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第7話 異世界の醍醐味

フランツ君がお風呂の準備を終えて帰って行った。 俺はフランツ君と一緒に過ごす楽しさと、一人でいられる心地よさの両方を感じることができた。 あんなにしんどかった気持ちがどんどん薄れていって、俺はだんだんうきうきしてきた。 もし転移できる異世界を選べるなら、魔法のある世界が良かった。魔法はファンタジー世界の醍醐味だし、どうせ異世界転移するならそういった、未知の力的なやつがある世界が良かった、なんて思ってた。 そりゃもちろんいきなり聖剣が抜けちゃって、「貴方が勇者です!ささ、魔王を倒してください」なんて言われても困っただろうけど。だって俺喧嘩とかしたことないし、学校の授業でやった剣道や柔道も苦手だったから。 でもさ、魔法使いがいたり、魔剣士がいたりしたらかっこいいじゃん!ドラゴンは火を吹くから、いたとしても遠くから見ていたいけれども。 それに生活魔法とか転移魔法とかそういう魔法があれば、電気がない世界でも便利に生活できたはずなんだ。 だから魔法がない世界だとわかったとき、ちょっとがっかりした。 だって魔法もないし魔物もいない世界だったら、異世界転移というより、過去に戻っただけというか、文明があんまり発達してない国に引っ越しただけというか、とにかくわくわく感が少なかった。 でもこの世界の神様のことをフランツ君から聞いて、俺のファンタジーを愛する心がものすごく刺激された。 この世界の神様はすごい。 愛し合う二人の愛が本物かどうかを見分けたり、裁判で偽証している者を見抜けたりする。 人々が悪いことをすると災害を起こすし、異世界人が幸せなら豊作にしてくれる。 人知を超えた存在と、その不思議な力に俺はすごく興奮した。 ただ、そんなになんでもできるなら、もっと貧富の差をなくしたりしてくれればいいのにって思って、フランツ君に思わず聞いてしまった。 聞いてからみんなが信じている神様をディスるようなことを言ったらフランツ君やこの世界の人たちに失礼かなって思ったけれども、フランツ君は全然気にしなかった。 「この国の神様は愛と旅人の神様ですから」 簡単にフランツ君に言われて、俺は「はあっ?」と言ってしまった。 「あ、ソーさんのところの神様とは何かが違うのですね。ここの神様は、ええと、神様たちが住んでいるところがどこかにあるんですけど、そこから人の作った国々に1人ずつ降り立って、その国の神様になってくださっているんです。うちの神様は愛と旅人を守る神様だから、みんなが幸せな結婚をできるように力を貸してくださいますし、旅人を守る神様だから、基本この国に来た旅人は天候に恵まれます。異世界からやってきた人たちは究極の旅人ですから、だから守護も強いんですよ」 はあ。フランツ君がすらすらと教えてくれるのをただただ聞いていた。 「え?じゃあ他の国の神様は違うことをしているってこと?」 「ええ。平等を愛する神様がいらっしゃるところではもっと貧富の差はないですし、植物を愛する神様がいらっしゃるところでは、凶作になることはありません」 ええ!? つまり神様の好みの問題ってこと?好みというか、得意分野?? う、うん。確かに俺が元いたところの古代の神話でも、美を司る女神とか、正義を司る女神とか、役割が決まっていたり、なんとかの守護聖人とかそういうのも聞いたことがある。 日本にだって、学問の神様とか商売の神様とか役割分担が分かれている神様たちがいるから、おかしいことは何もない。と、思う。 ともかくフランツ君が言うには、各国には一人ずつ神様がいて、裁判での偽証はすべての神様が見抜いてくれるらしいけれども、後のことは神様しだいなんだって。 で、この国の神様は愛と旅人の神様。 この国に転移してきてほんとに良かった。 俺はそう思った。 貧富の差が大きくて、子どもの人権が軽視されてて、見てていたたまれないときがあるはあるけれども、でもごめん。俺にとっては最高の神様だ。 俺は異世界らしい不思議な力を持つ神様の存在と、その神様の力の両方がすごく嬉しかった。

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