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第26話

 ん……あ、んんっ……あ、き、気持ち……いい……  溶けてしまいそうなほど体の中心が熱く、倦怠感と甘い快感が混ざり合っている。  くちゅ、ずちゅ  と、淫靡な音がはっきり耳に届いた。  これは夢? それとも……。  樹は覚醒しパッと目を開け、頭を持ち上げる。  股間に動く塊を見た瞬間、今何が起こっているのかをはっきりと知った。 「た、多嶋……さん……くぅ……ああっ――」  じゅるっと恥ずかしい音をさせ、多嶋が竿を吸い上げた。痺れが尾骨から背筋に駆け抜け、樹は声を上げた。  生理現象で屹立した雄を多嶋にフェラされていたのだ。  それを目のあたりにすると、一気に快感が突き抜け、感度が増してしまう。  陰嚢の裏からアナルまでの感じやすい道を指で擦られると、腰がビクンと大きく震えてしまう。そうすると自然に多嶋の喉奥に突き上げる形になり、瞼の裏に星が飛ぶほどの快感が押し寄せる。 「あ、だめっ……か、感じ……すぎるっから――っ」  樹が訴えていることを理解しているはずなのに多嶋は容赦なく同じことを繰り返す。  起き抜けにこんな風に攻められるともうなす術はない。快感が高まることを我慢できず、解放に向かってしまう。 「いやっ……い、いく……いっちゃうか……らぁああっ」  最後は叫び声となり、びくびくと腰を痙攣させ、樹は多嶋の口腔に放埓した。  呼吸が乱れ、胸が大きく波打つ。  何度か竿を吸い上げられ、最後の一滴まで残滓を綺麗にされた後、熱い口腔が離れて行った。  多嶋が体を起こし、樹の顔を覗き込む。樹は涙目でその瞳を見つめ返した。  多嶋が悪戯ににやりと笑い、樹の腕を掴む。素早くうつぶせに体をひっくり返された瞬間、多嶋が何を望んでいるのか、理解した。  まだ倦怠感があるが、膝を立て尻を持ち上げた。多嶋の手が双丘に宛がわれ尻を揉んだ後、優しい手つきでそこを開いた。  ぬるっとした感触に背中がのけぞり、樹は声を抑えるように枕に顔を埋めた。  窄まりを舌で弄られるたびに、樹が多嶋の口腔に出した白濁の液体を塗り込まれていくようだ。  その感触に感じてしまい、腰がビクンと震える。  次第に激しい舌使いになり、ぐちゅぐちゅと淫靡な水音が聞こえ始め、羞恥で全身が熱くなる。  窄まりを舐められただけでさっき達したばかりの雄はもう復活してびくびく震えながら角度を変え反り始めている。  舌でつつくようにされるとそこからむず痒いような快感が押し寄せ、挿入をせがんでしまいそうになる。  それを堪えるために枕を両手で握りしめ、顔を押し付け、尻を震わせ続けた。  ああ、堪らない。はやく……はやく……繋がり……たい。  欲望が膨らみ、欲することを止められない。  多嶋はいつもよりはあっさりと攻めるのを止めた。 「昨晩のでまだここは柔らかいから、このままでも大丈夫だろう。欲しいか?」  大丈夫に決まってる。そう言いたいが声にならなかった。  すぐにでも深く繋がって激しく動いて欲しいくらい欲している樹は夢中で顔を枕に埋めたまま首を縦に振る。 「ちゃんとこっち見てお願いしろ」  そう言われただけで背筋に官能の甘い震えが走った。  言われたとおり、首を捻り、多嶋の方へ振り向く。息が上がって上手く言葉が出てこない。何度か深い呼吸を繰り返し樹は訴えた。 「ほ、欲しい……です。来て……ああっ」  ぐっと押し込められた先端の感触に甲高い声が漏れた。  ずんずんと押し込められ、そしてずるっと引いて行く。  引かれる時の快感で背筋が仰け反り、嬌声が漏れる。首を反らせ、枕を両手で握りしめ、昇りつめていくのを必死で堪えた。  押し込んでは焦らすように引かれると、本能のまま自分から腰を振り快感を追ってしまう。 「お前は、なんて淫らなんだ……こんなにおいしそうにしゃぶって……ああ、堪らない……」 「あ、ぁ……もっと……もっと……」  多嶋に「堪らない」と言われると我を忘れてしまう。もっと夢中になってほしくて羞恥さえかなぐり捨て淫らになってしまう。  樹はいつしか自分で竿の根元を握りしめ射精を止めていた。  身震いするような強烈な熱が全身に駆け抜ける。  堪らない快感だった。 「ああ……すきっ、すきっ……愛して……ます。た、多嶋さんっ――っ」  無意識に声に出した思いに多嶋の返事はない。  快感に呑まれている樹にはそのことに気づいていない。  ――愛してる。  その思いだけで狂ってしまいそうだった。  涙を流し、全身を赤く染め、苦痛に似た快感に打ち震えながら、樹は熱にうなされたように何度も愛してると囁いた。  その声は時に掠れ、時に喘ぎ声に混じり消えて行った。

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