13 / 37
第13話 まさお
「まだ、酒も飲んでない。一緒に飲もう。」
「お客さんはゲイなんですか?」
まさおと名乗った男娼だという男に聞かれた。
「何でそう思う?」
「なんとなく。僕を呼んだので。」
気まずい雰囲気でギクシャクと酒を飲んだ。
「僕の知ってる店で飲み直しませんか?」
外の空気を吸うのも悪くない、と恭司とまさおは連れ立って店を出た。
「親父、どちらへ?」
若いもんに聞かれたが言葉を濁した。
「ああ、ちょっと気分転換にこの辺りを歩いてくるよ。こいつの知ってる店に行って見る。」
「ご一緒しますよ。」
「僕たちこれから、いい事するんだよ。
ついてくるの?邪魔しないで。」
身辺警護に着いてきたテツは鼻白む。テツはシドと仲がいい。くれぐれも親父を守ってくれよ、と言われている。
「付いていきます。」
「もう、邪魔だなぁ。」
不満そうなまさおに
「まあ,いいじゃないか。
どこに行くんだ?」
少し歩いて案内されたのは、粋な暖簾の小料理屋だった。店の名前は『夕子』
着物姿の女将さんが出迎えた。
「いらっしゃいませ。
まさお、またお客さんを連れてきてくれたの?
大丈夫かい?」
「ああ、おじさん、僕の母親。
手料理は美味しいよ。」
「おじさんか、そんな年に見えるのか?
おまえ、年はいくつなんだ?」
「えっ、18才だよ。」
「おふくろさん、おまえの仕事、知ってんのか?」
「うん、僕がホモなのも知ってるよ。」
まさおは、子供の頃、いろんな男を連れ込む母親の何人目かの男に犯された。
13才の頃から、男に身体を弄らせると金になると知った。母親は気づいたが黙認した。
まさおには父親の違う弟と妹がいた。暮らしは困窮していた。見かねて地回りのヤクザがみかじめ料目当てで店を持たせてくれた。
母親はこの店を手に入れるまで、いつも金に困っていたから、稼いでくればどんな金でも喜んで受け取った。まさおは母親に似て綺麗な顔をしていた。
まさおは恭司にどんどん酒を飲ませた。
酔っ払っている恭司を二階に連れて行こうとする。テツがそばを離れない。
「おにいさん、僕たち今からいい事するんだから、邪魔しないで。組長さんが怒るよ。」
「いや、だめだ、親父から聞いてない。」
恭司が起きた。少しカウンターで眠ったようだ。顔を起こして
「ああ、テツ、帰ろう。」
酒も飲まずにそばについていてくれたテツに
恭司は感謝することになる。
(チッ、分厚い札入れを持ってるのが見えたんだけどな。)
まさおはこの店で美人局(つつもたせ)まがいのことをやる常習犯だった。母親も見て見ぬ振りだった。バックに地元の地回りが付いていた。
ともだちにシェアしよう!

