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何が僕の幸せ4

「何が僕の幸せか考えたとき、人任せで申し訳ないけれど、楽がいてこその僕だし、幸せな人生だと思う。最初は、嫌なやつだと思ったいたから、態度が悪くてごめんね。それでもずっと僕のことを気にかけてくれて、これまで一緒にいてくれてありがとう。どうこれからも一緒にいてほしい。そして僕も、楽の幸せの一部を担えていたら嬉しい」  うまく整理して伝えられたかは分からないけれど、これが僕の本心だ。  再び楽に頬を擦り寄せると、安堵のため息とともに、彼が僕の後頭部に手を回し、くしゃりと髪に触れた。  そのまま僕の髪へとキスを落とす。彼の鼻を啜る音が聞こえた。 「これからも僕の幸せは楽とがいい。楽との幸せ以外、知らなくていい。いらないんだ」 「本当に、俺で、いいの……?」  僕は楽の背中に回していた手を緩め、彼の肩へと置き直し、少しだけ彼から離れた。  僕が離れたことにやや戸惑っている楽の頬を両手で包み込み、唇にキスをする。  ちゅっという音すらしないくらい静かに触れた。  楽の頬には涙の痕が残っていて、まだ垂れ下がったまま眉のが、僕の心を締め付けた。  目尻には今にも流れ落ちそうな涙がとどまっている。僕はその涙を、指先でそっと拭った。 「……俺、自信がなかったんです。さっきも言ったけれど、楓さんを信じられないとかではなくて、自分に自信がなかった。俺よりも大貫さんのほうが……とか、そんなことを心の隅ではずっと気にしていたんです」  楽の頬を包んでいる僕の手に、楽が自分の手を重ねた。彼は少し顔をずらして、僕の手のひらにキスをする。   「だから今、なんか……、何て言えば良いのか分からないけれど、本当に嬉しい、です。俺が、楓さんにとって必要な存在になれたことで、これまでより……強くなれた気がします。勝手に諦めて手放そうとしてごめん」 「……うん、僕のほうこそごめんね。楽、大好きだよ」 「俺はあんたのこと、愛してる。これからは何があっても諦めないし、手放さない。……覚悟してね」 「ずるい。そんなの、僕だって」  お互いにぐちゃぐちゃな顔で笑い合った。緩んだ目元からは残りの涙が流れ、鼻水も出ている。  でもそれを気にする余裕はなくて、今はこうして楽と気持ちが通じ合えたことが、ただただ嬉しい。  だからこそ、お互いの頬に触れ合ったり、服越しに身体を寄せているだけでは足りないと、そう思ってしまう僕はおかしいのかな。  こんな状況だから、気持ちだけではなくて、もっと深くで繋がりたい。 「楓さん……」 「うあ……!」 「そんな顔をして……、俺と同じだって思っていいの?」     気がつけば、身体が宙に浮いていた。楽にお姫様抱っこをされていると認識したと同時に、ソファへと寝かされる。  寝室は一番奥の部屋とはいえ、リビングからそう遠くないのに、部屋に入ってすぐのソファに少しだけ雑に置かれたことが、楽の余裕のなさを教えてくれたようだった。 「楓さん、いい?」 「……ん、楽と同じだよ」  楽に向かって両手を広げると、彼はネクタイを緩めた。 「優しくしたいのに、できないかも」 「楽に触れてもらえるなら、もう、どうなったっていい」 「……っ、だから、あんまり可愛いこと、言わないで」 「楽……、」 「だから、まじ、で、その顔はさあ……!」  反則だよと言う楽の、解けたネクタイに手を伸ばし、僕は自分のほうへと勢い良く引き寄せた。  はむりと彼の唇に触れ、境目を舌でなぞると、彼がさらに余裕をなくす。 「楽、愛してる……」 「今のは楓さんがずるい」  ネクタイを掴む手を、彼の大きな手で掴み返され、そのまま頭上で固定された。 「待って、やっぱりここじゃ無理だ」 「ははっ。楽の顔、真っ赤だ」 「うるさい……っ」  再び彼に抱えられ、結局寝室へと運ばれた。  今すぐにでも触れたいという衝動が楽から伝わるのに、僕を抱えるその手はひどく丁寧で、ついさっきの「優しくできないかも」発言とあわせて、そのギャップにときめいた。

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