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第8話 一花

 ボトルを前にギターを爪弾いている。 リキのいつものバー。このごろまた、酒の量が増えた。 「飲み過ぎだよ。」 「バーのマスターが何言ってんだよ。」  また、グラスに酒を注ぐ。マスターがデカい氷を一つ、ごろんとグラスに入れた。 「何か摘んだ方がいいよ。」  ナッツを入れた小皿を差し出す。 ボロンとギターを鳴らした。渋い声で歌う。 ー人生にはいつも孤独が追いかけてくるー なんて泣き言のブルース。  一花が入って来て隣に座った。 「蜜くんが出てって寂しいの?」 「いや、あいつは幸せになるって、気持ちよく  送り出したんだ。何も言うなよ。」  リキは別に蜜がいなくて寂しいと感じているわけじゃない。蜜はシドと幸せなんだから。  この頃、胸に燻っているのは恭司の事だった。 (俺を愛するためにそばにいる、と言った。 愛するってどんな意味だ?)  リキは蜜と暮らした事でゲイがバレてしまった。思えばリキはそういう目で恭司を見た事がなかった。恭司はリキを愛するために生きている、というようなことを言った。  あれ以来、頭から恭司が消えない。 細身だががっしりした恭司の身体を思う。 (そう言えば、高校の時から俺も恭司に触れたい、と思っていたな。)  リキは背が高い。並ぶと恭司も同じくらい背が高かった。肩幅はリキの方が少し広い。  肩を組んで酒を飲むこともあった。男の友情、だと思っていた。  一花と一緒にずっと酒を飲んだ。 「ヤバい、したたかに酔っ払った。」 「一花さんタクシー呼ぶから、リキさんを 送って行ってくれないか。」  マスターが酔い潰れているリキを一花に託した。 「俺は大丈夫。一人で帰れる。」  そう言いながらリキはカウンターに崩れた。  マスターが引きずってタクシーに乗せたところまではしっかりしているつもりだったリキも、ついに、そこで意識を手放した。    目覚めると一花のベッドの中。 素っ裸のリキと一花が抱き合って寝ていた。 「あっ、一花、すまん。俺やっちまったか?」 「リキ、覚えてないなんて言わないで。 昨夜は素敵だったわ。セックス上手いのね。」  一花は美しい裸体をリキに絡ませた。 綺麗な柔らかい乳房を押しつける。

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