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第41話 たき火の横で*
やがて日は落ち、僕たちは獣避けを兼ねて用意したたき火を眺めていた。
「次の町まで徒歩であと三日ぐらいだ。……体調はどうだ? 進むペースが速いようであれば言ってくれ」
未だ全ての傷が癒えたわけではない僕に、彼は心配の言葉をかけてくる。それが仲間という義務感からのものではなく、僕個人を案じての言葉だということはハッキリと伝わってきて、それだけで幸せで頭がぼーっとしてしまう。
「……ヒーラー? 大丈夫か?」
「い、いえ……体調は、大丈夫なのです、が……、ええと……」
重い熱を訴える下腹部をぎゅっと押さえる。アレクもその仕草に気付き、少し気まずそうに問いかけてきた。
「その……、精が、欲しいのか?」
「はい……」
アレクには、性交に対して積極的なところをあまり見せたくない。できるだけアレクに嫌われないように清楚に振る舞いたい。だけど僕の種としての本能は浅ましくオスを求めていて、その衝動を我慢したいのにうまくいかない。
ちらりとアレクを見る。彼は、僕を荒々しく抱く自分自身を、どうやら嫌悪している。そんな彼に魅了なんて使いたくないのに、潤んだ目に本能的に魔力を込めてしまう自分が嫌になる。
僕の視線を受けとめた彼は、自分を落ち着かせるように長く細く息を吐くと、改めてこちらに向き直った。
「ヒーラー、性交をしよう」
「は、はいっ……」
「だがお前に酷いことはしたくないんだ。もし俺が暴走したら、思い切り殴ってでも止めてくれ」
誠実な眼差しで告げる彼に、僕はいくつかの言葉を飲み込む。
あなたにされて嫌なことなんてない。優しくされても酷くされても、僕は本当に嬉しい。どうか思うままにめちゃくちゃにして。
だけどそれを口にしたが最後、きっと彼は僕との性交に至るのを思い止まってしまうだろう。僕だって、そんな淫乱な存在だと彼に知られるのは嫌だ。
「はい、アレクさま」
うっとりと微笑みながら返事をすると、アレクはぐっと何かを我慢するような顔をした後、僕の隣にやってきて上から顔を覗き込んできた。
「キスしても、いいか?」
「はい……♡」
わざわざ許可を取り、アレクは壊れやすい宝物にでも触れるように、慎重に僕と唇を重ねる。こちらから身を乗り出して舌を出すと、彼もまた僕の口の中におずおずと舌を入れてきた。
探り合うような優しい口づけ。だというのに僕の体に添えた彼の腕は、いつしか僕が逃げられないほどに力強く僕を抱きしめており、それに押しつぶされてしまいそうになりながら、必死で上を向いて舌を動かす。
「ン、んぅ……んっ……♡」
彼の胸にしがみつくようにして、夢中でキスを受けとめる。夜魔である僕の唾液を飲み込み、彼の理性はすでにぐらついている。本当は、彼が後から自責の念に駆られないよう抵抗するべきなのに、もうすぐ精を与えられると悟った肉体は熱く火照って歯止めが利かない。
「ん、ンンっ……んむ、んぅ……っ♡」
腹の奥が熱い。早くナカに出されたい。腹の一番奥で精液を受けとめたい。彼との赤ちゃんが欲しい。
明らかに腹の奥に残る傷跡由来ではない欲望が頭を支配し、唇を合わせたままやや乱暴に押し倒されたことで完全にスイッチが入る。
「ぷはっ、はぁっ……♡ アレクさまぁ……っ♡」
「ぐぅ……っ、あ、ああ……」
「早く入れて♡ ズボズボして♡ アレクさまの精子ください♡ 子種がほしいっ♡ アレクさまとの赤ちゃん作りたいっ♡」
自分が何を口走っているのかも分からないまま、僕の口は勝手に動いて彼を誘惑する。
アレクは、急に正気を取り戻した顔で固まった。
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