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第19話 お願いだからググらせて
俺は悩んでいた。
自分の知識不足に直面していた。
久しぶりにインターネットが欲しかった。
この異世界生活にもようやく慣れて、本物しかないこの生活も悪くないなって思っていたんだけども、スマホで、ちょちょっと検索したら何でも調べられるあの便利さ。
一瞬でいいから俺に返して!!
俺は一人でぐるぐる考えていた。
この世界で知識を得ようとしたら、本か新聞か、あとは他の人に聞くしかない。本にも新聞にも書いていないことは、誰かに聞くしかないんだ。
なるほど、昔話に物知りの長老とかが出てきて、みんなに尊敬されているのは、知識が人の脳みそにしかつまっていないからか。
なんてことを考えたりした。
そして、それは現実逃避だともわかってる。
そう!俺は!セックスに関する知識が全然ない!!
タバトさんとキスして、流れであんなことまでしてしまって、もうびっくり仰天で、それでロマンチックなところで告白してもらったら、気の早い神様が祝福しちゃってその日のうちに俺とタバトさんは結婚してしまった。
早いよ。早すぎる!
いや、別にね、早くて悪いわけじゃないんだ。
俺、だって、元ややこしい現代日本人だから、タバトさんとあんなことしてなかったから、今でも、
俺とタバトさんは両想いになったけど、ほんとに俺って性的な魅力があるのかな?抱いてもらえるのかな?
とか、絶対にくよくよ考えていたと思う。
だって、だってさ、27年間一度も誰からも性的な対象として見られたことがないんだもん。仕方ないと思う。
でも、くよくよする暇なかった。
だってさ、キスしたら勃っちゃって、そしたら当たり前みたいにタバトさんも勃ってて、あ、タバトさん、俺で勃つんだ。って思う間もなく、あんなっ、あんないやらしいことをっ。
今思い出しても顔が熱くなるけど、でもほんとにもう疑いようもなく、タバトさんは俺を性的な目で見てるって分かったから、俺の心配は生まれる前に消えていた。
それに神様の祝福も。
普通に俺とタバトさんが交際して、二人で結婚しようかってなって教会に行ったんだったら、俺は絶対、神様に祝福してもらえるだろうか。もし祝福されなかったらどうしよう。タバトさんの俺への思いが本物じゃなかったら、とか、俺がタバトさんに感じているのは、本当は愛じゃなくて、ただの依存なんじゃないかとか、そんなことくよくよ考えてたに違いない。
前の日とか絶対眠れなかったと思う。
でも、神様がフライングして祝福してくれたから、俺が何の杞憂をする間もなく、気がついたら全部が終わってた。
この世界はほんとに異世界人に優しい。
それは、いとして、つまり俺はもういやらしいことをタバトさんと経験していて、しかももう結婚もしているから、しょ、初夜をね、迎えたいんだよね。
先に神様から祝福されちゃったけど、タバトさんの家族とか、俺の友達とか呼んで結婚パーティーするし、そのあとにね、初夜をね、すると思うんだ。
それか、もしかしたらもっと前に。結婚式を挙げた夜とか、ね、ちょっと古いかなって思ったりもするんだよね。現代日本人だって結婚式までしないなんて人たちそんなにいないだろうし、ましてやここは異世界でね。割と性的なことにオープンな文化みたいだしね。だから、俺もね、結婚式を待たずにいいタイミングでね、したいなって思ったんだ。
でも、俺はセックスに関する知識が全然ない。
男同士の場合どうするかはギリギリ知っている。
でもそこからはなんにも知らないんだ。
こんなことになるなら、ちゃんと調べたりエロいものを見ておけばよかったと思うけど、高校の時にエロ本で親にゲイバレした俺は、そういう本とかを買うのにすごく抵抗があった。
見つかったエロ本だって、エロいってほどじゃなくて、単なる男性アイドルの半裸の写真集だし。
一人暮らしになったんだから、ゲイビだろうが雑誌だろうが、なんだって見放題だったのに、なぜか潔癖になってしまって、そういったものを全然寄せ付けなかった。
恋愛に関する夢だけは人一倍あったけれども、叶うはずがないって思っていたし、なにか具体的な知識を得てしまうと、それができないことで余計に苦しくなってしまいそうで怖かったんだ。
だから、俺には全然知識がない。
女性とは違うから、きっと何か準備が必要だと思うんだけど、どんな準備が必要か全然わからない。
もちろんここは異世界だから、元いた世界にあったものがあるとは限らないけれども、基礎知識があれば応用は効いたと思う。
元いた世界だったら、一人でこっそりと、いくらでも検索出来たのに、この世界では誰かに聞くしかない。
俺は今まで知らないことは大体フランツ君に聞いていた。でもまだ子どものフランツ君に男同士のセックスの方法を聞くわけにはいかない。
だからと言ってタバトさんに聞くのもちょっと。
自分一人で準備したいことがあった場合、タバトさんに聞くのは避けたいし、じゃなかったら、質問したが最後、教えてくれながらそのまま絶対本番になだれ込むと思う。
それはちょっと避けたい。
体の準備だけじゃなくて、心の準備の時間も欲しい。
俺がぐるぐる考え込んでいると、お風呂の準備と洗濯をしてくれていたフランツ君が部屋に戻ってきた。
「全部終わりましたよ。て、ソーさんどうしたんですか?何か困りごとでも?」
フランツ君は俺の表情を読み取るのがとても上手なんだ。困っていたらすぐに気がついてくれる。
もうどっちが年上か分からないくらいだけども、いつもお世話になっている。
「あのさ、知りたいことがあって」
「はい、どうぞ」
「あの、フランツ君以外の人に聞きたいんだけど」
「ええと、俺ではだめってことですか?」
フランツ君の目が悲しそうに揺れた。
「あ、あのね、そうじゃなくてね、あの」
ああっ。お願い。インターネットをちょうだい。
「あのね、タバトさんとセックスがしたくてね、でも俺全然準備とか知らないから、それを誰か知っている人に教えてもらいたいんだ」
ああっ。もう嫌、この世界。
恥ずかしい。
「ああ、確かに俺もあんまり知らないです。まだ精通もしてませんし」
さらっと言われて、驚いた。
あ、こういうのもオープンな感じ?この世界の人って恥ずかしいこととかある?
「じゃあリヒトさんを呼びましょうか。リヒトさんならソーさんも話しやすいし、リヒトさんの今の恋人は男性ですから」
リヒト君!そうだったの?
俺は明日早速リヒト君のところに行くことにした。
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