24 / 63
日常の変化4
そういえば、これだけ連絡を取っていないにも関わらず、誘えないことや連絡できないことで苦しくなったり、思い出してつらくなったり、どうしても会いたくてたまらないと思うことが少なくなったように思う。
そもそも、考えないようにしていたことも大きいけれど。
あの日、清水さんのことを伝えるために会って以来、宗治郎さんとはプライベートな食事に一切行っていない。
何を話されるか分からないこと、その内容を受け止められるか分からないこと、彼を前にしてまた好意が膨らむかもしれないこと、そういったこと全てが不安だった。
それに、清水さんを巻き込んだ意味もなくなってしまうと思ったから。
でもそれだけではなくて、十川さんとのことを考える時間が増えたことも影響していると思う。
職場でも会うし、ランチもするし、彼の名前が履歴の下に来ることはないから。
台風に巻き込まれたような感覚だったけれど、今では救われたようにも思えるのだから本当に何があるか分からないな。
清水さんを宗治郎さんに紹介して、それでふたりがどうなっていくのかをただ眺めているだけだったのなら、紹介した意味もないほどに落ち込み、病んでいたかもしれない。
十川さんにかき乱されたことで、宗治郎さんのことを悩み考える暇もなかった。
連絡したいのにできない葛藤も、十川さんからのメッセージで上書きされ、後でもう一度取り出して悩みを再開することもないまま終わる。そのおかげで耐えられている。
むしろ彼に感謝しなければいけないくらいだ。
何となくまたトーク画面を開き、アルバムを見ようとしたとき、十川さんからちょうどメッセージが来てしまい、すぐに既読をつけてしまった。
「わっ、最悪だ!」
写真が送られてきてから時間が経っているのに、まだ写真を見ていたと思われてしまうかもしれない。
……いや、むしろそれならマシなのか。
十川さんに連絡しようと悩んでいたり、彼からの連絡を待っていたと思われるほうが嫌だ。
何の言い訳も思いつかないまま、彼からのメッセージを見ると、送り忘れがあったと写真が数枚追加されていた。
“すぐに既読が付いてびっくりしました”
写真に続けて送られてきた言葉に構えてしまう。まさか俺からの連絡を待ってました〜? くらい言われてもおかしくない。
“もしかして写真見てくれてました?”
“俺も見てました”
それなのに予想とは違うメッセージが送られてきて、せっかくの構えも意味がなかった。ここで見ていたと返信してもそれ以上言われることもないだろう。
“見てたよ。今度は僕も探すよ”
それだけ素直に返すと、すぐに“楽しみにしています”とだけ返信が来た。喜んだ顔のキャラクターのスタンプ付き。
意識していたのが自分だけだと気づき、彼に何か言われてしまうよりもこの自覚のほうが何倍も恥ずかしい。
僕もお辞儀をしているスタンプだけを返し、今度はすぐにトーク画面を閉じた。
「さっきから何……」
何かあるわけでもないのに、何となく数回だけ胸を叩いた。
ひとりで勝手に考えたり、恥ずかしがったり馬鹿みたいだ。
「とりあえずもう寝よう……って、ひとりでブツブツ呟いて変なの」
パシッと頬を叩き、それからベッドに寝転ぶと、タオルケットを頭まで被った。
ともだちにシェアしよう!

