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第5話 同害報復

しかしこれは予想のうち、作戦のうちだ。 ここは敢えて、この女を油断させるために全額を払う。 「もちろんだよ。それより、歩美ちゃんって本当に美味しそうに食べてくれるから、見てて気持ちいいんだ」 「えっほんとぉ?じゃあまた美味しいところ連れてってくれる~?」 「全然いいよ。そうだ、来週会員制の熟成肉のお店行く予定あるんだけど、一緒に行かない?」 「え…それって、予約困難なところだよね?!快翔くん会員なの…?」 「ああ、知り合いの店でね。よく行くんだ」 「すっご~い!!さっすがエリートな快翔くぅん♡」 「そんなことないって、ははっ」 「ねえねえ、快翔くんって今彼女さんいないんだよね?」 予想よりも早く食いついてきたことに、俺は内心ガッツポーズを取った。 「そうだね、ずっといないかな」 「え~、こんなに女の子の扱い慣れててイケメンで優しいのに?」 「慣れてるふうに見えてるならいいけど…社内でも有名な歩美ちゃんとこうして二人で話せて、実はめちゃくちゃ緊張してるんだよね」 言いながら、俺は歩美から目線を外すことなく、白い手にそっと自分の手を重ねた。 驚いたようにわずかに跳ねた指先を逃がさないよう、優しく 拒む隙を与えない強さで指の隙間に滑り込ませ、深く指を絡め合わせる。 「……それに、ちょっと期待してる」 俺の声の後に、歩美の息を飲むような音が聞こえた。 俺はすぐに手を離すと「っと、ごめん。ガッツいちゃった」とわざと、慣れていないフリをする。 ◆◇◆◇ そこからは手に取るように簡単だった。 デートを重ね、交際まで漕ぎ着けた俺は 徐々に金払いを悪くし、歩美が裕介に言ったように「財布を忘れた」など 「今月友達の結婚式があって厳しいから、代わりに払ってくれる?」と適当なことを言って 金を払わざるを得ない状況を作り上げ、彼氏ムーブも忘れずに順調に歩美との関係を構築して行った。 そして、数週間後 ようやく歩美を地獄へと突き落とす決戦の日が訪れたのだ。 ◆◇◆◇ 日曜日の夜─── 「快翔く~ん!こっちこっち!」 「ごめん、待たせた?」 「ううん、全然♡」 1ヶ月記念日と称して歩美を連れてきたのは、高級寿司店だ。 「じゃ、中入ろっか」 もちろん、あの日この女が裕介を置いて帰った寿司屋と同じところだ。 きっといつも以上に注文し、俺に何万もタカる気だろう。 そうなれば、ここがコイツの墓場となるだろうと、俺は勝利を確信していた。 ◆◇◆◇ そうして、個室のテーブル席に向かい合って座った俺たち。 席に着くなり歩美は、俺の予想通りに口を動かし始めた。

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