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高校三年の卒業式が迫った頃、放課後に友人が自習室にひとり残っているところを見計らって、告白をした。
「うわっ、何それ、まじかよ、キモイ。紅はさ、女みたいな顔できれいだけど、そういうのは無理だわ」
返事はひどいものだった。
あからさまに嫌悪感を顔に出し、彼はあわててカバンに教科書類を詰め込み、逃げるように去っていった。
立ち尽くして彼の背中を目で追うだけで、追いかけることはできなかった。
紅は自習室にぽつんとひとり残され、後悔する。
けれど、言わずにはいられなかった。どうしても好きな気持ちが膨らみすぎて、気が付けば相手のことを目で追い続けていた。
(宿題見せてやったり昼飯買いに行ったり、何でもしたのに。みんな受け取ってくれただろ)
ありがとうとも言われたので、好意を込めた世話を受け入れてくれたものと思い込んでいた。
(きれいな顔って言ったのは、からかってただけ?)
日焼けしにくい白い肌と、色素の抜けた明るい髪。紅色の唇はきれいだなんて彼に言われ、触られもした。なので、チャンスがあると思ってしまった。
けれど、それもただ女の子にも見えるからというだけと、ようやくわかった。
(こんなふうになるなんて、思ってなかった……)
おかげで紅はただの友人以上に好かれていると勘違いしてしまった。
窓の外は夕陽も沈み、薄暗くなってきている。紅以外誰もいない自習室へ、終業のチャイムが鳴り響いた。
(明日、どんな顔をして会えばいいんだろう)
彼の様子からして、友人には戻ってくれないだろう。
クラスメイトであることは変わらない彼は、紅に告白されたことを言いふらすのだろうか。
クラスでも、紅の容姿を褒める人はいるし、彼と一緒にいるとカップルみたいとこっそり囁く女子だっていた。そんな声にひとりで浮かれていたのも愚かだった。
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