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週末のデート3
「ありがとうございます。じゃあ集合場所とか時間は、後で送ります」
「うん、ありがとう。また明日ね」
恥ずかしさもあったけれど、電話を終えた僕の気分は、ここ数ヶ月の中でも一番良いように思った。
園田さんとのたられば話でいっぱいだった頭の中が、明日の水族館の予定で埋め尽くされてしまう。
緩んだ頬は全く戻らず、気がつけば「へへへ」と笑い声まで溢れてくる。
当たり前にふたりが良いとか、あんたといると元気になれるから会いたいとか。
そんなのさあ、僕だって……。
「あっ……」
この感覚、覚えがある。
さっきまで笑っていたのに。
急に冷静になった僕はスマホを机に置き、カーペットに座った。
僕は、十川さんのことを好きみたいだ。
「やばい……」
認めてしまうと、胸をぎゅーっと押し潰されるような感じがした。
悪い意味だけじゃなくて、認めたからこそ彼への気持ちが大きくなった、みたいな。
そのまま、カーペットに倒れ込んだ。
「そっか、好きなんだ……」
園田さんのことで、あれこれ勝手に想像してしまったのも、嫉妬からくるものだろう。
彼との時間が楽しかったのも、彼に対して緊張したり、恥ずかしくなったのも、全部好きだからだ。
「ああ……、どうしよう」
好きだと自覚して、明日はどんなふうに過ごせば良い?
十川さんが何気なく僕に言ってくれる言葉ひとつひとつに、振り回されて心臓がもたないかもしれない。
それからこの好意に対して、どうやって向き合っていけば良いのだろうか。
自覚した今日に、すぐ消せるわけでもなければ、たぶん数ヶ月経っても難しい。
結局はまた、同じやり方はしないにしても、宗治郎さんのときにみたいに、整理しなければならない日が来るのかもしれない。
けれど、僕はまだ十川さんとの時間を楽しみたいと思っている。
好意をなくすのではなくて、この好意とともにいたい気持ちが強い。
最初から実らないからと諦めて、何の努力もせずにずるずると時間を過ごしたり、反対に好意をなくすために動いたり、そういうことはやめようと思う。
友人を超えた関係になるのかは分からないけれど、そのために自分ができることを考えてやってみたって良いじゃないか。
幸いにも、彼から誘ってくれることも多いし、それを今後も素直に受け取りながら、たまには僕も気持ちを表現してみよう。
その先で、僕が自信を持ってこの好意を抱き続けることができて、それを彼にも知ってほしい、彼にも同じ気持ちを抱いてほしいと思うのであれば、そのときにまた、できることをやっていけば良い。
まあ、こんなことを考えてみたところで、僕の根本がそうすぐに変わるとも思えないから、何もうまくいかないのかもしれないけれど。
「とりあえず、明日を楽しもう!」
勝手に思う分には許されるよねと、明日の外出をデートと呼ぶことにしてみた。
「初めてのデート? 何着て行こう……」
何気に十川さんの私服を見るのは初めてじゃないか?
どんな服を着てくるんだろう。
僕もそれなりの服装で行かなければと、起き上がってクローゼットを開けた。
「まだ寒さもあるもんなあ。何かあったかな……」
自分の中で綺麗めの服を全て引っ張り出し、ベッドの上に並べる。
ついつい黒系の服を買いがちだけれど、春も意識したほうが良いだろうと、ライトブルーのデニムを選んだ。
ジャケットと靴を黒色にすれば、そこまでカジュアルにもなりすぎないし、これで良いかな。
選んだ服の皺や汚れを丁寧に確認し、それからハンガーにかける。
楽しみで眠れなくなりそうだから、早めに食事と入浴を済ませてしまおう。
大きく伸びをして、キッチンへと向かった。
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