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第27話
その後、段々と飛鳥の男娼としての人気が高まっていった。
和音が年季が明けるのを追ってここを出たいと思っているのに、この時機に人気が上がってきたことに、飛鳥は戸惑った。
人気になってしまっては、ここから出にくくなってしまうではないか。
人気が出るのは有難いことだが、本音は複雑である。
それに飛鳥がこの時機になって人気になってきたのは、不可解であった。
飛鳥の人気が上がってきたのは、簡単な理由だった。
香煌楼の運営を行っている東堂が、飛鳥を客に勧めるなど売り込んでいたからだ。
これまでもある程度は客が付いていたが、ますます飛鳥は忙しくなった。
彼が、早くこの場から出たいと考えているとは知らずに……。
飛鳥は急に忙しくなったと思っていたが、売り込みをされていることを男娼の蘭から聞いた。
「何か、東堂さんが飛鳥さんを特に売り込んでいるみたいですよ」
「え?僕を?確かに、最近はお客さんが多いなと思ってたけれど……」
「何でも、飛鳥さんを香煌楼一の男娼にする、とか」
そんなのは寝耳に水である。
これでは、早くこの仕事を辞めることができなくなるではないか。
「それは、有難いけど……」
「いいじゃないですか。稼げれば、それだけ早くここから抜け出せますよ?」
そう言うと、蘭は飛鳥の耳に顔を近づけてこうも言った。
「和音さんと、一緒にここを出たいんじゃないですか?」
「え!?そ、それは……」
蘭の言葉に思わず返事に困ってしまう。
彼の言う通りではあるが、正直に話すことは憚られた。
「隠さなくても、分かってますよ。お金、早く返済できればいいですね」
肩をポンと叩くと、蘭はそのままどこかへ去って行った。
翌日、飛鳥はいつもの池のほとりで和音と会う約束をする。
予定の時間より早く行き、彼が来るのを待つ時間も好きだ。
「待った?」
と言い、笑顔でやって来た和音。
「ううん、そうでもないよ」
「そうか」
そう言いながら、彼は飛鳥のすぐ隣に腰を下ろす。
「前に、僕と一緒にここを出たいと言ってくれたよね?」
「あぁ。どうすればいいか、悩んでるところだ」
「そこで、話があるんだけど」
飛鳥がそう言うと、和音は目を瞬かせた。
「何だ?」
「実は、僕に懇意にしてくれるお客さんがいるんだけど……」
「へぇ……それで?」
何となく、和音の声色が低くなった気がした。
面白くない、と彼が感じている証拠だ。
「そのお客さんが、お金を出してくれるって言うんだ」
そう教えると、和音は目を見開いた。
「え?」
「和音さんが先にここを出ることになるから、僕もすぐに出られるようにって……」
「そこまでするなんて、余程の上客なんだな?」
彼は何だか拗ねているようだ。
「僕たちのことを考えてのことなんだ……。和音さんは、僕と一緒に出たくないの?」
「そんなことはないけど…。お前への想いが強そうだなと思って」
「僕には和音さんしかいないって知っているだろう?」
飛鳥の言葉に、和音は顔を赤くして頷く。
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