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第12話

 店の外に出るとこのまま解散となり、真翔はそそくさと逃げるように繁華街を進んでいった。飲み会前よりも人が多い。真翔はなんとか進んでいるつもりではあるが、思ったように足が動かない。次第にふらふらする感覚が強くなってきて立っているのも辛くなってきた。 「はぁ……」  どこかで少し休もう。そう思って角を曲がろうとしたそのとき、真翔の身体は再びぐらりと揺れた。足に力が入らず、このまま地面に倒れ込むしかなくなっていた。 「危ない!!」  真翔の身体を誰かが優しく抱きとめてくれた。優しい心地に一瞬意識が飛びそうになったが、ここは路上だと気づいてすぐに現実へと引き戻された。ハッと顔を上げると、心配そうに眉をひそめながら大丈夫かと問いかけてくる優吾の姿があった。 「シノ……! な、なんで……」  一気に酔いが覚めた感覚がして、真翔は飛び跳ねるように離れた。 「心配だからに決まってるでしょ。真翔、ハイペースでたくさん飲んでたよね? それに、今だって俺がいなかったら倒れてたでしょ?」 「放っとけよ」 「だめ。けがでもしたらどうするの? 俺はそんなの嫌だよ」  本気で心配してくれていると分かってはいるものの、優吾と二人きりになりたくなかった。真翔はなんとか立ちつつ優吾から視線を逸らす。 「……いいから、俺は帰れる」  真翔は優吾を振り払ってその場を去ろうとした。だが、数歩進んだところで再び足から力が抜けそうになり、すぐに優吾に支えられてしまった。 「言わんこっちゃない。そんなんじゃ一人で帰れないからどこかで少し休もう」  口と身体は拒んでいるものの、久しぶりに伝わる優吾の感覚がとても心地いい。真翔は抵抗するのをやめ、優吾にもたれかかりながら歩き出した。  繁華街の大通りから一本道を抜けた途端、人通りがほとんどなくなった。静寂に安心したところで、この道にはホテルが並んでいることを思い出した。素面であれば駅への近道だと何も考えずに通っているが、もし今ここで少し休むとなると、優吾と密室で二人きりになるということである。  絶対に嫌だと逃げたい気持ちに包まれていたが、身体はすっかり優吾から離れようとしなかった。そしてそのままピンクのネオンが輝くホテルへと入ってしまった。混んでいれば逃げられる、そんな甘い考えがよぎったが、週末の夜にもかかわらず空室があってすぐに部屋へと向かった。  ガチャ、とドアを開けた部屋の正面には、部屋いっぱいのベッドがあった。真翔はすぐにベッドに横たわった。ふわふわとした感触がとても心地よく、このまますぐに意識を手放してしまいたかった。

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