29 / 49
第29話 眠る彼に*
ささやかな形と大きさのそれを優しく扱いてやると、彼の性器はゆっくりと持ち上がり、衝動のままに精を吐き出そうとする。俺は無理をさせないように、もどかしいほど優しい手つきで刺激を続けた。
「ア……ぁ、ンッ……、うぅ……っ♡」
びくんと腰が震え、性器の先端から微量の白濁が飛び出る。くったりと脱力する彼に場違いにも愛しさを覚え、思わず目元へとキスを落としてしまってから、俺は改めて彼の下半身を見た。
彼の後ろの穴はほんのりと湿って、刺激を求めるかのようにパクパクと小さく動いていた。
よかった。一応準備は整ったみたいだ。だが、まずは入口にじっくりと軟膏を塗り込んでからにしないと。
俺は軟膏を指に取ると、痛々しい傷の残る穴の入口付近にそっと塗り込み始めた。野蛮な行為で穢されたその場所は、軟膏を塗るごとに徐々に元通りの色を取り戻しているようにも見える。
軟膏を塗った指を穴へと入れ、この後挿入するものからの負担ができるだけ軽減することを祈りながら、念入りにナカをほぐしていく。
「……ァ、あぁ、アッ………♡」
何度もカクカクと彼の腰が震え、性器の先端から欲が吐き出される。その度に疲れ果てたように脱力する彼を見て、このまま愛撫を続けていては先に体力が尽きてしまうと悟る。
「すまない、苦しいとは思うが……どうか耐えてくれ」
自分の性器にたっぷりの軟膏を纏わせ、彼の穴の入口に先端を当てる。軟膏は当然、俺の性器にも作用し、いつもより力強く膨れ上がっている気がした。
「入れるぞ……」
聞こえていないことは承知で声をかけ、ゆっくりと腰を前へと押しつける。荒らされ尽くした穴はズブズブと俺のものを飲み込んでいき、彼の表情に僅かに苦悶の色が浮かんだ。
「あ……あぁ…くっ………」
反射的に逃げようとする腰を捕まえ、ナカを慣らすためにその位置で動きを止める。性器に塗った軟膏が過剰な興奮を誘い、今すぐ腰を猛然と動かしてしまいたい衝動が俺の心に忍び寄る。
「くっ……ハァッ、ダメだ……今日は、本当に我慢しないとっ………」
最初に彼と体を重ねたあの時、自分は正気を失って、彼の体を貪り尽くしてしまった。何故あんなことになったのかは分からないが、野蛮で強引な己が自分の中に存在していることだけは間違いない。
今のヒーラーにそれをぶつけてしまったら、俺は本当に人として最低な存在になってしまう。それをするぐらいなら自害する方がずっとマシだ。
「ふぅ……くっ、まだ、我慢せねば………」
ただでさえ意識のない相手を犯すだなんて、非道な行いをしているのだ。仮に今、彼が目を覚ましたとしたら、俺に酷く恐怖し、絶望し、軽蔑することだろう。信徒や獣に乱暴をされたばかりの今は尚更だ。
「それは、嫌だな……」
自分に言い聞かせるように呟き、彼の苦痛を軽減しようと胸の先端に刺激を与える。快楽だけを与えるように慎重に指を動かしていると、苦悶の色を浮かべていた彼の表情は徐々に和らいでいった。
「そろそろ、大丈夫か……?」
独り言のように呟き、緩やかに腰を前後させる。その度に彼の体は小さく震えたが、それは苦痛ではなく快楽によるものだと彼の表情から理解した。
「アッ、あっ、あっ……♡」
最奥にも至っていない浅い場所で、内側を捏ねるようにくちゅくちゅと腰を動かす。その振れ幅は徐々に大きく鳴り、性器の先端が行き止まりをトントンと叩き始める。
「くっ……手加減しないと、でもっ……!」
堪えようと思えば思うほど腰の動きは速くなり、彼の口から漏れる喘ぎ声もはっきりとしたものになっていく。
「あ、ああっ♡ あ、ぅ、アッ♡ い、うぅ……っ♡」
「すまない、ナカに出すぞ、本当にすまないっ……!」
「アァァーー……っ♡♡♡」
彼の腹の中に、俺の精子がぶちまけられ、その快楽で彼は蕩けたように口元を緩ませる。罪悪感で死んでしまいそうな気分だったが、俺の精を受けたおかげか彼の顔色には僅かに血の気が戻っていた。
艶やかな睫毛に彩られた彼の瞼が僅かに震え、ゆっくりとその目が開かれる。
「は、ぇ……? アレク、さま……?」
「っ……!」
ともだちにシェアしよう!

