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第23話 もう一軒

 ずいぶん飲んだ。恭司は今夜はセーブしているからまだ潰れない。 「リキ、もう一軒行こうか? ちょっと気になる店があるんだ。 地元のヤー公が絡んでるんでヤバいんだけど気になるんだ。」  タクシーを呼んでリキと二人で出た。 蜜とシドはホテルで函館の夜を楽しむようだ。  タクシーが着いたのはあの「夕子」と言う店。 粋な暖簾をくぐって入って行った。 「いらっしゃいませ。」  こちらを見た女将の手が止まった。 「リ、キ⁈」 「夕子か?」 「なんだよ、二人知り合いか?」 「ああ、昔の女。もう15年になるかな。」  どこか崩れた雰囲気の夕子にリキは愕然とした。崩れた色気が男を誘う。 「リキ、知り合いだったのか? 昔の女って、おまえ女に興味ないんじゃなかったか?」  とりあえずカウンターに並んで座って 「酒を飲ませてくれよ。 ウヰスキーはあるのか?」 「ここは北海道よ。 日本のウヰスキー発祥の地。 とっておきの「竹鶴」がありますよ。」  グラスに大きく割った氷が一つ。リキの好みを忘れていない。竹鶴が注がれた。 「恭司は水割りにしろよ。」 リキの気遣いに、夕子は二人の思いを感じ取ってしまった。 「高校の時からのお友達?」 「そう,長い付き合いだ。」 「ここには何か物騒な仕事で来たんじゃないのか?」 「ああ、とりあえず一つは終わった。」 「おまえと二人で飲むのも久しぶりだな。」 恭司が気を使う。 「女将さんも何か飲んでください。」 「じゃあ、同じものをいただくわ。」 「カンパーイ。」 三人でグラスを合わせた。 「もう15年も経つのね。」 「あの頃、函館出身だなんて言わなかったな。」 「だって、聞かれなかったから。」 「なんで俺から逃げた?」  詰問口調になってリキが聞いた。 「逃げてなんかいないわ。 ただ、子供の具合が悪くて帰ったのよ。」 「得意の嘘、か?」  そこに、まさお、が帰ってきた。 「ただいま。」

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