱きつき、腰が揺れるのも止められないまま夢中で快感を貪った。 「だめぇぇえっ! きもちっいいぃぃっ!」  一週間以上お預けを食らっていた体が、予想だにしなかった刺激に喜び打ち震えていた。 (いいっ! 堪らないっ!)  どんどん秘所が緩むのが分かる。  このローションは本当に良い仕事をしてくれる。  将満の指を三本咥え込んだ状態で悦楽に浸っていると、将満がズブッと指を引き抜いてしまった。 「ぁぁんっ!」 「なんて声出してくれんだよ」  余裕のない声で言った将満が、自分の剛杭にローションをぶちまけた。  それだけで「突き込むぞ」という宣言だと分かる。  心の底から嬉しいと思ってしまった。 「挿れるぞ」  ヌラヌラと卑猥に濡れ光る剛杭を見せ付けてきた将満に腰を掴まれた。 「ひゃぁっ!」  軽々と持ち上げられ、剛杭の真上に移動させられた。 「開いて」  淫らな指示に小さく頷く。恥じ入りながらも股を開いた。  秘所が淫らに開くのが分かる。  ゆっくりと体が落とされていく。 (こんなっ……真下から挿されるみたいなのっ初めてっ!)  ヒタリと剛杭が秘所に触れた。  思わず息を飲んだ。  来る――。  そう喉を鳴らした瞬間、信じられないほどの衝撃に襲われた。 「ァァァァッ!」  一瞬だった。  解されていたとは言え、指とは全く違う質量の杭だ。  掴まれた腰を引き寄せられ、さらに下から突き上げられて剛杭が秘所を貫いた。  血管が浮き出た見事な剛杭は内壁を強引に押し広げながら容赦なく奥まで入り込み、未経験の深みを突き上げてくる。 「ハァッ! ァァッ! 入ったっ」  息が苦しくなるほどの圧迫感に頭がクラクラする。 「ッ、ゥッ」  将満の方は、雄の色香に染まった低い声を漏らしながら喉を鳴らしていた。消えゆく理性をなんとか掴み続ける葛藤の表情が悩ましい。 「全部、ナカにっ! ァッ! 奥、すごっ!」  おもちゃとは全く違う圧迫感と充足感に視界が白む。  ここから動けば、どれほど気持ちいいのだろう。  両手を将満の腕に添えた。グッと握り締め、体重を預けながら腰を揺らす。 「ンァァァァァッ!」  強烈な快感が体中を駆け巡る。  腰を揺らすのを止められない。緩みきった情けない表情で喘ぎながら、必死に腰を前後に振った。 「だめぇ……っ、らめっ……も、気持ち、よすぎて……へんになりそぉぉぉ」 「ッ、マジかよっ!」  ローションのお陰で痛みはゼロだ。  無我夢中で快楽を貪りながら、困惑する将満を煽った。 「突いて。奥がいい……、すっごく激しくっていいから……将満が好きなだけ突いてぇ」  真下からガツガツと突き上げて欲しい。  激しい摩擦と深みを抉る衝撃が欲しくて背筋がフルフルッと震えた。 「ったく……!」  舌打ちした将満が腰を上げた。あぐらの体勢から膝立ちに変わる。 「浴槽に掴まれ。四つん這いで後ろから突くぞ」 「後ろから……ヤられてみたかった」  エヘヘ、と笑いながら指示に従う。繋がったまま体勢を変えると、ナカが擦れて気持ちいい。言われたとおりに浴槽に掴まると、強い力で腰を掴まれた。 「さぁ、行くぞ!」 「ンャァァァァッ!」  乱暴な攻めが始まった。  玩具なんか比じゃない。  体が浮いたような状態で、後ろから勢いよく剛杭を突き込まれた。  体がぶつかりあう生々しい音に混じり、勢い余って秘所からローションが溢れ出る卑猥な音も聞こえてくる。それが欲を煽り、快楽を増していく。 「ぁっ! そこっ! いぃっ! もっと、もっと突いてっ!」 