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第4話

 窓から差し込む午後の日差しが、床に細長い影を作っている。  湊が小さく笑った。 「これからも、こうやって会っていい?」 「……今までだって会ってただろ」 「じゃあ、これからはもっと会っていい?」  律は少し考えた。 「……好きにすれば」 「それ、許可?」 「たぶん」 「たぶんかあ」  湊が笑う。  律も笑った。  そのとき、キッチンからタイマーの音が鳴った。 「あ」  湊が立ち上がる。 「パスタ忘れてた」 「おい」 「大丈夫、大丈夫」 「その『大丈夫』が一番信用できないんだけど」  慌ててキッチンへ向かう湊を見て、律は思わず笑った。 「……ふふ」 「今笑った?」 「笑ってない」 「絶対笑った」 「知らない」 「律、最近ちょっと意地悪じゃない?」 「湊がうるさいから」  湊は鍋を確認しながら振り返る。 「でも、笑ってるほうが好き」 「……そういうこと平気で言うな」 「なんで?」 「困る」 「じゃあ、慣れて」 「無理」 「じゃあ少しずつ」  そんなやり取りが、妙に心地よかった。  付き合うということが、何か特別なことに思えていた。  けれど実際には、昨日までの時間が全部なくなるわけではない。  いつもの会話も。  くだらない喧嘩も。  一緒に食べる昼飯も。  何気ない休日も。  ただ、その全部に新しい意味が加わっただけなのだ。 「できた」  湊が皿をテーブルへ置く。 「見た目は普通」 「味も普通だから安心して」 「そこは自信持てよ」 「食べてみて」  律はフォークを手に取った。  一口食べる。 「……うん」 「どう?」 「普通」 「やっぱり?」 「でも、悪くない」 「それ褒めてる?」 「褒めてる」  湊が嬉しそうに笑った。  律もまた笑った。

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