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第24話
「大丈夫、俺は誰にも言ったりしないから」
蘭は、飛鳥の胸中を察したかのように少し笑った。
「う、うん……。ありがとう」
「まぁ、俺の想いが届かないのは残念だけど、飛鳥さんには幸せになって欲しいし」
蘭の想いを知り、飛鳥の胸は少し苦しくなる。
「ごめん……」
「何でごめん?別に謝んないでよ」
「お前の気持ちは嬉しいけど……応えられないから……」
飛鳥がそう言うと、蘭はぷっと笑った。
「気にしないでよ。ただ、俺の気持ち知っておいてほしかっただけだよ」
「蘭……」
「いいんだって。俺は、あなたたちの邪魔はしない。辛くないわけではないけど、近くにいられるだけでいいから」
そう言って微笑む蘭の表情は寂しそうだった。
すると、背後から声をかけられる。
「おい、何をしている?」
飛鳥が後ろを振り向くと、そこには和音がいた。
「あっ……」
和音がいることに気付いた飛鳥は、大いに狼狽えた。
「ちょっと来い」
和音は飛鳥の腕を引っ張り立ち上がらせると、強引にどこかへと連れていく。
彼に連れられてきたのは、いつも二人が会う遊郭の裏側にある人目につかない場所だった。
「ど、どうしたの?」
突然のことに、飛鳥は動揺していた。
「どうしたの、じゃない。あいつと何話してたんだ?」
「蘭のこと?何って、別に……」
自分を好きだと言われたなんて、和音に言えるわけがない。
「そ、その……単なるくだらない話だよ。暇だったから、話に付き合ってただけだよ」
飛鳥はつい、和音を心配させまいとして嘘を吐いてしまった。
胸の奥がちくりと痛む。
「ふぅん……本当か?」
和音に顔を覗き込まれ、飛鳥は動揺しそうになる。
真実を探ろうとするその視線に、負けそうになってしまうではないか。
「ほ、本当だよ……」
和音の強い視線に、飛鳥は吸い込まれそうなる。
嘘を吐いたことに、罪悪感を感じてしまう。
飛鳥は観念して、真実を明かした。
「実は……蘭に、好きだって言われた」
「何だと!?」
和音の気持ちを煩わせるから、蘭のことは言いたくなかったのだ。
「で、でも、僕にはあなたがいるからって言ったし……」
「それは当たり前だけど……ここの人間に知られてどうする?」
「その点は大丈夫だと思う」
飛鳥がそう言い切ると、和音は訝しげな顔をした。
「なぜ、そう言い切れる?」
「他の誰にも言わないって、約束してくれたから」
それでも和音は、そんな言葉は信用できないと言う。
「でも蘭は、僕に幸せになって欲しいと言ってくれたから、信じるしかないよ」
すると和音が、飛鳥に顔を近づけて目を覗いてきた。
「本当に、あいつとは何もないんだな?」
「あ、当たり前だろ?ここには男娼が多くいるけど、僕には和音さんだけだよ」
飛鳥の言葉に、和音は「本当か?」と耳元で囁く。
「もちろん、本当だよ」と、顔を赤くしながら答えた飛鳥。
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