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第5話 慰み者の姿*

「こ、これはその……ちがっ……!」 「何が……違うん、ですか……?」  責めるような目で見上げられ、罪悪感と同時にさらに股間が熱くなるのを感じる。  彼が部屋を訪れてくる前に悶々と考えていたせいで、勃起してしまった熱が残っていたのだ。彼はずっとそのことに気付いていて、だから自分の体を差し出すような言動をして。  全部、俺のせいだ。俺のせいでまたヒーラーは、自身の尊厳を自ら貶める行為に走ってしまったのだ。  謝罪の言葉を口にしようとし、彼の服の裾から覗く痣が目に入ってしまう。昨夜、暴力的に彼を犯した時につけてしまった痕跡。痛々しいそれを目にしただけで、昨夜の乱れ狂う彼の姿が脳にハッキリと蘇る。 『あっ、あぁっ♡ アレクさまっ♡ きもちいい、うれしいですっ♡ ありがとうございますっ♡ あぁぁっ♡』 「……アレクさま」  いまだ潤んだ眼差しで見据えられ、ハッと俺は正気に戻る。彼は流れるような動きで立ち上がると、俺の胸にそっと身を寄せてきた。 「僕を、哀れと思う、なら……どう、か……」  ヒーラーは、自分の肢体を犠牲にして、俺に取り入ろうとしているのだ。  唐突にそう理解し、俺は硬直する。  勇者という支配者がいなくなって、代わりに支配してくれる人を彼は求めている。彼自身が勇者を排除したのだとしても、彼は自分の身を守るために他の支配者を手に入れる必要がある。それほどまでに、彼の立場は弱く歪んだものなのだから。  応えるべきなのか。いや、彼のことを本当に尊重するのなら応えるべきじゃない。でも、俺の下半身は言い訳ができないほど反応していて、どうすれば。 「ひ、ヒーラーっ……!」 「はい」 「水浴びをして、頭を冷やしてくる!」 「えっ……」  虚を突かれた顔で固まるヒーラーから後ずさり、俺は逃げるように部屋を後にする。いや、逃げる『ように』ではない。俺は事実として、彼から逃げたのだ。  宿の裏にある井戸へと向かい、冷水を汲んで、水浴びのために設けられた小さな小屋へと飛び込む。  氷のように冷たい井戸水を頭から被ると、熱されていた思考が幾分かマシになった。 「はぁ……俺は、最低だ……」  自己嫌悪でしゃがみ込む。股の間のものはまだ芯を持っており、一度出さなければ落ち着いてくれそうになかった。  俺は時間が解決してくれるのを願ってじっと待ったが、忘れようと思えば思うほど、彼の痴態が目に浮かんでしまう。 「すまない、ヒーラーっ……」  ここにはいない青年に一方的に謝罪し、性器を軽く握る。手を動かしながら思い浮かべるのは彼の姿だ。 『あ、あァっ♡ アレクさまっ♡ アレクさまぁっ♡』 『ひぅ、くるしっ♡ いいです、んぁっ♡ そのまま、もっと、すきっ♡ アァ、ぅ、んんっ♡♡』  地面に押しつけるように後ろから犯した。腰を上げさせて、上から叩きつけるように欲望を捻じ込んだ。手首を掴み、無理矢理立たせて背後から犯した。抵抗できないほどぐったりとした彼の頭を掴み、喉を蹂躙した。  その全てを彼は恍惚とした笑顔で受け入れ、だけど時折、死を願っていた。 『あっ♡ きもちいいっ♡ すきっ♡ 死んじゃうっ♡』 『ころしてっ♡ アレクさまぁ、このまま、ころしてぇっ♡』 『アッ、ぅ、あぁーーっ……♡♡ すご、これ、死んじゃう……ふふっ、えへ……♡♡』  回数を重ねるごとに彼の喘ぎ声は濁った獣の鳴き声のようになっていた。その声すらもあの時の俺にとっては興奮材料で、無抵抗の哀れな慰み者を一方的に犯し尽くした。 「くっ、出るっ……」  現実で握っていた性器から欲望が飛び出し、床を汚す。荒い息でそれを見下ろしながら、俺にとってだけ都合の良い彼の一言を思い出していた。 『すき、だいすきです、アレクさま……♡』

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