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「誕プレ買うつもりだったのに、あの日は大変だったよな」
翌日、いつもどおりクロと一緒に大学へ出かけると、政宗に声をかけられた。
「お前がいなかったら危なかった。ありがとな」
クロに礼を言って、笑いかけている。今までクロの存在に疑いがあったようだけれど、とりあえず認めてくれたらしい。
「遅れちまうけど、また買いに行こうな」
次の講義は政宗と別なので、廊下で分かれる。
「誰の誕生日なの?」
「あー、俺のだよ」
あえて言うこともないと、クロには教えていなかった。
「えー! 言ってよ、ちゃんとお祝いしたい! いつ? いつなの!」
「……今日」
正直に言うと、クロは眉尻を下げて大声をあげている。
「じゃあ今日はお誕生日祝いだよ、夕飯!」
「あ、ありがと。じゃあ、楽しみにしてる」
どうにか口角をあげ、ばれずにすんだ。クロがスマホを貸してとせがむので、渡すと誕生日レシピの検索に夢中になった。
次の講義はクロは教室へ入れないので、このまま通路のベンチで待ってもらうことにした。
(今日で二十歳か)
魔女は誕生日を知っていて持ち掛けてきたのだろうか。二十歳になって何が都合がいいのか、紅にはわからない。
クロには申し訳ないけれど、誕生日料理はきっと無駄にしてしまう。
紅を待つ間、クロはいくつものメニューをチェックしていて、どれがいいかと聞かれた。
「今日は悪いこと、起きなかったね?俺が火を吐けるようになったからかな!」
拳を握りながら、嬉しそうにクロが言うので、紅も笑顔でうなずいておく。
「そうだな、頼りにしてるよ」
「え? うん! 任せて」
今夜ロリサとの約束を果たすためだ。自分の意志でやってくるのなら、もう手を出さないと言われていた。
授業後、誕生日祝いのために買い出しをしたいというクロとスーパーへ寄る。
食材の買い出しも手慣れたもので、手際よく品物を入れていく。
楽しそうなクロを尻目に、紅は黙ってスーパーを出ると、約束の場所へ向かった。
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