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第36話 真実

 神谷の叔父貴もボソリと呟いた。 「おい、恭司は俺の子なんだろ?」  突然の告白。おふくろさんは笑って 「ええ、そうよ。 そんな昔の事、聞かないでよ。」 「男はいつも、不安なもんだ。 ホントに俺の子なのか? なんてな。」 「何で結婚しなかったんだよ。」  恭司の詰問に神谷はつらそうに答えた。 「俺は殺し屋だよ。手が汚れてんだ。」  恭司も、くってかかる。 「俺も人殺しだ。 何でこの道に引き摺り込んだんだよ!」  リキがギターを取って爪弾く。 ゆっくりブルースコードを奏でる。 ーーオイラが生まれたのは、寒い夜 ーーおふくろが死にそうな声を出すんで ーーオイラはここが天国か地獄かわからなかった ーーこんなに苦しそうに生み出された俺 ーーかあちゃん、生まれて来て良かったのか ーーかあちゃんは言った ーー可愛い子、愛してるわ、神様ありがとう ーー俺にはわかった ーーここは地獄じゃなかった  物悲しい短調のブルースコードでリキの渋い声で歌うブルースが心に沁みた。  生まれる時も人は一人。死ぬ時も人は一人で死んで行く。神谷はいつも自分に言い聞かせてきた。恭司のおふくろはそれを知っていて、無理に家族になろうとしなかった。 「あーあ、恭司の父親の事は墓場まで持って行こうと思ってたのに。」  おふくろさんはいい女だ。神谷の仕事の足枷にならないように全部自分一人でやって来た。 「それでも息子の俺は、やっぱり極道になっちまった。」  リキが恭司の肩を抱いて 「おまえがずっとそばにいてくれて良かった。」  永田恭司。斎田会、永田組組長。 いい若いもんがたくさん育っている。  テツ、拳太、小山、シド。木嶋は、ネパールとのハーフで、グルカ兵仕込みのククリナイフ使い。洋介は示念流殺法、ただ一人の後継者。  ジーマ、かつを、鷹旗、石田、坂田。  ドラゴンホールの、みんな元プロレスラーだ。 「いい面構えだな。大所帯だ。 恭司、義理事だな。みんなで盃だ。」  事件になってみんな懲役を覚悟していたが警察は、動かなかった。表沙汰にしないで終わらせたいのだろう。奴らの汚いやり方で隠蔽された。 「サツに借りなんか、作ってねえよ。 これからも暴れるぜ。」  旗揚げして事務所を構えた恭司に盃事が待っている。

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