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楽との日々7
「俺も調べて、大変なことは分かってるんで、今日とか明日すぐにとは言えないけど、でも、もう少し先までしても良い?」
「……え、調べ……た、の?」
「引きますか……? 俺、あんたのこと、もっともっとって、そんなんばっかりで」
「……あ、」
楽の顔が、見たことがないくらい赤くなっている。人ってこんなに真っ赤になるの? と、そう思うくらい。
首も、耳も、全部が赤い。
胸がぎゅうっと押し潰されそうなくらいに、痛くなった。
大好きな人が、僕とのことでこんなにも余裕がなくなるんだ。
「もし楓さんがどっちでも良いとか希望がなければ、いつかこの先まで進むとき、俺があんたを抱く側でも良いですか?」
「……っ」
僕を見つめる楽が真剣で、そしてあまりにもかっこよくて、呼吸が苦しくなった。
僕も今、目の前の彼と同じくらい、全身が真っ赤になっているに違いない。
大きな幸せに、視界が霞む。
「楽に、抱いてほし、い……」
僕は楽に飛びつくように抱きついた。鈍い音がして、楽が床に倒れる。
驚いて僕を見る楽に、自らキスをし、それから彼の手に自分の指を絡めた。
「……楽のこと、何も、引かない。僕だって、僕だって……」
「楓さん……?」
「いつか、じゃ、なくて……、今が、いい。今、楽に、触れてほ、しい……!」
ムードも何もないけれど、僕はベッド横の引き出しへと手を伸ばし、必要なものを彼の目の前に置いた。
「え……っ」
「もう、準備、も、して、る……!」
楽に跨ったままそう叫び、それから彼の胸へと顔を埋めた。
恥ずかしさと緊張で、心臓が飛び出しそう。
「……やばあ」
頭上から、楽の声がする。
「楓さん、まじで……? 本当にあんたは」
楽が上体を起こし、僕も強制的に起き上がらされると、それから首や耳にたくさんキスをされた。
「楓さん、顔見せて」
「やだ、無理……」
「見たい」
「無理……、恥ずかしい……」
いつまでも顔を隠したままでいると、楽が僕をいったん引き離し、それから立ち上がった。
それにつられて顔を上げないように、何をするのか気になりつつも俯いたままでいると、急に持ち上げられ、ベッドへと寝かされた。
「え……」
「やっと見えた」
「……あ、」
「顔、真っ赤ですね」
「楽だって、赤い、じゃん……」
頭の中も騒がしく、どこを見れば良いのか分からない。視線を合わせたら呼吸を忘れてしまいそう。
これから楽に触れられるのに、その前からこんなにいっぱいいっぱいだなんて。
好きな人と、気持ちだけじゃなくて身体も繋がれることを、今日初めて知ることができるんだ。
「楓さん、できるだけ優しくしたい気持ちはあるんだけど」
「……うん、」
「余裕なくなったらごめんね」
楽が僕の頬に手を添え、少しだけ弱々しい声を出した。
あれだけ合わせられなかった視線をようやく楽に向けると、目の前の彼はやっぱり真っ赤だった。
「……うん、僕は、初めてだから、もっと余裕がないと思うし、」
「……そっか、初めてが俺なんだ」
余裕がないのは僕も同じだし、そんなに心配しないでと、そう思って伝えたのに、楽は何かを考えるようにして黙ってしまった。
「……もしかして、いや、だった?」
頬に添えられた楽の手に触れると、鼻先にキスをされる。
「そんなわけないです。嬉しいなって思ったの。じゃあ楓さんは、ずっと俺しか知らないままになるんだ?」
「……ずっと?」
「俺が最初で最後ってことでしょ?」
楽が僕にとって、最初で最後の相手ってこと?
「それって……」
まるでプロポーズみたいなこと、そう思って驚きから口を開くと、言葉を続ける前に楽に塞がれた。
キスをしたままで、ゆっくりとパジャマのボタンが外されていく。
電気を消してほしいとお願いするつもりだったけれど、必死な楽を見ていたら、この幸せな瞬間を忘れないようにしたいしたいと思い、それは伝えないことにした。
ふたりの重みでマットレスがゆっくりと沈み、ベッドがギシリと音を立てた。
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