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週末のデート6
「ハンバーガー楽しみなの? 望月さん、ご機嫌だね」
「だって昨日から食べたかったからね!」
「ははっ、そっか」
トレーに乗った料理を受け取ると、イルカのプールに近い席に座った。
どうやらショーを見たプールの下にレストランがあるようで、自由に泳ぐイルカを眺めることができるみたい。
まだ上のほうで泳いでいるのか、プールの底まで来てくれるイルカはほとんどいなかったけれど、雰囲気だけで充分楽しめた。
食事を終えた後は、大水槽で行われる餌やり、ラッコの餌やり、ペンギンのお散歩など、あらゆるイベントやショーを楽しみ、それからゆっくりと展示の水槽を見た。
午前中のうちから集合できたおかげで、ショーのほとんどを見ることができたように思う。
十川さんは、ショーを優先させたいと言った僕に付き合ってくれただけかもしれないと、途中で心配になったけれど、彼もとても楽しんでいるように見えた。
15時頃まで過ごし、帰りにお土産屋に寄ることにした。
近場だし、わざわざ職場に買うものはなかったけれど、出口付近にあるせいで吸い込まれるように入ってしまった。
漫画やドラマであるみたいに、好きな人とお揃いのキーホルダーを購入する、みたいなイベントに憧れていた時期もあったけれど、この年齢になってそういうことはさすがに難しい。
ふと、ラッコの刺繍がされているハンカチが目に入った。
お揃いは無理でも、自分用に今日の記念になるものを購入するのは良いかもしれない。
「望月さん、それほしいの?」
「あ、……うん。せっかくだから記念に買おうかなって」
「ラッコ? 可愛いね。じゃあ俺はペンギンにする」
「えっ、十川さんも買うの?」
「せっかくだから俺もほしいなって。それになんかお揃いみたいじゃないです?」
どうせ買うならお互いに贈り合おうと、十川さんがラッコのハンカチを手に取った。
流れで僕はペンギンのハンカチを取ると、そのまま一緒にレジへ並ぶ。
諦めていたことが突然叶い、軽くパニックを起こしながら店員に渡した。
「はい」
「ありがとう……」
店を出ると、十川さんにハンカチを渡された。僕も同じ袋に入ったそれを渡す。
嬉しすぎて、このハンカチは使えないかもしれない。
……飾るか? 額縁に入れて玄関に置けば良いかもしれない。
「望月さん、今日は夜まで良いんですよね?」
「え!? あ、うん。何時でも大丈夫」
ついつい玄関のレイアウトを考え始めてしまった僕の頭に、十川さんがぽんっと手を置いた。
「じゃあ、いったんカフェ行っても良いですか?」
「分かった、良いよ」
そういえば、水族館を楽しみにしすぎて、その後の予定を考えるのを忘れていた。
十川さんがさらりとカフェを提案してくれたけれど、水族館のお礼に僕がその後の予定を組むべきだった?
「十川さん。僕、何も調べてきてない。ごめん」
彼に謝ると、ええ? と驚かれた。
「水族館もだけど、今から行くカフェにあんたを連れて行きたかったの。だから全然良いんですよ」
「そうなの?」
「絶対気に入ると思うんだよね。でもそこでけっこうお腹が膨れるだろうから、夜は簡単なものをつまむ程度で良い?」
「お腹が膨れる? 何だろう。僕は何でも良いよ。十川さんが決めてくれたのなら、そこを楽しむね。ありがとう」
十川さんがスマホを開き、地図を確認した。
僕だったら到着するまでマップを開いたままにしないといけないのに、彼はすぐ閉じると、「こっちです」と指さした。
15分ほど歩くと、シンプルな外観のお店が出てきた。木のプレートにはパフェのような絵が描かれている。
……パフェ? それに、なんだか見たことがあるような外観だ。
「あっ……!」
ここってもしかして、園田さんが言ってたお店じゃないか?
先日ふたりの話を盗み聞きした際に調べたタブを開くと、そこに書かれている情報と一致した。
「ここ、おいしいって聞いて、望月さんを連れてきたかったんですよ。いちご好きですよね?」
店の外に既にできている列に並びながら、十川さんが僕を見た。
店のSNSを開き、「今日はこのパフェがあるみたいですよ」とメニューを教えてくれる。
「ここって……」
メニューの写真を見て、おいしそうと思うよりも、あの日の十川さんと園田さんのやりとりが浮かんで離れない。
「もしかしてこの店知ってた? うわ、最近できたらしいから絶対知らないって思ってたんですけど」
「いや、店に来たことはないよ。今日が初めて。ただ、この間……園田さんと話してたから……」
「えっ、見てたの? じゃあ声かけてよ」
「だって……」
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