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拾った卵を大切に抱えながら、二停留所分歩いた。
帰宅するとすぐに、紅はベッドの上へ卵を置く。ひとり暮らしする1Kの部屋の中では、最も居心地がよく卵にとって安全な場所のはずだ。
たしか、孵化させるには一晩抱いていることが条件だ。そして、孵化したとき最初に見た相手を、飼い主だと刷り込まれ、無条件に懐いてくれる。
(小鉄みたいな子が出てくるのかな……楽しみ……いやいや待て待て、拾い物なんだし、孵したらだめだって)
インプリ・ペットには種類があり、犬猫タイプだけでもそれぞれ数十種類ラインナップされている。
小鉄と同じ犬型とは限らない。他人のインプリ・ペットなので、孵してはならないと思いつつ、殻を破って出てくる存在に想いをはせてしまう。
(でも、ちょっとだけ)
政宗の家で触れさせてもらったインプリ・ペットの柴犬「小鉄」のかわいらしさを思うと、卵の状態だけでもいいから満喫させてほしくなる。
ベッドへ腰かけて卵を大切に膝へのせる。抱えて外を歩いていたときは冷たかった卵の殻が、今は少しあたたまっている。
(卵の状態でも体温がある?)
暖房を強くかけているわけでもないし、真夏でもない。小鉄に感じたような体温に近いあたたかさだ。
「はぁ、気持ちいい……」
一晩抱えて寝なければいいだろう。
しばらく卵のあたたかさを味わおうと、紅はベッドへ横になる。
(誰かのぬくもりを感じながらベッドへ横になれるなんて、幸せ…)
仰向けになり、胸の上へ卵を抱く。大きさにしては軽い重みがほどよく紅の体へかかる。
(気持ちいい……)
重みとあたたかさを感じるうちに、すっかり紅は眠ってしまった。
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