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 沈み切った帰り道、紅は学校近くの小さな川にかかる橋の下で、黒い犬を拾った。長い毛はびしょぬれでぐったりとしている。  信じて好きになった友人に振られ、何をする気にもなれなかった。けれど、なぜかこの犬は助けなくてはいけない気がした。  ぼんやりと、大型犬を抱き上げる。大型犬のわりにやけに軽い。 「どうしたの紅! 大丈夫?」  玄関の扉を開けると、たまたま廊下にいた母が玄関先まで慌てて走ってきた。 「とりあえずタオル、持ってくるからね!」  そう言って浴室へ向かって行く。黒犬にかけた言葉だろうか。紅は何も言わずうなずくと、靴を脱ぎ家の中へとぼとぼと招き入る。  母を驚かせてしまって申しわけないけれど、まだこの犬はあったかい。世話をすれば、回復して元気になるかもしれない。 (何やってんだろ)  世話を焼くことで痛い目にあったにもかかわらず、また誰かに手を差し伸べてしまう。  けれど、犬相手なら恋をすることもないし、相手も自分に好意があるなんて勘違いすることもない。 (このままうちの犬になったらいいのに)  心の傷をふさぐために、この捨て犬を利用したくなった。

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