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第4話
中は相変わらず色が溢れるの空間であるが、受付前よりは落ち着いた雰囲気だった。そしてチームごとと思われる机の島がいくつかできている。エンジニアはどこも島を作るのかと思っていたら、円を描いているまとまり、内側に座面を合わせて部屋のような空間を作っているまとまり、といったように、個性的なものばかりだった。今まで縦横きっちり揃った並びしか見ていないので、思わず目がいってしまった。
「このフロアはショッピングのエンジニアチームが集まっています。エンジニアの人たちって各チームが分かりやすいように机の配置が自由なんですよ」
「それにしても個性的ですね……」
「エンジニアってそんなもんだとう思うますけど?」
久世の言いたいことは分かる。真翔自身も男にしては髪が長いし、今出社している人でも鳥のような派手な髪色をしている人や、ぱっと見て姿を認識できる服装の人もいる。真翔は髪を縛る方が作業に集中できるので結べる長さにしているが、サンアップのエンジニアたちはそれ以上に個性的すぎる。
いったんフロアの端まで移動すると、オフィスゾーンとは少し異なる雰囲気の場所が現れた。落ち着いた色はまるでカフェを連想させる。
「こちらは休憩スペースです。お弁当を持ち込んで食べたり、ちょっと息抜きに使用したりする人もいます。奥のコーヒーマシンでは挽きたてのコーヒーが淹れられます」
設備の説明は以上、と、久世は再びオフィスゾーンを向いて歩き出す。
ファーストラインテックよりも圧倒的にフロアが広いだけでなく、休憩設備も豪華だった。大企業は違うな、と真翔は思わされた。
いつの間にか人は増え、ところどころで会話する姿が見える。真翔よりも長い連休を満喫した人ばかりで、ため息が出そうになるのを必死でこらえた。
すると、久世は机を四角く囲って内側に席を置いている島の前で止まった。中には数人の男女の姿が見える。
「ここが赤羽さん配属のチームです。リーダーは……あ、いました。おーい、東雲さーん」
久世に呼ばれて、手前の男性が立ち上がった。
東雲、その名前を聞いた途端、真翔の身体はビクリと震えた。年末に何度も見てきた名前、たまたま同姓の人がいるだけだと必死に言い聞かせる。
そして顔が見えるなり、真翔は彼から視線を逸らせなかった。きれいに整った黒髪と赤いカーディガンを着こなした姿は、五年前までずっと見てきたものよりも大人びていた。
「シノ……」
「真翔……? えっ、今日から出向で来るのって真翔なの!?」
「……みたいだな」
東雲 優吾 。まさか本当に本人だったとは。二度と会いたくなかったのに、思わぬ形で再会するなんて。
「えっ、お二人って知り合いなんですか?」
「大学の同期です」
「そうなんですかー。いやー驚きですね。あ、じゃあ案内終わったのでこれで失礼します」
久世は優吾に頭を下げて去っていった。
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