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第7話 勇者の残した傷跡*
「アレクさま」
ノックをしたヒーラーに呼びかけられ、俺は硬直する。部屋に入れて良いのか。自分はまた彼に嫌な思いをさせるんじゃないのか。
返事をしないでいるうちに、ヒーラーは少し落ち込んだ声で頼み事を口にした。
「アレクさま、あの……お願いしたい、ことが……ある、んです」
「わ、分かった。今、開けるよ」
頼りにされているのにそれを追い返すほど非道な態度は流石に取れない。俺は、今度は自分の下半身が醜態をさらしていないか確認してから、部屋のドアをそっと開けた。
「アレクさま……」
「なっ……!?」
ドアの向こう側で待っていたヒーラーは、極めて薄着の格好をしていた。身につけている布は少なく、胸元も大きくはだけられ、その隙間から覗く薄い胸板と、桃色の先端が目に入り、俺は慌てて顔を逸らす。
「ど、どうしたんだ!? 夜這いなら受けられないがっ……!」
「いえ、軟膏を……塗って、いただき、たくて……」
「軟膏?」
きわどい部分は見ないように視線を戻すと、確かにヒーラーの手には軟膏の容器が握られていた。
「あ、ああ。店主から買ったやつだな」
「ご存じ、だったので、すか……?」
「まあその、立ち聞きしたんだ。それについてはすまない」
ヒーラーの青白い頬にかあっと朱が差し、何故か恥ずかしそうに彼は視線を落とす。
「では、ええと……効能も、ご存じ、ですか……?」
「ああ、傷跡を消すものなんだろう? 手が届かないところに塗るぐらいなら、喜んで手伝おう」
「あっ……ありがとう、ございま、すっ……」
部屋に招き入れると、ヒーラーはいつになく嬉しそうな表情でそれに従った。
「それで、塗って欲しいところというのは――」
ドアをしっかりと閉めて振り返ると、そこには服を順々に脱いでいくヒーラーの姿があった。身につけている布がぱさりと落ちる度に、俺の下半身は過剰なほど反応する。
「な、何してるんだ! 急に服なんて脱いで……!」
「体に、薬を塗る、には……服を、脱がないと……ですよ……?」
身につけていた衣服の最後の一枚を、見せつけるように床に落とし、彼は請うような視線をこちらに向けてくる。
いや、きっと気のせいだ。彼の体をいやらしい目で見ているから、誘われているような錯覚をしているだけだ。思い上がるな。やるべきことだけをやればいいんだ。
「そ、それもそうだな、どこに塗ればいいんだ? 手早く済ませよう」
「ではまず、背中を……お願い、します……」
一糸纏わぬ姿の彼がこちらに背を向けて立つ。その背中には、地面でついたらしき擦り傷が無数に残されていた。
つい昨日も見た傷だ。前から散々犯した後、体勢を変えて後ろからも貪った時に見た傷跡。それを目の前にして、昨日のことを思い出さないわけもなく、俺は自然と前屈みになって股間を押さえていた。
「……アレクさま?」
いつまで経っても何もしようとしない俺に不安を抱いたのか、ヒーラーはこちらに振り向いてくる。背中を凝視していたところを振り返られたせいで、俺はピンク色の彼の乳首を直視してしまった。
「えっ……その傷、まさか……俺は、そんなところまで……?」
彼の艶やかな乳首には、痛々しいくぼみが存在していた。ただの性行為をしただけではなく、記憶にないだけでさらなる辱めを彼に行っていたのではないか。
そう思って青ざめる俺に、彼は苦々しく微笑んだ。
「違います、よ……。これは、勇者さまが、残した傷で、す」
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