「なんだよ、これっ! 里斗! ほんとに玩具で遊んでんのか、よっ。キツすぎだろっ!」 「ァァァッ! まさっ、ちっ! 気持ちいいっ! い、くっ! そこっ、イッィィッ!」  繋がり合った場所が激しくこすれ合う卑猥な音に興奮が抑えられない。  恥ずかしいことをされている、と思うのに的確に快楽ポイントを刺激されて絶頂へ駆け出す体が止められなかった。  意図せず締め上げる度に剛杭が太さを増して乱暴に肉壁を擦る。その刺激がもっと欲しくて、無我夢中で腰を振って悦楽の頂きを求めた。 「ァァァァァァッ!」  自分の楔が飛沫を吐き散らすのを感じた。  飲み込んだ剛杭を締め上げる。  すると、将満が低い唸り声のような音を漏らしながらこれまでにない勢いでナカを穿ち始めた。 「ヤァァァァッ!」  イっているのに、さらに責められて意識が飛びそうになる。  腹の奥深くに埋められた剛杭がビクビクと跳ねるのが分かった。  くる――。  そう思った瞬間、秘所が灼熱の泉に変貌した。 「ん、っくっ……」  欲に染まった表情の将満が快楽に染まった声を漏らした。  それがなんとも魅力的で、里斗は意図的に秘所を締め上げ、剛杭を吸い上げるように腰を揺らした。 「おいおいっ!」 「気持ちいい?」  からかうように言うと、将満がムッと眉間に皺を寄せた。 「煽るなよ」 「煽ってないです……、ただ、天国みたいで、もっと欲しくなっちゃいます……」  ズルッと音を立てて剛杭が引き抜かれた。  グプププと白濁が溢れて股を汚す。 「んんっ! ぁぁ、こんなに気持ちいいんですね……」 「おいおい! まさか、男初めてか?」 「あの、初めてというか……、いつもおもちゃばかりで、その……」  男性にイかされたのは初めてだ。  震える膝でなんとか立った状態で恥ずかしそうに笑うと剛杭がムクッと起き上がるのが見えた。 「え……?」 「そんな顔で『本物がいい』なんて言われたら頑張っちまうじゃねぇか」  再びそそり立った剛杭を見せ付けてくる将満に思わず笑みを向けてしまった。 「あの……こんどはこっちで……」  浴槽に背中を預けて股を開いた。  恥ずかしくて堪らないが理性なんて消え失せていて完全に欲が勝っていた。 「ギュッて抱き締められたまま、いっぱい突かれてみたくて……」  玩具は、ナカを弄ってくれるが抱き締めてはくれない。  人肌を感じながら悦楽に浸るのが、どれほど気持ちいいのだろう――。  DVDは演技だと分かっていても、男に抱かれてよがる姿に憧れる。  それに、玩具だと昂ぶって動きが乱れると快感ポイントを外してしまってもどかしさばかりが募ってしまう。  でも――。  今日は違う。将満なら逞しい肉体で抱き締め、いくらでも責め立ててくれそうだ。 「任せてくれ、シンデレラ。切れない魔法で夢を見続けさせてやる」  自信たっぷりに言った将満が逞しい体躯で迫って来る。  筋肉の使い方を熟知した男の責めは最高に違いない。  猛々しさを取り戻した剛杭が迫って来る。  快楽のポイントを繰り返し責められる期待感に全身が痺れた。  自分の細い楔から蜜が溢れ、浅ましいほどに濡れていく。 「ッ!」  差し出した足が将満の肩に担がれる。  曝け出した秘所に剛杭が触れた。  そのまま、ずっぷりと入り込んで来るところまで見えてしまう。 「ンンンンッ!」  突き入れられた剛杭が自らの秘所に出入りする様子を目の当たりにしながら、里斗はあけすけに嬌声を上げ続けるのだった。

ともだちにシェアしよう!