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第19話 北星会

 再びあの「夕子」という店に来た。 まさおが馴れ馴れしい。この街で育ったまさお、は町のことなら大体わかる。 「おじさん、恭司っていうの?」  腕に絡みついて甘えてくる。 「離れろよ、鬱陶しいな。」 「お酒飲もう。」  この前酔っ払って酒に強くない事がバレている。 「今日はそんなに飲まねえよ。疲れてんだ。」 「お仕事だったの?何の仕事? 血の匂いがするよ。」 「えっ!」  恭司は焦った。 (このガキ、なぜ分かるんだ?)  シャワーを使って洗って来たつもりだ。 血の匂いなんてするわけない。 「適当な事、言ってんじゃねえぞ。」  まさおは、当てずっぽうで行った事が恭司を慌てさせたので、裏があることに気づいた。 「なんか、ヤバい事して来たでしょ。 おじさん、殺し屋かなんか?」 「そんな職業ある訳ねえだろ? 手が後ろに回るぜ。」 「だって今、動揺してたよ。」 「動揺なんかしてねえよ。」  奥の小上がりに案内されて小さな畳の間に靴を脱いだ。  夕子ママの手料理が並んで酒が進む。 (ヤバいな、あんまり強くねえんだよ、酒。)  まさおが隣に座ってベッタリだ。男娼だと自分で言うくらいだ。接客に慣れている。  抱きついて 「僕、おじさんに会いたかったんだ。 ホテルの前でずっと待ってたの。」  しなだれかかってくる。恭司は思い出したようにテツに電話した。 「親父、どこにいるんですか? 急にいなくなっちまって、みんなで大騒ぎですよ。」 「この前の夕子,って言う店にいるから迎えに来てくれ。」  了解、と電話は切れた。 その時、店の中に数人の男たちが入って来た。 いきなり奥に顔を覗かせて 「あんた、同士会の客人だね。 俺らは北星会ってもんだ。人のショバで挨拶なしかい?」  恭司は背を正して 「早速のご挨拶、痛み入ります。 私、関東斎田会傘下、永田組、永田恭司と申します。こちらにはお初にお目にかかります。  北星会のどちらさん?」  男たちがザザッと立ち上がり 「北星会知らんのか? 北斗連合、川田だ。覚えておけ。」

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