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第13話

 しかし、靴が脱がされた感覚がしたかと思えば、ぐるりと仰向けにさせられてコートを脱がされた。 「……んだよ。人がせっかく気持ちよくなってるところに……」 「皺になるし、このままだと明日酷い二日酔いになるよ。真翔は何もしないといっつも体調悪くなったでしょ? ほら、水飲んで」  優吾はペットボトルの水を差し出してきた。こんな些細なこと、どうしていつまでも覚えているのだろうか。本当はまだ真翔のことが好きなのだろうか、ふとそんな考えがよぎった。  自分に都合のいいことばかり起きているけれど優吾は何も言わない。真翔は冷静になろうと優吾に背を向けた。 「やだ。飲みたくない」 「真翔」  だが真翔は優吾の呼びかけに反応しなかった。このまま寝てしまおうと目を閉じると、優吾のため息が聞こえた。  ようやく諦めてくれたと思い安心していると、ベッドに乗ってくる感覚がして、真翔は再び仰向けにさせられた。何が起きているのか理解できずに目を開けると、優吾の顔が迫ってきていた。徐々に視界を埋めつくして今にも触れそうな距離となる。真翔は逃げることができず、されるがままになっていた。  次の瞬間、唇に柔らかいものが触れてきた。忘れるはずもない、優吾の唇だ。  突然のことに驚き真翔は離れようとするが、それよりも早く優吾は真翔が逃げられないように頭と肩をぐっと押さえてた。そして少し開いた口の隙間から水が流れ込んできた。優吾の体温で生温かくなっていたが、飲み込む以外認めないと言わんばかりに真翔を押さえる力が強くなった。  真翔は仕方なく水を飲み込んだ。激しい行動も相まってか、酔いが覚めてきてどうしてこんなことになっているのかという疑問が浮かび上がった。考えているうちに、優吾はようやく離れていった。 「何すんだよ?」 「水、飲んで。嫌ならまた俺から飲ませるよ?」  怒りを含んだような言い方に真翔は何も言い返せなかった。優吾は真翔が二日酔いにならないようにと厚意でやってくれたのだ。  真翔は上体を起こして優吾からペットボトルを受け取り、彼に見つめられながら今度は自ら飲んでいく。半分くらい減ったところで優吾はようやく真翔から視線を外し、コートを脱いでいった。部屋はこれでもかというくらい暖かくなっており、真翔のために甲斐甲斐しく世話を焼いていたせいで少し汗ばんでいるようにも見える。  水分補給をした身体はアルコールが薄まり、ぼんやりとしていた意識が徐々にはっきりとしてくる。次第に優吾に申し訳なさを思いつつも、ふと今どうしてホテルにいるのか疑問が湧いてきた。  何も言わずに優吾を見つめていると、再び真翔の方を向いてきて視線が合った。

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