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第3話
翌日。
午後一時。
インターホンが鳴った。
「早すぎるだろ……」
律が玄関を開ける。
「おはよ」
「もう昼」
「じゃあ、こんにちは」
「はいはい」
湊が靴を脱ぐ。
そのまま当たり前のように部屋へ入っていく。
「昼飯食べた?」
「まだ」
「何か作る?」
「作れるの?」
「失礼だな。パスタくらい作れる」
「じゃあ任せる」
「了解」
湊は冷蔵庫を開ける。
律はその背中を見ながら、昨夜のことを思い出していた。
好き。
あの言葉が頭から離れない。
「律」
「何?」
「塩どこ?」
「右の棚」
「ありがと」
いつもと同じ会話。
いつもと同じ部屋。
なのに、昨日までとは何かが違っている。
律はソファに座った。
キッチンから湊の鼻歌が聞こえる。
それを聞いているうちに、なぜか少しだけ安心した。
「……湊」
「ん?」
「昨日の話」
鼻歌が止まる。
「うん」
「俺も」
「……うん」
「たぶん、同じ」
湊が振り返る。
驚いた顔をしている。
律は恥ずかしくなって視線を落とした。
「だから……その」
「律」
「何」
「こっち見て」
「嫌だ」
「なんで?」
「恥ずかしいから」
「じゃあ俺がそっち行く」
「来なくていい」
「もう遅い」
足音が近づいてくる。
律は顔を上げられなかった。
そして隣に湊が座る。
「……ありがとう」
「何が」
「好きって言ってくれて」
「こっちこそ」
少しの沈黙。
二人とも、何を話せばいいのか分からない。
でも、不思議と気まずくはなかった。
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