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好意の在処13
「望月さんはポテト食べますよね」
「……まるでお子様舌みたいにさあ」
「いいじゃないですか、可愛いんだし」
ポテトやリゾットコロッケ、ローストビーフにソーセージなど何種類か購入し、空いている席に座った。
外だし寒いのもあって、ご飯はほとんど冷めてしまっていたし、特別おいしい料理というわけでもなかったけれど、この空気感だけで楽しいから充分だ。
寒さから鼻が赤くなっている十川さんに「トナカイみたいだね」と言ったら怒られてしまったけれど。
「食事したらあっちのイルミネーションのほうをゆっくり歩きますか?」
「うん、そうしようか」
おつまみに最適なメニューではあったけれど、ビールは冷えそうだったからやめた。
酔っていないのに、それでも気持ちが少しだけふわふわする。
非日常感があるからだろうか。
食事を終えゴミを片付けると、それからよりイルミネーションがきれいな場所へと歩き始めた。
メイン部分に行くまでの道も綺麗に飾られており、その都度立ち止まって写真を撮った。
「それアルバムに入れといてください」
「あ、うん……」
共有するならもっと綺麗に撮らなければと焦る僕を十川さんが笑う。
メインのイルミネーションを前にして「わあ!」と声を出した僕を見て、素早くポケットからスマホを出した十川さんがそれを写真におさめた。
明らかに間抜けな顔をしているから消してほしいと頼んだけれど叶わず、僕も撮り返してみたけれど、キラキラとした背景に馴染むイケメンが写っただけだった。
「じゃあ今度はちゃんと撮るから、望月さんも納得いく顔をしてよ」
「なんかそうやって改めて撮られると恥ずかしいんだけど……」
とはいえ、モタモタしているほうが人目について恥ずかしくなるだろうと思い、一応笑顔を作って応えた。
写真を撮られることは好きではないけれど、それでも今日は良いかと思ってしまうほどには僕のテンションも上がっている。
十川さんの合図に思わずピースをしてしまったとき、僕にカメラを向けていたはずの十川さんが一瞬で僕の横に移動した。
それに驚いて彼のほうを向いたと同時に、ボタンが押されていた。
ピピッと音がして、十川さんがけらけらと笑う。
思わず叩くと、その手を握られた。
「ひどいよ」
「まあいいじゃないですか。俺へのクリスマスプレゼントだとでも思ってください」
「だったらなおさらちゃんと撮れば良かったじゃん」
「望月さんには分からないですよ。俺はこれが良いんです」
お詫びにホットチョコレートを奢ってあげると言って、彼がそのまま僕の手を引っ張った。
本当はマグカップが良かったけれど、もう売り切れてしまったと言われ、小さな紙コップのホットチョコレートを出される。
残念だと思ったけれど、お腹も膨れてきたしちょうど良かったのかもしれない。
イルミネーションから少し離れた場所にある席は比較的に空いていたから、そこへと移動した。
さっきは向かい合って座ったけれど、今度は横並びになる。
「望月さん」
「ん?」
「もし良かったら年明けすぐ会いませんか。仕事が始まる前に初詣行きたいです」
「え? あ……、うん、分かった」
「これでまた楽しみができました」
僕のほうを見ることなく、十川さんは微笑むとホットチョコレートを飲んだ。
ここ最近はずっと十川さんとの予定が詰まっている気がする。
僕は嫌じゃないけれど、もしかして宗治郎さんのこともあったから気を遣ってくれているのだろうか。
「十川さんは帰省とかしないの? 大丈夫?」
「大丈夫です。望月さんとの予定のほうが大切だから。……望月さんも帰らない?」
「うん、今年は帰らないよ」
「良かった」
もう一口飲んだ十川さんにつられて、僕もホットチョコレートを飲んだ。
さっき飲んだときには思ったより甘くないなと感じたのに、少し冷めてきたからだろうか、最初の数回よりも甘みを感じた。
「今年は望月さんとこうして出かけられる関係性になれて良かったです」
「まだ明日も仕事があるし、今年も終わらないのに挨拶するの?」
「いいじゃないですか、そう思ったんだから」
「ふふ。僕も良かったと思ってるよ」
「来年はこんなもんじゃないですよ」
「え〜?」
色々と動きのあった1年だったけれど、年末にこうして笑えているのは十川さんの間違いなくおかげだろう。
来年はどんな年になるのかな。
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