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第11話 天然な恋人繋ぎ
裕介は自分のグラスを両手で大事そうに持ち上げ、まるでジュースでも飲むかのように喉に流し込むと
「んっ…めっちゃ桃!オレンジの酸味もあるから、ジュースみたいにゴクゴク飲めちゃう」
とキラキラとした瞳を向けてきた。
ほんのりとピンク色に染まり始めた頬と、美味しそうに目を細める表情。
そんな裕介を見て思わず笑みが零れ、頬杖をつきながら眺める。
視線がどうしても裕介の潤んだ唇や楽しそうな目元に吸い寄せられてしまう。
「うまいでしょ?」
「うん!お酒のツンとした感じが全然なくて、すごく甘くて美味しい…」
「気に入ってくれたみたいでよかった」
「えへへ…快翔のおかげだよ」
そう言われると、ニヤケが止まらない。
胸の奥がくすぐったいような、それでいて破裂しそうなほどの幸福感で満たされていく。
裕介が楽しそうだと、自分も楽しくなってくるのが不思議だ。
日頃の仕事のストレスやくだらない人間関係なんて、こいつの笑顔一つで綺麗に吹き飛んでしまう。
こんな穏やかで幸せな時間、久しくなかった気がする。
「次は何飲む?」
「うーん…もっと甘いのほしいなあ……」
「甘いやつか……」
俺が次のカクテルを探そうとメニューを見ていると、ふと裕介の視線が俺の手元に向いていることに気づく。
じっと穴が開くほど見つめられている感覚に、思わず背筋が揺れた。
「どした?」
「んん…なんか、快翔の指綺麗だなぁって」
「指?」
突然の言葉に驚いて手を引っこめそうになったが、逆に意識してしまい余計にドキドキしてきた。
男同士で指の形なんて普段気にも留めないはずなのに
裕介に言われると妙に生々しい響きを帯びる。
「ほら、爪とか形整ってるし、長くて綺麗だし……!」
大真面目に俺の手を観察している裕介に、照れ隠しの言葉が口をついて出る。
「…裕介に言われたくないけどね。裕介の手こそ女の子みたいじゃない?」
「え~そんなことない!大きくない?」
「あるって。絶対俺のがゴツくて大きいよ」
「むぅ……そこまで言うならお互いの手合わせて比べてみようよ!」
酔っているのか、突飛押しもなくそんなことを言い出した裕介は
いたずらっぽく笑いながら自分の手の平を俺に向けてくる。
それがまた可愛らしくて仕方がない。
小ぶりで白く、しなやかな指先。
合わせるだけなら、と思って裕介の手のひらに自分の手を重ねると
指先から伝わる彼の体温にドクンと心臓が跳ねた。
「うわ、快翔の方がガッチリしてて大きい…」
感嘆の声を漏らしながら
指の隙間に裕介の細い指がスルリと侵入してきて、ギュッと握られる。
掌と掌が密着し、お互いの指が複雑に絡み合う。
裕介はなにも意識なんてしてないんだろうけど、恋人繋ぎ以外の何物でもない。
(やべえ、マジで心臓に悪い…っ)
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