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第11話
「そういえば赤羽さんと東雲さんって同じ大学でしたっけ? 初日にそんなことを言っていたような……」
突然思い出したように森が尋ねてきた。初日以来全く聞かれてこなかったけれど、今は親睦を深めるという意味では絶好の質問する機会だ。
「同じ大学で同じ学科でしたよ、情報系の」
「学生時代の東雲さんってどんな感じだったんですか?」
岡崎は待ってましたと言わんばかりに勢いよく質問してきた。想定できたことではあったが、あまりの熱量に真翔は一瞬固まってしまった。
「シノは……成績優秀だった印象の方が強いです。卒業時も表彰されてましたし、俺もよく一緒に勉強して教えてもらってました」
「分かります! 東雲さんの説明ってとっても分かりやすくて理解できるんですよ!」
「仕事できて優しくて、かっこよくて。はあ、彼女いないのが不思議です。学生時代もそんな話なかったんですか?」
「あー……。まあ、イケメンでしたね。理系で女子なんてほとんどいなかったので、他の人の浮かれた話すらほぼほぼなかったですし」
本当は自分と付き合っていたとは口が裂けても言えなかった。今どき好きの形はいろいろあるけれど、真翔は未練がましさも相まって自分の過去を絶対に引き出したくなかった。
おそらく優吾もそれは分かってくれているのだろう。わざわざ真翔が恋人だったと言う気配は微塵も感じられず、むしろ岩本と岡崎の勢いに少々呆れているようだ。今までも二人の質問攻めがあったとすぐに想像できる。
「まったく……。俺の話してもしょうがないでしょ。真翔も困ってるし」
「だって、東雲さん前に好きな人がいるって言ったっきり何も教えてくれないじゃないですか?」
岩本の言葉に、真翔はドキリとした。
別れたのは大学四年生のときの話で、ずっと前のことだ。優吾に新しく好きな人ができていてもおかしくない。自分には関係ないと思いつつも、いまだに優吾のことが好きなせいで真翔の胸はざわついた。早く諦めた方がいい、そう思い知らされたけれど真翔の心は落ち着かなかった。
もう優吾のことは忘れようと、適当に会話をしながら真翔は何杯もアルコールを流し込んでいった。
頭がだいぶふらふらしてきたところで、飲み会はお開きとなった。疲れた身体のせいもあって、立ち上がった真翔はぐらりと揺れてしまった。
「大丈夫、真翔?」
すかさず優吾が支えてくれた。しかし真翔は何ごともないように振り払って一人で立ち上がった。
「平気だ……」
本当は世界がぐるりと回っているような感覚が止まらない。けれども、どんなに酒に酔っていても優吾と関わりたくない気持ちが薄れることはなく、真翔は虚勢を張ってなんとか立っていた。
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