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スーパーからの帰り道、クロがつなぐ手は熱くて力強かった。
歩くスピードも速くなりがちで、速度が上がりそうになっては引っ張られてしまう紅を見て思いとどまってくれた。
まるで、早く家に帰ってふたりきりになりたいと急いでいるように見えた。
(俺もだよ)
クロが目の前で水面上を滑るように炎を吐いたことは、心底驚いた。けれど、耳や尻尾も生えており目の前で黒い犬から変身するところも見た。
兄が炎を吐くらしかったので、クロにも力があったとしてもおかしくはない。
(あんな約束がなかったら、ただ幸せに……クロとできたのかもな)
つながれた手を見、クロの男っぽく成長した横顔を見上げる。
初めてした深いキスは、紅に気持ちよさだけでなく大きな安心を与えてくれた。息をするのが下手なせいですぐに終わってしまったけれど、クロとならもっとしたいと思えた。
紅が貼った落とし主探しのポスターを回収に行くと、不意に声をかけられた。
周りに人はおらず直接脳に伝わるテレパシーのようだった。信じられない現象に貼紙を剥がす手が思わず止まる。
『サードは私の犬なのに、人間と恋なんかして許すわけにいかないわ。処分するから返しなさい』
高いけれど圧のある声で、紅は指先が小さく震える。今までの不運や事故を引き起こした存在だと思うと、寒気がした。
「………」
『あなたの恋人のクロのことよ。兄たちが殺したはずなのに。失敗していたのね』
威圧感のある感情的な女性の声が、脳へ響き動くことができない。
しかし、言われるままにクロを渡すわけにはいかない。クロとはこの先も一緒にいたい。
拳を握って手の震えを抑えながら、地獄の魔女へ返事する。
「返せません。クロは、俺の大事な……人です」
『ふぅん、そう。じゃああなたが代わりに何か差し出しなさい』
クロと同じだけ価値のある何かを、持っているだろうか。紅が懸命に考えていると、ロリサが沈黙を破る。
『そうね、あなたの血が欲しいわ』
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