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第18話 まだ続くけどめでたしめでたし

タバトさんが王都をぐるっと馬で回ってくれて、それから帰ってきた。 異世界でも白馬は珍しいみたいで、白地に金糸の式典服を着たタバトさんと、可愛くて綺麗な黒目黒髪の異世界人(つまり俺!)が白馬に乗って通り過ぎるのを、街ゆく人たちが驚いた表情で見つめてくる。 人生一浮かれきった俺が、調子に乗って手を振ったら、街路樹の花々からふわりと花びらが舞い上がって、人々から歓声が上がった。 それでなんかもう、遊園地のパレードの先頭になったくらいの気持ちになって、俺はあちこちの人に手を振って、街中を花びらだらけにしてしまった。 あまりに調子に乗ってるかな?と思って、後ろを振り返ってちらりとタバトさんを見たら、タバトさんが隠す気ゼロのデレデレした満面の笑みを浮かべていたので、俺たちは王都一の馬鹿ップルになったつもりで王都を練り歩いてしまった。 そして家に帰るとフランツ君が家の前で変な顔をして待っていた。 タバトさんに手を貸してもらって馬から降りると、フランツ君は俺の様子を見て、目を見張った。 「ソーさん、すごく綺麗だ」 フランツ君が呟いて俺を見つめてくる。 美少年の初恋の相手になるってすごくいいね。 「おめでとうソーさん!」 フランツくんの本気は子どもの本気だと言うのは多分正しくて、俺とタバトさんがうまくいったことを本気で喜んでくれている。 子どもの本気というよりも、無償の愛と呼ぶべきものだと感じて、俺はフランツ君のことが今までよりもっと大好きになった。 「ありがとう、フランツ君」 フランツ君はしばらく俺に見とれていて、それからハッとしたように表情をいつものものに戻すと、手に持った手紙を手渡してくれた。 「教会から結婚許可証が届いてますけど、教会に行ったんですか?」 俺は驚いてタバトさんを振り返った。 馬をつないでいたタバトさんが急いでやってきてくれる。 フランツ君から受け取った手紙をタバトさんに渡す。 「ああ、王都中の花が咲いたから神様が俺たちを祝福したことが教会に伝わったんですね。ええとこれで俺たちは夫婦になりました」 早い!早いよ!展開が早すぎる。 でも俺はもう順番がどうとか思わなかった。 プロポーズされてないよ。とか、結婚式挙げてないよ。とか。もし気になるのなら、タバトさんはいつでもどんな順番でも俺の願いを叶えてくれる。 それにあんなロマンチックな告白をしてもらって、神様からも祝福してもらえたから、俺のロマンチック心は完全に満たされた。だからもうプロポーズも式も何にもなくて、このまんま夫婦になってしまっても何の問題もない。 こうして俺とタバトさんは最短で夫婦になって幸せに暮らすことになった。   フランツ君は学校を卒業すると、王都警備の事務部門で、異世界人取扱説明書の改訂や資料の整理をする仕事に就いた。 俺が、取説が間違っていることを指摘した頃から、フランツ君は時間があると俺に異世界のことを聞くようになり、それを記録にとるようになっていた。学校で勉強して、うちで家事もしてくれているのに、フランツ君は本当にすごい。 そしてその記録の正確さや詳細さを買われて異世界人の専門家として王都警備に勧誘されたそうだ。 異世界人取扱説明書は全5巻あって、その他に異世界人の担当者や世話係、あるいは異世界人本人が書いた様々な記録が資料として山積みされており、タバトさんも全部には目を通せていないんだって。 フランツ君はその資料を整理したり、俺や他の異世界人から話を聞いたりして、今後異世界人が落ちてきた時に、もっと過ごしやすくできるようにしたいとのことだった。 「それが、ソーさんへの愛を俺なりに昇華する方法です」 って、俺より背が高くなったフランツ君に言われた時には、めちゃくちゃきゅんとしてしまった。 けれども俺にはタバトさんがいるから、その形で昇華してくれるならとても嬉しい。 電気もガスもないこの異世界だけれども、俺はものすごく幸せに暮らしているし、今後異世界から転移してくる人たちも皆幸せに暮らして行けるのが一番だから。 そうしたフランツ君の努力が実を結び、俺以降の異世界人たちもみんな順調にこの世界に順応して幸せに暮らしているらしくて、この国は常に豊かな実りを享受し、貧富の差も少なくなって、異世界人もこの世界の人たちも皆、もっと幸せに暮らせるようになったんだ。

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