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週末のデート8

「お次2名様もどうぞ」  このタイミングで良いのか悪いのか、順番が来て店内へと案内された。  入り口側に座っていた僕から店内へと入ると、ふわっと甘い匂いがした。     と同時に、女性からの視線を感じる。  ほとんど女性客しかいない中に、男ふたりが来たから珍しいのか、それとも十川さんが目立つのか……。 「望月さん」 「ん?」  視線を気にしながら振り返ると、十川さんに頭を撫でられた。  この状況で何を!? と目を見開くと、くすっと笑われる。  席へと案内中にずっと振り向いてもいられないから、顔を前に戻し店員についていくと、パフェを食べている女性と目が合った。  さっきの頭を撫でられている様子を見られていたのかもしれない。  このふたりって何なのって思われているかも。    謎の緊張に包まれる中、十川さんがもう一度僕の頭に触れた。   「ちょっと……!」 「ははっ」  何をのんきに笑っているんだ……!?  慌てている僕とは違い、余裕な感じで笑っているだけの十川さん。  でも、彼が視線を集めたり、急に頭を撫でてきたり、それに僕が動揺したり、そういうことのおかげで、気まずさが抜けたように思う。  十川さんはそれを狙って、こんなことをしてきたのかな。 「とりあえずさ、おいしいもの食べよう。俺は望月さんと楽しみたい」 「……うん、なんかごめん。ありがとう」 「こちらへどうぞ」  案内された席は、他のテーブルに背を向けて座るような席で横並びだった。  窓から外の景色が見える。 「当店のご利用は初めてですか?」 「はい」 「ありがとうございます。では説明させていただきます」  この店にはメニュー表がないようで、こちらから注文するようにとQRコードを渡された。  お冷はセルフで取るらしい。  簡単な説明を終え、店員さんは戻って行った。 「何にします? このメニューだと写真が小さいから、SNSのほうで確認しますか?」  十川さんが開いてくれ、写真を見せてくれた。  スライスされたいちごが綺麗に重ねて並べられているパフェや、そのままタワーのように積まれているものばかり。  どうやって食べるんだろう、落ちないのかなと、そう思うくらいのボリュームだった。 「僕、これにしようかな」 「あ、やっぱり? これが1番人気らしいですよ」 「そうなんだ」 「じゃあ、俺はその隣のやつにします」  十川さんが注文してくれている間に、僕はお冷を取りに行った。女性たちの視線を気にしながら、席へと戻る。 「水、ありがとうございます」 「こちらこそ、注文ありがとう」  みんなに背を向けた横並びの席は、女性の視線を避ける意味では居心地が良い。  けれど、ふたりでメニューを見るときはずっと肩が触れていて、それはそれで別の緊張があった。 「ここ、季節の果物のパフェが、どれもおいしそうなんですよ」 「うわあ……、すごいね。これとか、丸ごと?」  パフェが来るまでは、他の写真を見ながら過ごした。桃やシャインマスカットのパフェもおいしそう。 「次は桃の時期に来る? 望月さん、桃も好き?」 「うん、桃好き」  そうこうしているうちに、大きなパフェが運ばれて来た。顔の近くを通ってテーブルに置かれたから、いちごの香りをすぐそこに感じる。  写真で見るよりも豪華だし、確かにこれはお腹が膨れそうだ。 「パイをお皿に移してから召し上がってくださいね」  ああ、そうすればパイの上に高く積まれたいちごが崩れることもないのか、と説明を聞いて納得する。  見た目の華やかさだけではなくて、食べやすさにもこだわっているんだ。 「ねえ、すごくない?」 「ははっ、望月さん嬉しそう」 「だってこれ、食べる前からもうおいしいじゃん」 「香りも甘くて上品だしね」  言われた通りにお皿に移すと、パイの下にはジェラートやジュレ、クランブルなど、そこにもこだわりが詰まっていた。  このお店、本当にすごい! 「望月さん、おいしい?」 「うん、すごくおいしい。……ありがとう」 「ここにもまた来たいし、別のお店も開拓しましょうね」 「うん」  僕の反応を見るまで食べてなかったようで、十川さんはようやくパフェを食べ始めた。 「金曜日の夜だけじゃなくて、こうして土日も誘って良いですか?」 「……十川さんが良いなら、誘ってくれると嬉しい。僕も探すし」  望月さんとしか予定立てませんよ、という彼の言葉を思い出す。  本当にそうなら、嬉しい。そうじゃなくても、また誘ってもらえるなら、それだけで充分嬉しい。  この後も夜まで一緒みたいだけれど、こういう日がこれからも続くかもしれないことに感謝した。

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