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第15話 過保護な送り狼

しかし、すぐにそれは緩み、柔らかな微笑みに変わる。 「…本当の本当に?快翔は僕のこと必要としてくれる……?」 張り詰めていた糸が解けるように、表情が和らいでいく。 「当たり前」 即答すると、裕介の目尻がさらに下がった。 嬉しさが隠しきれないといった様子で、顔全体がふにゃりと緩む。 「そっかぁ、じゃあこれからもずっと、僕に付き合ってくれる?」 「ああ、喜んで付き合うよ」 裕介は安心したように胸に手を当て、安堵のため息を漏らした。 その表情には、先ほどまでの不安の影は微塵も残っていない。 俺の答えに満足したのか、それとも単に酒の影響か 「えへへ、よかったぁ……っ」 すっかりリラックスした様子で、俺に体を預けるように身を寄せてくる。 その距離が異様に近く、酒臭い吐息が俺の首筋を擽る。 温かい吐息が皮膚に触れるたび、ゾクゾクとした刺激が走る。 俺はそっと裕介の肩を抱き寄せた。 裕介の体重を受け止めると、全身に心地よい重さと体温が伝わってきた。 腕の中に収まるその存在感が、俺の独占欲をこれ以上ないほどに満たしてくれた。 ◆◇◆◇ 1時間後──── 見事に酔いつぶれた千鳥足の裕介をおんぶし、タクシーで裕介のアパートへと到着した。 夜風が火照った身体に心地よいが、背中にかかる重みはどこまでも甘い。 俺のマンションからほど遠くない距離にあるため、助かる。 何かあってもすぐに駆けつけられる距離だという事実すら、今の俺には心地よかった。 酔い潰れた裕介を背負いながら 裕介の鞄から財布を取り出し、免許証を見つけて住所を運転手に伝えた。 背中から規則正しい寝息が聞こえてくる。 (ほんと、無防備で可愛いな……) 昔から裕介は酔っ払うとこうして俺に世話を焼かせることが多かった。 他の奴の前では絶対にこんな姿は見せないくせに、俺の前でだけは完全に警戒を解く。 まあ、俺が好きで世話を焼いていると言った方が正しいか。 裕介の面倒を見るのは、俺の特権のようなものだ。 周りの上司や同僚からは 『また田沼のこと?』 『裕介の世話焼きすぎてない?保護者みたいだよ』 などと口々に言われてきたが むしろ、どんどん裕介を独占できる気がして俺は嬉しかった。 周りが何を言おうと知ったことではない。 裕介が俺を頼り、俺がそれを支える。 いつも健気で頑張り屋な裕介をそばで見ているからこそ そんな裕介を甘やかしてやりたくて仕方がない。 裕介の笑顔を見れるだけで俺は明日も仕事を頑張れたから、この関係性に満足している。 だから『部外者が首を突っ込むな』とすら思う。 俺にとっちゃ余計なお世話なのだ。 裕介のすべてを把握し、慰め、甘やかし、褒めて、全て愛してやりたい。 (この先もずっと、俺が裕介を守るからね…) 背中に感じる確かな温もりをもう一度確かめるように、俺は裕介の身体を少しだけ強く抱き直した。

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