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第25話 狂乱

「ソウ、恥ずかしいのはわかるけど、ここを見てもいい?」 目をぎゅうっと瞑ってその時を待っていた俺に、タバトさんが言った言葉が意外すぎて、俺はばっちりと目を開けてしまった。 タバトさんは顔を見ないで欲しいっていう俺の願いを叶えるために、顔を逸らせてくれていた。 タバトさんの顔は紅潮していて、額に汗が浮かんでいた。俺は自分の顔は見ちゃだめって言ったのに、タバトさんの顔はまじまじと見つめてしまった。 「な、なんで?なんで?」 そこを見られるなんて恥ずかしすぎると思う。 「あのね、ここにこれを入れるときにね」 タバトさんはそう言うと、これが何か分かるように、俺の手をそっと誘導して自分のそれに触れさせた。 俺はビクッとして、なのに反射的にそれを握ってしまった。 「ううっ」 タバトさんが声を上げて、手のなかのそれがビクビクと脈打った。 「これをね、入れるときに、そこの周辺の皮膚を巻き込んじゃうことがあるんだよ。そうすると皮膚が引き攣れて痛いから、だから目で確認して、巻き込まない様に指でそこを開いてね、それで挿入するんだ」 ものすごく具体的に教えてもらえたから、頭の中は沸騰寸前になったけど、タバトさんの言うことは完全に理解できた。 「う、うん。わかった」 「あと、顔も見たいんだけど」 なんで!?なんで!?!?顔は見なくても痛くない!と思うけど!? 「あのね、ソウ。ええとここの中にこれをいれるのは手探りというか、ええと手ではないけど、まあ、探り探りなわけ」 うん。 「入れる角度とか中の状態によっては痛いとか苦しいとかそういうこともあるんだ」 う、うん。 「だからね、ソウの表情を見て、痛かったり苦しかったりしないか確認しながら進めたい」 あああっ。俺はなんにもわかってなかった。タバトさんの優しさもこの行為の難しさもなんにもわからずに、タバトさんに恥ずかしいだのなんだのってごちゃごちゃ言って。 俺が間違ってた。 絶対に。 これはそこを見られたくないとか顔を見られたくないとかそんなことを思いながらするようなことじゃなくて、もう全部をさらけ出す覚悟が必要な行為だったんだ。 俺はそれができると思ったからタバトさんとしたいと思った。タバトさんなら俺がどんな姿を見せても絶対に引いたり嫌いになったりしない。そう確信していたから、だからしたかった。 恥ずかしいとか本当に思っているうちはこんなことすべきじゃない。 俺はタバトさんの頬を両手で包むと、少し背けてくれていた顔をこちらに向けた。 目と目が合った。 タバトさんの水色の目にいろんなものが見えた。驚きと、心配と、欲望と、愛情が。 全部、俺のものだ。 そして俺の全部がタバトさんのものになる。 「全部、見ていい」 タバトさんの目が大きく見開いた。 ズブズブズブと脳内に音が聞こえた気がした。そこが内側から押し広げられていく。奥まで。ぴったり閉じた体のなかにめりめりとタバトさんが入ってくる。 力をいれると体が締まってしまうから、俺は息を吐きながら体の力を抜くけれども、奥に奥にと進まれると、痛いのか気持ちいいのか分からないものすごい刺激があって、体の中の奥のほうが開かれるから、目と口が連動して開いてしまって、口からは変な声がずっと出て、目からは涙がぼろぼろこぼれた。 「あああああああああ」 口の中までこじ開けられたみたいになって、口からは「あ」しか出なかった。 タバトさんは俺の涙を見てちょっと焦ったみたいだったけど、多分表情から痛くて泣いているわけではないと分かってくれたみたいだった。 中を小刻みに揺すって俺の反応を見ると、さらに奥まで進んでいく。 奥っ。奥が奥すぎる。俺が想定していたところよりもはるかに奥まで入っていって、お腹を突き破るんじゃないかって心配になったし、もっと手前に突き当たりがあると思っていた自分の体に意外に奥行きがあることにも驚いた。 それでも行き止まりがあった。とん。と奥を突かれて、俺の体はびくんと跳ねた。 陸に上げられた魚みたいに自分の身体がビチビチ跳ねて止められない。 めちゃくちゃ混乱していると思っていた頭が、それでもまだものを考えていたんだって、その後思い知った。 タバトさんが優しく奥を揺すったり、中でそれを挿れたり出したりし始めると、俺の頭の中は真っ白になって真っ赤になって、なんにも考えることができなくなった。 ただ俺はタバトさんにしがみついて、めちゃくちゃ声をあげて、苦しさも気持ちよさも嬉しさも何もかもを享受しながら、揺すぶられているだけだった。 タバトさんも声をあげていた。ううっ。とか、あっとか、くっそ、とかそんなことを言ったり、まるでうわ言のように 「ソウ、ソウっ」 って俺を呼んだりして、その切羽詰まったような声を聞いたら俺は嬉しくて胸が苦しくて たまらなくなった。 俺は何度も奥を突き上げられているうちにあっという間にいってしまったけれども、タバトさんは止まらなくて、俺はいきながら奥を擦り上げられて、いきくるった。それでひいひい悶え泣きしながらしがみついて、タバトさんの激しさに翻弄され続けた。 体の奥に熱いものが放出されたと感じた時には、ものすごい気持ちよさと達成感と、深い幸福感が押し寄せて来て、それが俺の全部を飲み込んでいった。

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